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増刊号 [天国からの最後の手紙]

増刊号 [天国からの最後の手紙] 


ペットロスとグリーフワーク
さとし君(13歳)の唯一の親友は一緒に暮らしていた愛犬クロちゃんでした。

そのクロちゃんはある日「星」になってしまったのです。その日を境にさとし君は心を塞いでしまい、登校拒否をするようになりました。さとし君は自分の部屋から一歩も出ることはありませんでした。
ところが数日後から毎日必ずある場所に行くようになったのです。
そのある場所とはクロちゃんがお世話になっていた動物病院でした。そこの動物病院の獣医さんや看護婦さんは忙しいにもかかわらずさとし君の話に耳を傾け、「寄り添う」ように接しました。それからさとし君は徐々に本来の自分を取り戻し立ち直っていったのです… 

ヒトは強い絆で繋がっていたかけがえのない存在を失うと、悲しみである「悲嘆(GRIEF)」を感じ、心理的に大つきな変化が起こります。そこで必要になってくる心理的プロセスが「グリーフワーク」。

つまり「グリーフワーク」とは「家族やペットなど大切な存在の死別に直面し、胸が切り裂かれるような深い悲しみに陥った人が立ち直るまでに努力して行う心の作業」

愛する存在を喪失したショックによって無気力状態となり、冷静に状況を受け止めることができなくなります。場合によっては自分の価値観を失い“うつ状態”に陥ることもあります。これらの悲嘆の反応は「異常」と認識されがちですがが、このような感情の変化は正常であり、個体差はあるにせよ誰もが何らかの形で「グリーフワーク」のプロセスを踏みます。さとし君にとって動物病院での時間はまさに“見つけ出した”グリーフワークでした。

まだぬくもりの残る体を抱きしめ、優しく撫で、名前を呼ぶ。小さな体をより小さく丸めて、チョコンと座って外を見つめて座っていたペットの「指定席」に花を添えてあげたり、あるいは一緒に歩いた散歩道を歩いてみるのもグリーフワークになるかもしれません。

最愛のペットを亡くして辛い日を過ごしている誰かにこの記事が届けば幸いです。
また、大切な存在が「星」になった時にこの記事を読み返し、少しでも心が軽くなれば獣医師として本望です。



[天国からの最後の手紙] 

私はもうそこにはいません…
十数年という非常に短い時間でしたが私はあなたと共に過ごせました。
あなたはたくさんの愛情とやさしさを与えてくれました。
ただ1つだけ疑問がありました。あなたが何故そんなに忙しいかということ。
なぜなら私の時間はすべてあなたのものだったからです。
クローゼットの下におしっこをしたことを許してください。
私の命の灯火はあなたよりも短い期間で消えてしまうことを認めてください。
あなたの言葉は確実に私に届いていたことを覚えておいてください。
私の被毛と触毛を大切に保管して、そして時に私を思い出してください。
あなたの臭いと無条件の愛を私は忘れません。
地面から数十センチの私の視界から見ると10倍以上もあるあなたの存在がとても大きく感じました。
あなたは私の信頼できる最高の仲間でした。
私はもうそこにはいません…(獣医師 川野浩志)


[The Last Letter from Heaven] 

I’m not with you any more.
Although it was very short time, ten years or so, I was happy to be with you.
You gave me a lot of love and kindness.
The only things I didn’t understand was why you were so busy all the time.
Nevertheless all my life was yours.
Please forgive me for peeing in your closet. 
Please accept that the flame of my life should go out much shorter than yours.
I want you to know I surely understood your words.
Please treasure my skin and hair, and remember me occasionally.
I will never forget your scent and your unconditional love.
From my sight, about ten cm above ground, you were ten times bigger than me, and everything to me.
You were my best friend I was able to rely on.
I’m not with you any more.(Koji Kawano, D.V.M.,Ph.D.)

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