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第69話 「“痒み”空港」発「“快適”空港」行き アトピー航空2022

第69話 「“痒み”空港」発「“快適”空港」行き アトピー航空2022

「お前は何がやりたいのか?」「世界をどう変えたいのか?」と問われたら「犬と猫のアレルギー性皮膚疾患に対して、できるだけ薬に頼ることなく症状を緩和する治療を目指す」と答える。

糞便移植から教わった腸内細菌の大切さは、まさに自らが向かうべき方向を示す“北極星”となりました。
流行りものに流されずに、我流追及、一点突破でこの問題をただなんとかしたいというシンプルな想いは1ミリも揺るぎません。

ガットマイクロバイオータ(腸内細菌)への介入は現代獣医医療の枠では想像もできない、まるで次元が違う世界のように日々展開しており、身体という70兆個の細胞の集まりとそれ以上の腸内細菌で構成される生命体の無限の可能性を目の前で見せてもらっています。
ただ、今、挑戦しているやり方だけでは打率は良くて3割前後であり全ての症例に対して満足した結果が得られているわけではないというのも事実。
どうしたら”打率”をあげられるか?という命題に対して自問自答する毎日。
ルービックキューブをクルックルッと回すと一面は揃ってくるけど、一度揃った面を一旦崩さないと全面揃えることができないように、既成概念をぶっ壊しながら進んでいかないと現状をなかなか打破できない。ベルリンの壁のように高く、マリアナ海溝のように深い謎に包まれた腸内細菌のルール。
痒がる動物たちをできるだけ薬に頼らず治療するためには腸内戦線で戦う特殊部隊ともいうべく腸内細菌たちの力を借りないわけにはいかない。

一方、皮膚という戦場ではブドウ球菌の出す毒素が表皮バリアに壊滅的なダメージを与えることによって、花粉やダニのウンチといったアレルゲンが皮膚へ侵略することによってそれを迎撃しようとする免疫細胞たちとの熾烈なバトルがスタートする。

脅威となるブドウ球菌が皮膚表面を制圧することによって生じる犬表在性膿皮症に対して全身性抗菌薬がゴールドスタンダード。
一方、空爆の様に全てを破壊する抗菌薬の影響もあり、世界的な薬剤耐性菌の増加により治療概念の見直しが求めれている。
さらに抗菌剤は腸内戦線にも影響を与えるため、腸内細菌という特殊部隊の活躍を邪魔する存在でもある。
そこで我々は、「殺菌でなく静菌」をスローガンにプレバイオティクスとなる「エリスリトール」を用いた外用剤を使用して皮膚常在菌の静菌制御を目指す。まさに壊滅状態の皮膚常在菌に対する起死回生の一手となる地球連邦軍ともいうべくエリスリトール部隊が前線に出撃!

このように「腸」戦線と「皮膚」戦線からのダブルアプローチでアレルギー性皮膚疾患を攻略するというのが我々の戦略だ。

さらに「口腔」戦線では、歯周病で原因菌でもあるグラエ菌などの口腔内細菌が猛威を震い、歯肉を食べ自分の陣地拡大を目指す。彼らは飲み込まれることで「腸」戦線へ遠征し、さらに舐められることによって「皮膚」戦線へ遠征し戦闘に参加し、それぞれの戦場で腸内細菌および皮膚常在菌を撹乱する主犯格となる。
これら歯周病菌に対しても姑息的な歯石除去ではなく我々は、プレバイオティクスとなる「エリスリトール」を用いた口腔内ジェルを使用して増殖した口腔内細菌の静菌制御を目指す。

制空権をかけて悪玉菌とのドッグファイトに明け暮れる戦闘機(戦闘菌)ともいうべく乳酸菌(プロバイオティクス)とジェット燃料ともいうべくオリゴ糖(プレバイオティクス)を武器として総力戦で敵の全拠点を制圧する。
陸・海・空が連携した戦略が鍵を握るように皮膚・腸管・口腔内をターゲットにしたマルチモーダル治療だ。

何も出来ずにウンチとして散っていった戦友(腸内細菌)の無念を背負って、地図もコンパスもないけど、自分の思いという”燃料タンク”にジェット燃料満タンにして
「“痒み”空港」発「“快適”空港」行きのアトピー航空2022 離陸します・・・

Cleared for take-off


あとがき
このメルマガのコンセプトは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。情報量がかなり多くて1度読んだだけでは100%の理解は難しいと思います。仮に10%しか理解できなくても次に読んだり聞いたりした時に点と点が繋がって線になる時がいつか来るので心配しないで下さい。
特に腸内細菌と口腔内細菌と皮膚細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。特に免疫細胞の70-80%が配備されている腸管は脅威となる病原体との主戦場となる。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、課題はやはり「慢性炎症のコントロール」と「フリーラジカルの制御」だと考えています。
有効な菌を与え(プロバイオティクス)、その菌を育てる(プレバイオティクス)ことで腸壁に住む細菌のアンバランス(dysbiosis)を元に戻すと痒いという症状が結構改善していく動物たちを目の前でみて、やはりそのキープレイヤーとなるのは菌だと感じています。
口から入り胃を通過して腸管内を移動し、定住せず短期間だけ“宿泊”し、腸管の動きに合わせて移動しながら、その一瞬一瞬で任務を全うして勇敢に戦死するビフィズス菌や乳酸菌。
まだ絶対的正解はないが、実際に決定打となり裏打ちする研究結果がはっきりとそれを証明している。特に脅威となる皮膚のブドウ球菌や口腔内のグラエ菌に対して殺菌という空爆で有用菌まで爆撃することのないように静菌制御して、一生懸命育てた菌の邪魔をしない世界を目指します。
そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

文責
川野浩志(獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
藤田医科大学医学部 消化器内科学講座 客員講師
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