自然派ドクター 髙野弘之

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正しい『創傷治療』

少し前までは
確固たる常識とされていたことや
揺るぎないように思われた権力も
いとも簡単に変わっていったり
崩れ去ったりするものです。

【傷の治し方】

『内なるドクター』の偉大さを
理解するために
最も分かりやすいのが
正しい傷の治し方をする時だ
と常々言っているのですが

10年ほど前までは
ケガをしたら
消毒してガーゼを当てて乾かして
カサブタができた後に傷は治る
というのが、医療関係者にも一般の人にも
疑うことなく信じられていた常識であり
それが科学的に正しいことだ
とされていました。

しかし今では
それが逆であるということが分かっており
普通の人でも半数以上が知っていたりします。
本当に正しい方法を実践してみれば
そちらが良いのは火を見るより明らかです。

【消毒薬は毒薬】

第一に、消毒薬は
悪さをするような菌を
殺したり減らしたりする作用だけではなく
大切な味方の菌まで死なせてしまいますし
正常な細胞に対しても毒性があります。

擦り傷などはジクジクになりますが
この汁こそが傷を治すために
活躍する細胞の成分を含む大事なものなのです。
『内なるドクター』の現れです。
そこに消毒薬を塗ってしまうと
大切な細胞を傷害することになり
治りが悪くなります。
消毒すると痛いですよね?
あなたの細胞が悲鳴を上げているのです。

【何度も言いますが、菌は敵ではない】

しかし消毒しないと化膿するのではないか?と
思われますか。化膿しません。というより
化膿するかどうかは傷口の消毒とは関係がありません。
傷が汚い場合はよく洗う必要がありますし
まれとは言え状況によっては
抗生剤を飲んだり点滴したり
せねばならない状態になる時もありますが
傷は消毒せずに洗えばいいのです。
洗うのは水道の水で大丈夫です。
そもそも、傷口を消毒しても
そこにある菌は無くなりません。
いくらか減るかもしれませんが
一時的な事です。
菌の繁殖力と生命力は
傷口の細胞よりもはるかに強いのです。

【乾かさないで】

そして傷は乾燥させないこと。
ガーゼを当ててしまうと
傷から出る
大切な成分を含む汁(内なるドクター)
を全て吸い取って乾燥させてしまい
治りが悪くなります。
くっついたガーゼを翌日剥がす時に
痛い思いもしなければならなくなります。

普通の絆創膏でも汁を吸い取ってしまうので
最近は特殊な創傷被覆材(ひふくざい)を使って
必要な成分を過剰に吸わずに
適度に湿った状態を保って
治癒を促すようにします。
「湿潤療法」とか「うるおい治療」と
称されています。

市販のものでも
キズパワーパッドのような
商品が発売されていますが
少々値が張りますし
傷のサイズに合わせにくかったりもするので
代わりに食品用ラップが使えます。
冷蔵庫に余り物を保存する時や
レンジでチンする時に使う
あのラップです。
傷の大きさに合わせてラップを切り
傷に当ててテープで止める。
これだけです。
傷に当たる面にワセリン等を
塗ってもいいのですが
ラップだけで充分です。
ジクジクの汁が多いときは
その上にガーゼを当てて
はみ出してくる液を
吸えるようにすればよくて
テープだけでは固定が不安な場合が多いので
包帯でグルッと巻いておく手もあります。
傷を治す汁(内なるドクター)を吸わずに
傷口を保護する優れた方法です。

【内なるドクターを見直してほしい】

自分自身や家族がケガする機会があったら
正しい手当てをすることで
これまでとは違う治り方を目の当たりにして
自己治癒力の凄さを実感して下さい。
消毒しないことから、人間と菌の関係にも
思いを馳せて欲しいと思います。
そうすると、他の病気の際にも
『内なるドクター』の力を
信じられるようになりますし
菌を恐れるあまり消毒薬や抗生剤を
濫用することの無意味さ・有害さの
理解にも繋がるはずです。

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