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第83話 仲間を大切にする利他的なビフィズス菌

第83話 仲間を大切にする利他的なビフィズス菌

あなたが食べるものは、あなたの大腸に住む細菌たちの満足or不満にダイレクトに影響を与えます。土壌の種類や雨量や日照量が植物の成長を左右するように、あなたの食べるもので「どの細菌種があなたの腸内で繁栄する?」かを左右します。

腸内細菌の最高の燃料は”人間には消化できない繊維”だ。腸内細菌はこの繊維を発酵させて、僕たちにも消化できる分子に変換してくれている。
ヒトや犬猫は単糖を吸収・代謝(利用)できるできるけど、 多糖そのままだと細かくバラバラにする分解酵素を持っていないから利用することができない。具体的には単糖が連なった構造をしているオリゴ糖(3個~10個連なったもの)や多糖(それ以上連なったもの)は自力では分解できないから、小腸や大腸に住んでいる腸内細菌という”専門家”に”繊維の分解”という業務を外部委託(アウトソーシング)している。
腸内細菌の視点で見ると、エサであるグルコース(多糖)をめぐって競合または協力する争奪戦だ。サッカー日本代表風に言えば絶対負けられない戦いがここにもる。

腸内細菌の中でもバクテロイデス属は、めちゃくちゃ自分勝手(利己的)でマンナンを独り占めしているという報告(Cuskin, F.et al. N.2015)がある。バクテロイデス属の中にはマンナン分解酵素を持っている菌と持っていない菌がいるけど、分解できるバクテロイデス(Bacteroides thetaiotaomicron)は,マンナン分解酵素によって分解したエサを丸呑みして、マンナンを分解できない他のライバル菌(Bacteroides xylanisolvensなど)に取られないように独り占めする。

このような自分勝手(利己的)な腸内細菌(バクテロイデス)とは対照的に,善玉菌のエースであるビフィズス菌は奉仕精神溢れる利他的な腸内細菌だ。例えば、人の母乳にはヒトミルクオリゴ糖(HMO)など独特の物質が200種類以上含まれているが、母乳中に含まれるヒトミルクオリゴ糖を分解する酵素(オリゴ糖分解酵素)を持っているビフィズス菌は、酵素を持っていない他のビフィズス菌のために、食べれるように分解してあげている。
赤ちゃんの腸内に生息するビフィズス菌の中でも母乳中のオリゴ糖を分解できるのは、2種類だけで、ビフィダム菌(Bifidobacterium bifidum)とロンガム菌(Bifidobacterium longum)だけだと報告(Wada, J. et al. 2008) されている。
ちなみに腸内を撹乱するデビル菌である悪玉菌はオリゴ糖を分解する酵素を持っていないし、オリゴ糖自体も好きじゃないから食べれない。

仲間を大切にするビフィズス菌がますます好きになってきた。


あとがき
このメルマガのコンセプトは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。情報量がかなり多くて1度読んだだけでは100%の理解は難しいと思います。仮に10%しか理解できなくても次に読んだり聞いたりした時に点と点が繋がって線になる時がいつか来るので心配しないで下さい。
特に腸内細菌と口腔内細菌と皮膚細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。特に免疫細胞の70-80%が配備されている腸管は脅威となる病原体との主戦場となる。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、課題はやはり「慢性炎症のコントロール」と「フリーラジカルの制御」だと考えています。
アレルギーで苦しむ動物と何も出来ず彷徨ってる飼い主さんのために犬アトピー性皮膚炎の治療戦略として「プロバイオティクス(有益な生きた細菌)/プレバイオティクス(有益な細菌のエサ)による腸内環境の改善に加え、酸化ストレスの緩和により免疫抑制剤から解放され、尾崎豊じゃないけど戦いから卒業することを目指しています。免疫を抑制しないと制御不能だったはずの痒みが、腸内環境改善を改善するために乳酸菌クラスター爆弾を腸管内(大腸)に投下して、腸壁に住む細菌たちアンバランス(dysbiosis)をチューニング(整頓)すると、免疫を抑制しないと制御不能だったはずの痒みがチャラになる動物たちを目の前で見せてもらい、生命体の無限の可能性を教えてもらい、そのキープレイヤーとなるのはやはり菌だと感じています。だから僕はアレルギーを出来るだけ薬物に頼らず治療したいという方に対する解決策、治療オプションを提案したいと思います。この治療介入は薬物と違ってリスクは全くないか、あったといても無視できる程度です。
口から入り胃を通過して腸管内を移動し、定住せず短期間だけ“宿泊”し、腸管の動きに合わせて移動しながら、その一瞬一瞬で任務を全うして勇敢に戦死するエキサイティングなビフィズス菌や乳酸菌。
まだ絶対的正解はないが、実際に決定打となり裏打ちする研究結果がはっきりとそれを証明しています。特に脅威となる皮膚のブドウ球菌や口腔内のグラエ菌に対して力ずつのアプローチ・抗菌薬による殺菌という空爆で有用菌まで無差別に爆撃することのないように静菌制御して、動物達の腸管内や皮膚表面に暮らす細菌たちの潜在能力に期待するとともに、一生懸命育てた菌の邪魔をしない世界を目指します。
そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。
この想いがアレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんに届きますように…


文責
川野浩志(獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
藤田医科大学医学部 消化器内科学講座 客員講師
全日本暴猫連合なめんなよ 親衛隊長(公認)
・東京動物アレルギーセンター
・九州動物アレルギーセンター
・福岡動物アレルギーセンター
・名古屋動物アレルギーセンター
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東京動物アレルギーセンター(https://taac.jp
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