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第27話 腸内細菌の視点から「痩せたい」を科学する。

第27話 腸内細菌の視点から「痩せたい」を科学する。


血圧が高いとか、太っちゃうとか生活習慣病に腸内細菌が関わってんじゃね〜の?って疑問を調べた2020年に出された「In vitro evaluation of different prebiotics on the  modulation of gut microbiota composition and  function in morbid obese and normal-weight subjects」という論文では

1)太っている人
2)普通の体重の人

のウンチを集めてそれぞれのウンチに色々なオリゴ糖(ガラクトオリゴ糖、ケストース、イヌリン、Actilight、P95、Synergy1 など)を混ぜたらウンチの中にいる細菌がどうなるか?を調べた。

結果は、
・いくつかのオリゴ糖の中でもケストースが最も(腸内)細菌をガツンと増やす1番強い効果があった。
・太っている人でも普通の体重の人でもオリゴ糖というプレバイオティクス(腸内細菌にエサを与えること)によってビフィズス菌(Bifidobacterium属)がガツンと増えた。
・特に太ってる人では、痩せ菌であるバクテロイデス(Bacteroides group) とフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)がド〜んと増えた。
・普通の体重の人はビフィズス菌(Bifidobacterium)とフィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)が増えた。
・特に健康な人ではビフィズス菌の中でもロンガム菌(B. longum)がガツンと増えた。
・腸内細菌が作り出すと言われているめちゃくちゃ大切な物質(短鎖脂肪酸)は太っている人ではケストースでガンガン増えた。

大人になると腸内フローラ(Gut microbiota)は本来であれば比較的安定してます(Lloyd-Price, J.et al 2016)。でもストレスや睡眠不足やはちゃめちゃな食生活など色々な要因で腸内細菌(microbiota)が掻き乱されます。この腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は、肥満のリスクと関連することがわかっています。じゃあ、その乱れた腸内細菌のバランスをどうやって戻したらいいの?ってことが今回の狙い。

腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が肥満と深く関わっていることが明らかにされています。肥満マウスや太ったヒトの腸内ではファーミキューテス門菌(Firmicutes門菌)が多く、バクテロイデス門菌(Bacteroidetes門菌)が少ないことなどが報告されています。さらに、ウンチを食べさせる便移植実験により肥満マウスのウンチを正常マウスに食べさせると体脂肪が増えることが証明(Turnbaugh PJ, et al.2016)されています。従って、肥満マウスのウンチの中にはマウスを太らせる細菌が含まれていることが想定されます。だから、ファーミキューテス門菌(Firmicutes門菌)を減らして、バクテロイデス門菌(Bacteroidetes門菌が増えたら痩せます。

さらに他の論文では、Akkermansia muciniphila (アッカーマンシア・ムシニフィラ)(Plovier, H. et al.2016) やBacteroides acidifaciens(バクテロイデス・アシディファシェンス)(Yang, J.-Y. et al.2017) の投与が肥満を改善すると報告されています。実際に肥満者や2型糖尿病の人の腸内には、Akkermansia muciniphia(アッカーマンシア・ムシニフィラ)少ないことが知られています。過去にルーヴェン・カトリック大学の研究で、アッカーマンシア・ムシニフィラを与えたマウスでは、高脂肪食を摂取しても体重増加が抑えられることが発見されています。

Nature Medicineというトップジャーナルに2019年に発表された「Supplementation with Akkermansia muciniphia in overweight and obese human  volunteers:a proof-of-concept exploratory study」という論文では肥満(32人)を対象に行った実験ではアッカーマンシア・ムシニフィラを飲んだグループは体重が減って、インスリンが30%効きやすくなって、総コレステロール値は9%減ったみたいです。

おばあちゃんでも分かるようにざっくりまとめると
・ケストースはオリゴ糖の中でも最も腸内細菌を増やすパワーがあるよ。
・なぜならケストースはビフィズス菌と酪酸生産菌に食べられる(資化性の高い)オリゴ糖なんだって。
・大腸にいるビフィズス菌の中でも特にロンガム菌(Bifidobacterium longum)はケストースをモリモリ食べるんだって!
・しかもケストースは甘いのに太らないだって。
・ケストースは赤ちゃんのアトピーにも効果があるって!(第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 国立病院機構福岡病院小児科 柴田瑠美子先生ら)
・アトピー性皮膚炎が改善したヒトは、アレルギーの改善に関係すると報告されている酪酸産生菌(Faecalibacterium prausnitzii)も増えたんだって。
・ケストースを飲むとビフィズス菌と酪酸産生菌が増える→腸内の酪酸濃度を上昇が上がる→免疫のブレーキがかかる→免疫が暴走したアレルギーを止めるしやせる。

あとがき
「なぜこのメルマガを始めたか?」1番の理由は、「診察室では伝えきれない有益な情報を伝えたいから」で、コンセプトは、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる最新海外論文を独断と偏見でピックアップして翻訳して届ける」です。
中学2年生の女子でもおじいちゃんでも理解できるような言葉で噛み砕いてわかりやすく表現することにコミットします。特に腸内細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、ペット合ったオーダーメイドの乳酸菌を飲むとによって腸内の細菌のバランスを元に戻してあげることによって痒いという症状が改善していくの目の前でみて、やはりカギとなるのは菌だと感じています。そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

東京動物アレルギーセンター 
センター長 
日本獣医皮膚科学会認定医
獣医学博士 川野浩志


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