東京動物アレルギーセンター

mail magazine backnumber

メールマガジン バックナンバー

第40話 肥満と腸内細菌〜「痩せ菌」vs 「デブ菌」の戦い〜

第40話 肥満と腸内細菌〜「痩せ菌」vs 「デブ菌」の戦い〜

ゴードン博士は、おデブの人ほどファーミキューテス類(肥満型の腸内細菌)が多く、おデブじゃない人ほどバクテロイデス(痩せ型の腸内細菌)という細菌が多く存在していることを突き止めました。故にファーミキュース類はおデブにする「デブ菌」、バクテロイデス類は肥満を抑えるので「痩せ菌」と呼ばれています。「デブ菌」と「痩せ菌」のバランスでおデブかスレンダーが左右されます。実際、おデブの人に1年間食事制限で減量させると、腸内環境はファーミキュース類が減って、バクテロイデス類が増えます。

次に、ゴードン博士は「痩せ菌」を持った痩せマウスと、「デブ菌」を持った肥満マウスを同じケージに入れ、意図せずマウスがお互いのウンチを食べた結果、マウスの体重がどう変化するか?という実験をしました。ゴードン博士はこれを「細菌叢の戦い」とよんでいます。つまり「痩せ菌」と「デブ菌」ではどちらが影響力が強いか?を調べました。

結果は、
1)痩せマウスは、肥満マウスのウンチを食べても痩せたまんまでした。
2)肥満マウスは痩せマウスのウンチを食べて痩せました。

その理由は、痩せマウスは腸内細菌に多様性があり色々な菌が存在しているので、肥満マウスのウンチの菌が侵略してきても迎撃する防衛力があるから影響を受けなかったけど、肥満マウスは腸内細菌に多様性がなく偏った菌しかいないので迎撃する防衛力が低く、痩せマウスのウンチの中の菌が一方的に侵略できたんじゃないの?って考えられています。

肥満の人の腸内細菌には肥満にさせるデブ菌があるのではなく、肥満を防ぐ菌が少ないたおデブになります。痩せた人の腸内細菌には、多様性があり、肥満を防ぐ菌が多いためがっつり食べても太らないという理論です。実際に、腸内細菌がしっかりしていれば欧米食を食べても体重が増えないことが動物実験で証明されています。しかし腸内細菌は食事内容の変化ですぐ(2−3日で)に変化するため、健康な腸内細菌を維持するためには健康的な食事を継続する必要があります。

肥満とは体の中の脂肪細胞が脂肪を蓄えデカくなることです。短鎖脂肪酸はこの脂肪細胞の暴走を止めるブレーキの役割をしていいます。代表的な短鎖脂肪酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸で、それを作る腸内細菌の代表選手がバクテロイデスです。バクテロイデスはなんと脂肪の吸収をガッツリ抑えながら同時に脂肪を燃焼させる短鎖脂肪酸を作ります。

人(動物)の体の細胞には短鎖脂肪酸がくっつくスイッチ(受容体)がいくつか存在します。このスイッチは大腸(粘膜上皮)、脂肪細胞(GPR43)、交感神経(GPR41)などに存在しています。

交感神経のスイッチがONになると心拍数や体温を上昇させエネルギーの消費を増やしたり調整してくれます。例えばラーメン二郎を食べすぎても血中の短鎖脂肪酸の濃度をあげて交感神経を刺激しエネルギー消費を増やしておデブにならないようにしてくれています。さらに脂肪細胞のスイッチがONになると脂肪の吸収を抑えてくれるのです。さらに酪酸やプロピオン酸は腸管から脳に司令(GLP-1やPYY)を出して満腹感を持続させ、酢酸は脳に「食欲を抑えよ!」と命令して食欲を抑えます。
 
 じゃあどうしたらいいか?というと、お腹の中にいる腸内細菌にお願いして、”天然の痩せ薬”である酢酸をはじめとした短鎖脂肪酸を腸管内で作り続けてもらえば良いです。そのためには腸内細菌が喜ぶことをしてあげることが最優先課題です。どうしたら腸内細菌が喜ぶかというと、腸内細菌が大好物のエサを与えてあげれば良いのです。腸内細菌が大好きなエサは食物繊維、ムチン(ネバネバ)、オリゴ糖(ニストースやケストースなど)です。腸内細菌にこれらのエサを与えているうちは、腸内細菌は短鎖脂肪酸を作り続けてくれます。

昔、小指を立てた男性が、「私はこれで会社を辞めました」という 禁煙パイポのCMがありましたが、「私は○○を食べて痩せました。」とか「私は炭水化物を抜いて痩せました」などと極端な糖質制限や無謀なダイエット手法でお手軽に痩せようとしたくなる気持ちはよく理解できますが、まずは腸内細菌に”投資”して、健康という”配当”を得ることが大切だと感じています。

あとがき
このメルマガは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。
特に腸内細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、ペット合ったオーダーメイドの乳酸菌を飲むとによって腸内の細菌のバランスを元に戻してあげることによって痒いという症状が改善していくの目の前でみて、やはりカギとなるのは菌だと感じています。そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

文責
東京動物アレルギーセンター
九州動物アレルギーセンター
福岡動物アレルギーセンター
名古屋動物アレルギーセンター

川野 浩志(獣医師 獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
.................................................
【当店オススメ商品】
◆愛犬・愛猫用「高機能プレバイオティクス/高純度ケストース100」腸内環境改善でアレルギー改善‼
https://tsuku2.jp/ec/viewDetail.php?itemCd=70250028092506

◆ 犬猫用キヌアビスケット5個セット(スティックタイプ)/グルテンフリー・カゼインフリー・シュガーレス・トランス脂肪酸0・アレルゲンフリー‼
https://tsuku2.jp/ec/viewDetail.php?itemCd=20001802028206

◆ 犬猫用キヌアビスケット10個セット(スティックタイプ)/グルテンフリー・カゼインフリー・シュガーレス・トランス脂肪酸0・アレルゲンフリー‼
https://tsuku2.jp/ec/viewDetail.php?itemCd=22088162420020

━━━━━━━━━━━━━━━━━
★Instagram
東京動物アレルギーセンター(https://taac.jp
・公式Instagram : https://instagram.com/t.animal.allergy.center
九州動物アレルギーセンター(http://www.pal-animal.com
・公式Instagram :https://www.instagram.com/k.animal.allergy.center/
福岡動物アレルギーセンター (http://live-ac.com)
・公式Instagram :https://www.instagram.com/f.animal.allergy.center/
名古屋動物アレルギーセンター(http://www.mizuno-ac.jp)
・公式Instagram :https://www.instagram.com/n.animal.allergy.center/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
辻安全食品
◇Instagram
https://instagram.com/tsujianzen
◇Facebook
http://www.facebook.com/tsujianzenshokuhin
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 

メールマガジン バックナンバー

過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています。

メルマガを購読する