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「伝記」と「自伝」は何が違うのか?

㈱往来庵の菊地克仁です。

ブログをいつもお読みいただき、
本当にどうもありがとうございます。
暑い日が続きますがお元気でしょうか?

今回は無防備に伝記を読んでいると、
あなたの一生に影響を与えるような
危険な要素が無意識の世界に
刷り込まれてしまう可能性がありますよ、
ということについて触れていきます。

さて、
ある人の業績や偉業を後世に残しておくため
の方法として「伝記」と「自伝」があります。

今さらですが、
伝記は「第三者が書いたもの」、
自伝は「自分で書いたもの」です。

似たように感じるかもしれませんが、
そこには非常に大きな違いがあります。
(なお、自身の自慢話を目的とした自伝は、
ここでは対象にしていません。)

その違いがわからずに読むことは
おススメしません。

読者の意識の深いところに、
知らず知らずのうちに危険な価値観が
刷り込まれ、
徐々に染み込んでいってしまうからです。

例えばある研究者が、
朝から晩まである実験に没頭し続けた結果、
ある素晴らしい発見にたどり着いたとします。

これを見た第三者は、

「これこそがこの研究者の努力の賜物だ!」

「苦労したからこそ報われた結果だ!」

「永年の血と汗と涙の結晶だ!素晴らしい!」

と本人を褒めたたえて伝えることでしょう。
これが【伝記】です。
第三者の解釈をもとに書かれたものです。

当の本人は、

「絶対に世の中のためになると思って
 ワクワクしながらやった!」

「寝食も忘れて無我夢中で没頭しているうち
 にこうなった!」

「そのときが一番充実していて
 幸せで楽しかった!」

とその時の自らを振り返って言うでしょう。
これが【自伝】です。

この二つの大きな違いは何でしょうか?

それは、
本人のしたことを「苦労」とか「努力」と
いう言葉を使って表現しているかどうか、
という視点の違いです。

これらの言葉は、
第三者が誰かを賞賛するときによく使う言葉
です。

言われた方も悪い気はしないかもしれませんが、
こうした第三者の言葉に「ん?」と一瞬
首を傾げることなどもあるようです。

でもこれらの言葉を、
自分のしていることに対して
自ら口に出したら全然違う意味になる、
ということに気がつく人はとても稀
だと思います。

もしもあなたが、

「こんなに私は努力しているのに・・・」

「私はこんなに頑張っているのに・・・」

「これだけ苦労してきたのに・・・」

という言葉を吐いているとき、
あなたはどういう状態のときでしょうか?

・イヤイヤやらされているとき

・義務感から仕方なくしているとき

・充実感もなくただやっているとき

・精神的につらいとき

ではありませんか?

少なくとも、
あなたが何かに没頭して無我夢中になって
集中しているときには、
絶対に使わない言葉だと思います。

趣味の世界に浸っているときを
思い浮かべれば、
すぐにわかるでしょう。

だから、
こんな言葉が自分に向けて無意識に
口から出てきたら、

「はて、私はどこで無理しているんだろう?」

「本当は何をしたくないのだろう?」

と気づくチャンスなのです。

無意識の言葉が「セルフチェックに使える」
ということです。

ここで私は第三者の書いた伝記を読むな、
と言っているのではありません。

ただ、

「苦労したから・・・」

「我慢して努力したから・・・」

「頑張ったから・・・」

という表現は、
「他人から見た状態を表現する言葉だと
 知っておいてくださいね」
ということです。

これを取り違えると、

「努力すること」

「頑張ること」

「苦労すること」

が目的になってしまうことになります。

「あいつはまだ苦労が足りない!」
「人生なんて苦労の連続だぞ!」

といった言葉が口から出る人になります。

これは、
本来「手段」のひとつでしかないものが
「目的」にすり替わってしまっています。

成功を手にした人が、
そこに至るまでを振り返ったときに、
これらの言葉を、
本当に自分対しても使っていたかどうか
を確認してみることは、
とても有意義なことだと思います。

周りがそう言っているだけで、
そのときの本人は苦労などとは
全然感じていなかった、
などという場合がよくあるのです。

大切なのはそのときの意識です。

その人は何を目的にそれをしていたのかです。
その人の成果を素晴らしいと認め、
自分もそうなりたいと思うのではあれば、
やることは次のただひとつです。

その成功した人の使っていた「言葉」や
「表現」を真似ることです。
これが、
成功者の意識を学ぶ一番の近道でしょう。

そして、
その時の成功者の意識に自分も近づくことです。

「根性」や「気合い」「強い精神力」などは
まったく要らないということが、
この考え方の大きな特徴です。

「何ごとも根性だ!気合いだ!という姿勢を
 持ち続けるべきだ!」と信じている方、
少し立ち止まって、
自分の生き方について
ちょっと違う視点で考えてみませんか?

最後にビームスの設楽社長の言葉を
挙げておきたいと思います。
先日の日経新聞に掲載されたものです。

「努力は夢中には勝てない。」

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