ツリーベル教育研究所  【すーさんの学校】

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230【すーさんの学校】うさぎと亀が教えてくれた

 ウサギと亀のお話しで、亀がどうして勝つことができたのかというのを聞きました。
ウサギは、亀に勝つことが目標で、亀は、ゴール地点でガッツポーズをするのが目標だったと言うことでした。
ねらいとしているものが違うということです。
 しかし、ウサギが油断して眠っているのをよいことに勝ったにもかかわらず、亀を悪く言う人はいないし、そんなことを考えることすらありませんでした。
このお話は、何を言いたかったのでしょうか。
 昔話は、面白いもので、年齢や時代によってとらえ方も違ってきます。
この話しの中で、勝つことよりもっと大切な事だってあったはずです。
もしも、亀がウサギを起こしてしまい、ウサギが「亀さんありがとう」って言って、勝負をしたのでは、作品としてなりたちません。
 「ウサギと亀の歌」の4番の歌詞には、”これは ねすぎた しくじった・・・ あんまりおそい うさぎさん さっきのじまんは どうしたの”とあります。
ウサギの油断、自慢ばかりしてはいけないというのを、読み取ることができます。
 きっと、このウサギと亀のお話しは、勝つことだけを目的とした競争だから、勝負に油断は禁物であるということを言いたかったのだろうと思います。
 けれども、子供の教育で、亀は偉いとか立派だとかしか子供の心に残らなかったとしたら・・・。
 「友達の油断や失敗を喜びなさい、そして友達の弱点を狙え」ということが知らない間に意識の中にインプットされ成長してゆくとしたら・・・。
 確かに競争には強い子になるかもしれません。
でも、競争しかなくて、競争が全てだということが、無意識の中に植えつけられて育ったならば、相手のことを考えないようになって、勝つことだけにこだわりをもち、心が貧しくなっていくのではないかと思います。
 人の失敗を喜んだり、欠点を笑ったり、弱点を攻めたりする心がどこかで芽生えて育っていくのではないでしょうか。
 勝つ人がいれば、必ず負ける人がいます。
勝負の世界に、負けたくて負ける人はいません。
負ける人に対するいたわりや思いやりを、誰が教えてくれるのでしょうか。
 人生は勝つことだけでは幸せにはなれません。
勝ち負けをはっきりつける試合で、勝負がつくにしても、相手の身になって相手を思いやる姿を見せることが、人として成長するのだと思います。
 勝ち組、負け組ではなく、人を幸せにできる、喜ばせる組になりましょう。


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