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急病の『黒幕』
推理小説や刑事ドラマや
サスペンスや映画等では
最初に犯人として追われたり
逮捕されたりする登場人物は
濡れ衣だったり
単なる実行犯だったりで
物語の最後の方になって
黒幕に辿り着くという展開が多いです。
【腸閉塞になった病院職員】
研修医時代のエピソードにも
病気の本当の『犯人(原因)』が何なのか
を考えさせられた思い出があります。
医者になって最初の年
研修病院の近くに精神科の病院があり
当直のバイトで時々出向いていました。
ある時そちらの職員(50代女性)が
腹痛を訴え、次第に激痛になったので
自分が勤務していた病院に車で送って
検査をしたところ腸閉塞になっている
とのことで緊急手術になりました。
手術をしたドクターが言うには
なんと「タケノコの食べ過ぎ」で
腸が詰まってしまったとのことでした。
つまりタケノコが『犯人』で
腸閉塞になったというのです。
それからはタケノコが怖くて
暫くの間は全く食べられない
状態になりましたけど。
どれだけ多量のタケノコを
噛まないで食べれば
そんなことになるのだ!って感じでしょ?
何年か経った後に、よくよく考えてみると
やはり腸閉塞を起こした『主犯格』が
タケノコではないと分かったのです。
【主犯は薬だった】
腸閉塞の本当の『犯人』は
その人が毎日服用していた
“抗うつ薬”だったのです。
精神科の病院の職員なのに
そんな薬を飲んでるの?と
思われるかもしれませんけど
職員だからこそ
簡単に処方してもらって
手に入るという環境だったりするので
気軽に飲んでいた
ということかもしれません。
抗うつ薬を服用すると
副交感神経の働きが抑制されるので
腸の動きが弱くなります。
腸が動かないから腸閉塞になるのです。
タケノコは腸閉塞を起こす
引き金にはなっていますが
『主犯格』ではありません。
本当に怖いのは
手術した医者も気付かなかった
『黒幕』である常用薬です。
それなのに本気で怖がって
タケノコを食べられなくなってたなんて
医者のくせにアホみたいですが
本当の『犯人』を教えてくれる人は
その当時の周囲に居なかったんですよ。
今もあまり居ないのだろうと思います。
【自律神経を乱す薬に注意を】
このような薬物は麻痺性腸閉塞を起こす
重要な『原因』として
厚労省が一般の方に向けて
注意喚起しているくらいなのに
気軽に無防備に処方されており
副作用の説明もされていないことが殆どです。
抗精神科薬だけではなくて
抗アレルギー剤(鼻汁止めや痒み止め等)にも
副交感神経を抑制する作用がありますから
金輪際、飲まないほうがいいですよ!