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メールマガジン バックナンバー
「経験は、ただ積めばいい」ということでもないですね。
往来庵の菊地克仁です。
いつも私のメルマガをお読みいただき、
どうもありがとうございます。
先日、
定年で現役をご引退された方のお話を
何人かでお聞きする機会がありました。
ご本人が今までに得てきた様々な経験談
が主な話題でした。
ところが、
お話をうかがっているうちに、
「あれ?」
と違和感を持つ場面が、
何度かありました。
今回はそんな話題について、
触れることにしました。
この方の口からは、
次のような言葉が頻繁に出ます。
「良かれと思ってそんなこと言っても、
必ず周りから否定されるもんだぞ!」
「キミがいいと思って提案しても、
上には上の判断があるんで、
そんなにうまくはいかないよ!」
「上司を選んで上手に提案しないと、
自分だけが貧乏くじを引くことに
なるぞ!」
これらの言葉は、
確かにこの方の
今までの貴重な経験から生まれた
アドバイスだと思います。
が、
私はある種の違和感をおぼえました。
あなたも何か感じませんか?
この方も若いときには、
きっといろいろ新しいことを提案して、
上司や組織とぶつかり合ったのでしょう。
今、
こうしたこの方の言葉遣いから、
そうした新しい提案や考え方を持つ人を、
やんわりと、
否定的にとらえている姿勢
が見え隠れします。
「自分がそれで苦労したから・・・」
「自分が貧乏くじを引かされたから」
・・・だから、
「そういった苦い経験はさせくない」
といった
若い人を慮った姿勢なのかもしれません。
私も30代のときの職場で、
どうしても次長の考え方に納得ができず、
上司の課長に嚙みついたことがあります。
その時、
課長がニヤニヤしながら、
「菊地君も、
一定の年齢を重ねて、
課長の立場になるとわかるよ」
という意味深な言い方で、
アドバイスされたことがあります。
この言葉を聞いた私は、
それ以上何も反論しませんでした。
なぜなら、
この会話の中で、
この課長が、
仕事の中で、
真実を求めているわけではない
ということがよく分かったからです。
組織内で彼は、
「真実」よりも、
「上司からの評価」を、
一番気にして大切にしていたのです。
「長いものに巻かれるサラリーマン像」
をまじまじと見せてもらいました。
でも私の場合、
その後、
課長になったときも、
この課長の言った言葉の意味は、
結局は、
わかろうとしないままになりました。
本来の「経験」というのは、
その環境にどれだけの期間、
身を置いて、
何を感じて学んできたか、
ということだけではないと思います。
ただ長くそこにいるだけでは、
その場の「要領」や、
「目先のテクニック」、
「処世術」を、
繰り返し知るだけのものになるでしょう。
「それが経験だ」という人も
いるかもしれませんが、
ここで私の言っている「経験」とは、
もう少し深い意味のものです。
少し極端な表現になりますが、
「使用人の立場・精神・理念」
に基づく経験しかしなければ、
その立場で何年費やしても、
経営者の持つホンネの気持ちや、
深い判断力の意味は、
下から見える部分しか
理解することはできないでしょう。
これは、
立場が逆になっても、
同じことかもしれません。
これは、
現場の最前線で、
新製品開発と実験を繰り返しながら、
一方では、
組織運営のトップとして、
企業経営に携わり、
数々の功績を残した
稲盛和夫氏の基本姿勢に
学ぶことかもしれません。
私たちは「経験」というと、
ただ漠然と、
その時間の長さと関連付けて
考えがちです。
でも本当に大切なのは、
その経験の「質」だと思います。
その「期間の長さ」だけでは、
得ることができない「大切な何か」
があると思います。
部下からの人望もなく、
尊敬してついてくる部下も一人もなく、
孤軍奮闘して、
ただ与えられた目標数字の実績だけを、
上げていたような上司もいます。
それはただ、
そうした環境の中で、
同様の経験を積んだ期間が長かった、
というだけになるでしょう。
こういった方々は、
会社を辞めて、
その「肩書」と、
部下の「人事権」を失った途端、
それまで仕えてくれていた部下たちから、
見向きもされなくなります。
そういう方々を私は何人も知っています。
あなたも、
少なからずご存知だと思います。
誰でも、自分に与えられた時間は有限です。
そして、
様々な経験ができる人は稀だと思います。
そのときに得た
「その経験を未来にどう活用するか」
「その価値観をどう後世に伝えるか」
「その経験から何を学ぶのか?」
といったことを考えながら、
より良く生きていくための知恵として、
その「経験の意味」
をとらえていくことが肝要だと
感じます。
だから、
「不平、不満、愚痴」を言う暇があったら、
この今の状態から、
「私は一体、何を学べと言われているのだろう?」
と素直な気持ちで、
自問自答する思考のクセをつけることを、
おススメしています。
これがまさに、
「生きた貴重な経験」として、
あなたの中に蓄積されると思います。
多くの方々の幸せにつながるように、
我々の様々な「経験」と「知恵」を、
これからも、
後世に伝え続けていきたいですね。
今回も最後まで、
私のメルマガをお読みいただき、
どうもありがとうございました。
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