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第88話 ペットにだし汁は有効か?

第88話 ペットにだし汁は有効か?

よく和食に含まれる“うまみ”の代表的な成分を3つあげなさいといわれたら、
1)昆布に含まれるグルタミン酸
2)鰹節や煮干しに含まれるイノシン酸
3)椎茸に含まれるグアニル酸
の3つを答えたら正解だ。

ちなみに五原味(ごげんみ)とは、
1)甘味2)うま味3)塩味4)苦味5)酸味のことをさす。
人は、甘味はエネルギー源、うま味はタンパク質、塩味はミネラル分、と生理的に認識して、好んでこれらの味がするものを食べるというけど、犬や猫はどうか言葉があれば聞いてみたい。

最近の研究でこの旨味(umami taste)か消化・吸収・代謝などの調節に関与することがわかってきた。
グルタミン酸の情報は、LINEやInstagramでメッセージをサクッと送信するように、胃や腸からの”メッセージ“が迷走神経を介して脳へ指令が飛び消化・吸収・代謝に関与していることがわかってきた。さらにグルタミン酸は消化機能に作用して胃酸の分泌を増やしたり、十二指腸液の分泌を増やして粘膜層を厚くすることで十二指腸の粘膜防御機能を高めるという報告(Uneyama H et al)されています。
さらに、発達障害のラットに旨味物質であるグルタミン酸ナトリウム(MSG)を与えると攻撃行動がめっちゃ減ったという報告(Ruriko Nishigaki et al.Brain Res. 2018 )もあるし、離乳後から成熟期までのうま味摂取が腹部迷走神経を介し脳へ作用し,社会性行動が変化する(攻撃性の減少)ことが示された。

「Effect of glutamate and combined with inosine monophosphate on gastric secretion」というタイトルの論文(L. S. Vasilevskaia et al. Vopr. Pitan 1993)では、犬のペットフード(肉が配合さたフード)にうま味調味料(グルタミン酸とイノシン酸の複合調味料)を添加すると、胃、十二指腸、回腸、空腸運動の運動が増え (Y. Toyomasu et al.Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 2010 )、胃液の分泌量が高まり,胃でのタンパク質の消化が促進することがわかった!さらに、グルタミン酸ナトリウム(MSG)を添加すると、神経を介して胃外分泌(胃酸/ペプシン/胃液)が増えて(V. A. Zolotarev et al. J. Med. Invest. 2009)、膵液分泌も増えることがわかっている。(I. Ohara et al.Am. J. Physiol.,1988)(I. Ohara, S et al. J. Nutr.1979)

食欲のないワンちゃんや猫ちゃんには昆布の出汁をフードにかけてあげると消化だけでなく嗜好性も上がり喜んでくれるかもしれない。



あとがき

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最後の言葉
このメルマガのコンセプトは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。情報量がかなり多くて1度読んだだけでは100%の理解は難しいと思います。仮に10%しか理解できなくても次に読んだり聞いたりした時に点と点が繋がって線になる時がいつか来るので心配しないで下さい。
東京動物アレルギーセンターでは皮膚科疾患の中でも特に多く遭遇する犬と猫のアレルギー性皮膚疾患に”羅針盤”の照準を絞りブレずに面舵いっぱい切りました。当センターの役割は「犬と猫のアレルギー性皮膚疾患に対して対症療法ではなく、根治療法に挑戦し脱医薬療法を目指すこと」です。特に腸内細菌と口腔内細菌と皮膚細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。特に免疫細胞の70-80%が配備されている腸管は脅威となる病原体との主戦場となる。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、課題はやはり「慢性炎症のコントロール」と「フリーラジカルの制御」だと考えています。
アレルギーで苦しむ動物と何も出来ず彷徨ってる飼い主さんのために犬アトピー性皮膚炎の治療戦略として「プロバイオティクス(有益な生きた細菌)/プレバイオティクス(有益な細菌のエサ)による腸内環境の改善に加え、酸化ストレスの緩和により免疫抑制剤から解放され、尾崎豊じゃないけど戦いから卒業することを目指しています。免疫を抑制しないと制御不能だったはずの痒みが、腸内環境改善を改善するために乳酸菌クラスター爆弾を腸管内(大腸)に投下して、腸壁に住む細菌たちアンバランス(dysbiosis)をチューニング(整頓)すると、免疫を抑制しないと制御不能だったはずの痒みがチャラになる動物たちを目の前で見せてもらい、生命体の無限の可能性を教えてもらい、そのキープレイヤーとなるのはやはり菌だと感じています。だから僕はアレルギーを出来るだけ薬物に頼らず治療したいという方に対する解決策、治療オプションを提案したいと思います。この治療介入は薬物と違ってリスクは全くないか、あったといても無視できる程度です。
口から入り胃を通過して腸管内を移動し、定住せず短期間だけ“宿泊”し、腸管の動きに合わせて移動しながら、その一瞬一瞬で任務を全うして勇敢に戦死するエキサイティングなビフィズス菌や乳酸菌。
まだ絶対的正解はないが、実際に決定打となり裏打ちする研究結果がはっきりとそれを証明しています。特に脅威となる皮膚のブドウ球菌や口腔内のグラエ菌に対して力ずつのアプローチ・抗菌薬による殺菌という空爆で有用菌まで無差別に爆撃することのないように静菌制御して、動物達の腸管内や皮膚表面に暮らす細菌たちの潜在能力に期待するとともに、一生懸命育てた菌の邪魔をしない世界を目指します。
そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。
この想いがアレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんに届きますように…


文責
川野浩志(獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
藤田医科大学医学部 消化器内科学講座 客員講師
全日本暴猫連合なめんなよ 親衛隊長(公認)
・東京動物アレルギーセンター
・九州動物アレルギーセンター
・福岡動物アレルギーセンター
・名古屋動物アレルギーセンター
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