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第4話 ビフィズス菌が食べる「ケストース」の驚異的な効果

このメルマガのコンセプトは、「ペットと一緒に生活している飼い主さんが知ったら役に立つであろう海外論文を独断と偏見でピックアップして翻訳し、中学2年生でも理解できるような言葉で噛み砕いて不定期にお届けする」。山手線でいうと恵比寿ー品川区間、地下鉄でいうと福岡空港駅ー博多区間でも読めるくらいにコンパクトにまとめて情報発信するように心がけています。


第4話 ビフィズス菌が食べる「ケストース」の驚異的な効果


小学生が大好きな食べ物は何か?というぐるなびの調べによると「平成生まれの小学生」、「昭和生まれの小学生」ともに、好きな食べ物ランキング第1位は「カレーライス」。「平成生まれ」では第2位に「寿司」、第3位に「鶏のからあげ」、「昭和生まれ」では第2位に「鶏のからあげ」第3位に「ハンバーグ」が選ばれました。では腸内細菌が好きな食べ物は何でしょうか?

ケストースはざっくりいうとオリゴ糖の1つで腸内細菌の大好きな食べ物になります。詳しく言うと短鎖フラクトオリゴ糖(short chain-fructooligosaccharide:scFOS:難消化性のオリゴ糖)です。ケストースのポイントを箇条書きにすると

・砂糖はグルコースとフルクトースがαグルコシド結合した糖類(二糖類)です。わかりやすく例えるとグルコース君とフルクトースちゃんが手を繋いでいるカップルとイメージします。
・スタバで買った何とかフラペチーノを飲むと、砂糖(グルコース君+フルクトースちゃん)は小腸で分泌される酵素(スクラーゼ)で離れ離れになり、グルコース君は小腸から吸収され血糖値がグングンあがります。続いて血糖値をさげるためのインスリンがバーンと放出されます(このインスリンが肥満の主犯格)
・ケストースは、グルコース君とフルクトースちゃんとフルクトースちゃんが手を繋いでいる糖類(三糖類)です。
・ケストースは、ヒトや犬の消化酵素(スクラーゼ)で分解されないため、胃や小腸で分解されることなく、そのまま大腸まで届きます。
・つまり、ケストースは、分解されずに大腸に届くので、甘いのに摂取後も血糖値はほとんど上昇しないです。
・さらに糖を脂肪として貯め込むインスリンも分泌されないので太らないです。
・ケストースは、主に大腸内のビフィズス菌(ビフィドバクテリウム)などが産生するβ-フルクトシダーゼによってグルコースとフルクトースに分解されます。
・特にロンガム菌(Bifidobacterium longum)はケストースをモリモリ食べることがわかっています。
・つまり、ロンガム菌配合ヨーグルトやロンガム菌サプリメントと一緒にケストースを飲んだら最強です。
・これまでのヒトの研究で、乳幼児アトピー性皮膚炎の乳幼児13人に12週間ケストースを飲んでもらったところ、9/13人でガツンとビフィズス菌が増えており、皮膚も良くなったからケストースは、乳幼児アトピー性皮膚炎の腸内細菌が改善されて皮膚の状態が良くなることに効果があった(第18回日本アレルギー学会春季臨床大会 国立病院機構福岡病院小児科 柴田瑠美子先生ら)
・これまでのワンちゃんの報告では、6頭のビーグルにケストースを飲ませたら、ビフィズス(Bifidobacterium)がガツンと増えてバクテロイデス属(genus Bacteroides)とサテレラ属(genera Sutterella)がガンと減りました。さらにケストース投与開始4weeks後以内にクロストリジウム菌(Clostridium perfringens)が減りました。さらにケストースを飲んだら8週間後にはうんちの中に酪酸がバーンと増え、ケストースをやめたら4週間でなくなりました。

コメント
ケストースは善玉菌を増やし、病気に関係する悪玉菌が増えるのを阻止します。マジでケストースすごい!
自分が「何を食べたいか?」ではなく「自分のお腹の中に大量に住み着いている腸内細菌が何を食べたいか?」を意識すると良いかもしれません。
我々はまさに地元を離れ寮生活を行う学生(腸内細菌)の寮母であり、学生(腸内細菌)が好きな料理(食物繊維やオリゴ糖やムチン)を振舞ってあげる関係かもしれません。

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