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第65話 「ドベネックの桶」って何?〜

第65話 「ドベネックの桶」って何?〜

科学雑誌「Frontiers in Nutrition」に2020年に掲載された”Zinc, Vitamin D and Vitamin C: Perspectives for COVID-19 With a Focus on Physical Tissue Barrier Integrity”という論文によると、口腔から腸の表面にある粘膜細胞は、隣同士の細胞ががっつり”スクラム”を組んでバリアを作り、ウイルスの体内への侵入を防御しているが、「ビタミンC」、「ビタミンD」、「亜鉛」が欠乏すると粘膜細胞のスクラムが崩れてウイルスの侵入を許してしまうと報告(José João Name et al.2020)されている。つまり
「ビタミンC」、「ビタミンD」、「亜鉛」は、口から腸までの粘膜細胞の”スクラム”にとって大事な役割を果たしているということ。

また科学雑誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」に2014年に掲載された”Low vitamin D levels are associated with atopic dermatitis, but not allergic rhinitis, asthma, or IgE sensitization, in the adult Korean population”という論文では、ビタミンDがアトピー性皮膚炎や花粉症、アレルギー性鼻炎などの治療に有効かもしれないと注目されていて、アトピー性皮膚炎と診断されている人が、アトピー性皮膚炎と診断されていない人よりも明らかに血中ビタミンD〔25(OH)D3〕濃度が低かったというデータが発表されている。

さらに科学雑誌「Science」に2006年に掲載された”Toll-like receptor triggering of a vitamin D-mediated human antimicrobial response”という論文でもビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進し、骨を丈夫にすることだけではなく、細菌やウイルスに対する免疫を高めたり、炎症を引き起こす警報(炎症性サイトカイン)を抑えてアレルギーの症状を和らげ、免疫を整える作用もあると報告されている。

どうやらビタミンDはかなり大切なミネラルだということはなんとなくわかった。じゃあビタミンDをガッツリ飲めば良いか?というとそうでもなさそうだ。

ドイツの有機化学者リービッヒが提唱した「リービッヒの最小養分の法則」という植物の成長の仕組みを説明した理論がある。この理論をわかりやすく噛み砕いて説明すると、「生物の成長は、1番足りない栄養分に左右されるから、1番足りない栄養分を足さない限りどんなに他の栄養分を足してもダメ(生物の成長はその生物が利用できる必須栄養素のうち最少のものに依存)」

この理論をドイツのドベネックっていう研究者が直感的にわかりやすく説明するために書いたのが「ドベネックの桶」というイラスト。

桶の中の水が植物の成長量、板が成長に必要な要素や養分と仮定すると、たくさん摂れている養分の板は高くなるが、不足している養分の板は低いままで、結局、そこから水が漏れていってしまう。つまり、植物の成長には、最も少ない要素が関係するという理論。
従って、1つの養分をガッツリ補給するのではなく、バランスよくすべての要素を補給することが大事って教え。

落合博満、清原和博、タフィー・ローズといった他球団の4番打者を並べた史上最強の巨人打線ですらペナントレースで優勝できなかったのも打線のバランスが悪くてチームの機能不全。ヒトも動物も三大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物のほか、ビタミン、ミネラルという必要な栄養素をバランスよく摂取したい。



あとがき
このメルマガは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。情報量がかなり多くて1度読んだだけでは100%の理解は難しいと思います。仮に10%しか理解できなくても次に読んだり聞いたりした時に点と点が繋がって線になる時がいつか来るので心配しないで下さい。
特に腸内細菌と口腔内細菌と皮膚細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。特に免疫細胞の70-80%が配備されている腸管は脅威となる病原体との主戦場となる。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、課題は「慢性の炎症」と「フリーラジカルの制御」だと考えています。
有効な菌を与え(プロバイオティクス)、その菌を育てる(プレバイオティクス)ことで腸壁に住む細菌のバランス(dysbiosis)を元に戻し、痒いという症状が改善していく動物たちを目の前でみて、やはりそのキープレイヤーとなるのは菌だと感じています。実際に裏打ちし決定打となる研究結果がはっきりと証明している。特に脅威となる皮膚のブドウ球菌や口腔内のグラエ菌に対して殺菌という空爆で有用菌まで爆撃することのないように静菌制御して、一生懸命育てた菌の邪魔をしない世界を目指します。


そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

文責
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名古屋動物アレルギーセンター
川野浩志(獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
藤田医科大学医学部 消化器内科学講座 客員講師
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