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第79話 腸内細菌からの手紙

第79話 腸内細菌からの手紙

拝啓、お元気ですか?
あなたの腸に住んでいる細菌です。
言葉ではうまく伝えられないので手紙で気持ちを伝えるね。

大学時代に同じサークルだった智子(腸内細菌)がビタミン製造会社に就職したみたいで、ビタミンKとかビタミンB12とかたくさんのビタミン製造してるって。リポビタンDなんかに負けないって、ウケるよね。
高校中退した幸一郎君(腸内細菌)覚えてる?なんと自衛隊の中隊長に昇進したってLINEがあったよ。「敵が来たらスクランブル発進してクラスター爆弾で一網打尽にしてやる」って、マジウケるよね。
まあ、私たちの住んでいる大腸地区に悪い菌やウイルスが襲撃してきても安心だからいいけど(笑)

あと、最近ね、彼氏ができたの。少し離れた脳内に住んでるから遠距離恋愛なんだよね。
でもね、電話(迷走神経)やLINE(消化管ホルモン)やInstagram(血液)で毎日連絡してくれるから寂しくないの。

あ、大事なこと言うの忘れてた。しっかり歯を磨いてね。口腔地方から転職してくる友達(細菌)って悪い子ばっかりで私たちのことをいじめるの。マジむかつくから今度ぶっ飛ばしてくれる?

来月私の誕生日だけど覚えてる?プレゼントは水溶性食物繊維(キャベツ、わかめ、芋など)ね。同じ腸内に住んでいる友達のビフィ子はオリゴ糖とかデンプンばっかりたべてるけど、私はわかめ派だから間違えないでね。

ちなみに、迷ったら9個から選んでね。
PRADAのバックとかティファニーの指輪とか欲しくないから。

1.ダークチョコレート
2.コーヒー
3.オリーブオイル
4.ナッツ類
5.ブロッコリー
6.ガーリック
7.ベルギービール
8.青ネギ
9.セロリ

実は、私、妊娠したの。来月には子供(酪酸)が産まれてくるんだけど、私が子供(酢酸)をたくさん産むと街に警察官(制御性T細胞:Treg)が増えて、ピストル(IL-10)でアトピーの主犯格(Th2細胞)を撃ちまくってくれるの、凄くない?だからバンバン子供(酪酸)産むね。

話は変わるけど、この前、風邪ひいて抗生物質を飲んだでしょ?
危なかったよ、もう少しで死ぬとこだったんだから!
私たちの住んでる大腸地方の手前の小腸地方で吸収されるメトロニダゾールみたいな抗生剤ならまだいいけど(Kim, S et al 2017)、バンコマイシンみたいな抗生物質だと私のこといじめて暴力を振るうの、もぅ、DV反対!
あ、ちなみに抗生物質は、私たちの仲間(腸内細菌)の関係をぶっ壊すから嫌いなの。だって関係が復活するのに約1か月かかるからね(Yassour, M.;et al. Sci. Transl. Med. 2016)。
実は先月、私の親友(ビフィズス菌種)はゲンタマイシンとメロペネムに殺されたの。その他のお友達(腸内細菌叢)は45日くらいでみんな元気になったけど180日間くらい入院した友達(腸内細菌叢)もいたわ(Palleja, A et al 2018)。
あと一部の抗生物質は私たちの家(粘液層)も爆破するの、マジムカつく!

あとね、私たち(腸内細菌)が喧嘩すると街の雰囲気が悪くなって腎不全になるリスクげあがるから(Ramezani A et al.,2014)ね。
だって便秘で私たちを閉じ込めて動けなくしたら街の暴走族(悪玉菌)が暴れ出して腎不全になるから(Wong J et al.2014)気をつけてよ。
だって、腎不全の原因になる尿毒症物質って100%ヤンキー(腸内細菌)によって作られるんだから。

だから約束して欲しいの、私(腸内細菌)とあなた(人間)の条約(ルール)を結んで。

1)あなた(人間)が食物繊維を食べてくれたら、私(腸内細菌)は、私がネバネバ(粘液層)をプレゼントして有害な細菌やウイルスが不法侵入するのをブロックしてあげる。
2)あなた(人間)が食物繊維を食べてくれないと、”条約違反”としてネバネバ(粘液層)を私が食べてやるわ!
3)抗生物質とか食品添加物/人工甘味料とか高脂肪食(西洋食)はやめてよ

これからもずっと仲良くしてね。
最後まで読んでくれてありがとう。

あなたの腸に住む細菌より




あとがき
このメルマガのコンセプトは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。情報量がかなり多くて1度読んだだけでは100%の理解は難しいと思います。仮に10%しか理解できなくても次に読んだり聞いたりした時に点と点が繋がって線になる時がいつか来るので心配しないで下さい。
特に腸内細菌と口腔内細菌と皮膚細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。特に免疫細胞の70-80%が配備されている腸管は脅威となる病原体との主戦場となる。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、課題はやはり「慢性炎症のコントロール」と「フリーラジカルの制御」だと考えています。

犬アトピー性皮膚炎の治療戦略として「プロバイオティクス(有益な生きた細菌)/プレバイオティクス(有益な細菌のエサ)を用いた補完治療法の確立」を目指しています。まさに乳酸菌クラスター爆弾の投下。この治療介入は薬物と違ってリスクは全くないか、あったといても無視できる程度です。
実際に臨床現場の最前線で、有効な菌を与え(プロバイオティクス)、その菌を育てる(プレバイオティクス)ことで腸壁に住む細菌のアンバランス(dysbiosis)を元に戻すと痒いという症状が結構改善していく動物たちを目の前でみて、やはりそのキープレイヤーとなるのは菌だと感じています。
口から入り胃を通過して腸管内を移動し、定住せず短期間だけ“宿泊”し、腸管の動きに合わせて移動しながら、その一瞬一瞬で任務を全うして勇敢に戦死するエキサイティングなビフィズス菌や乳酸菌。
まだ絶対的正解はないが、実際に決定打となり裏打ちする研究結果がはっきりとそれを証明しています。特に脅威となる皮膚のブドウ球菌や口腔内のグラエ菌に対して力ずつのアプローチ・抗菌薬による殺菌という空爆で有用菌まで無差別に爆撃することのないように静菌制御して、動物達の腸管内や皮膚表面に暮らす細菌たちの潜在能力に期待するとともに、一生懸命育てた菌の邪魔をしない世界を目指します。
そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…


文責
川野浩志(獣医学博士)
東京動物アレルギーセンター
九州動物アレルギーセンター
福岡動物アレルギーセンター
名古屋動物アレルギーセンター
日本獣医皮膚科学会 認定医
藤田医科大学医学部 消化器内科学講座 客員講師
全日本暴猫連合なめんなよ 親衛隊長(公認)
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