社長が先頭にたって、掃除をしていると、「社長の俺が一生懸命トイレ掃除してるんだから、みんなも掃除しろよ」ってオーラがでるでしょう。社員も、「なんか、社長、当て付けがましいなぁ、もっと仕事やれって言ってるみたいだ」と、自分を中心に考えてしまうんです。

　社長に「儲けたい」という下心があって、掃除をしても普通はうまくいかない。

　「自分のため」で人を動かそうと思ったって人は動かないんです。

　結局、本の通りにしてもうまくいかないのは、一番最初の目的が違うからなんです。

　「あり方」が違うのに「やり方」だけまねしたって、うまくいかないんですよ。

　鍵山さんが、掃除を始めたころは、社長がトイレ掃除をしている横で平気で用をたしていく社員や階段を拭いているのに、社長の手の上を飛び越えていくような社員ばかりだったそうです。普通なら、考えられませんよね。さらに・・・　「銀行の担当者からは、もっと、社長らしく仕事をするべきじゃないですか」、とか「うちの社長は掃除しかできない」という社員の批判を外部の人を通じてしばしば耳にしたそうです。

　鍵山さんは、大切な社員のためにと思ってやっている清掃を、外部の人から文句を言われていたんです。苦しいですよね。鍵山さんも、何度やめようと迷ったかもしれません。迷っては戻り、戻っては迷って今日までやってきました。毎日毎日やるんです。それも、会社だけじゃなく、会社の周りとか、何百メートル先までもとにかく毎日きれいにするんです。４０年以上も毎日というレベルです。

　まだまだ、つづきます。
　『私が一番受けたいココロの授業』より


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