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183【すーさんの学校】おばあちゃんのおにぎり🍙
県立高校入試の放課後、職員室に一人の生徒がやって来ました。
「先生、涙で問題が読めなかった」と言ってきました。
県立高校入試国語の文章問題で「おばあちゃんのおにぎり」(著者:さだまさし)という問題が出題されましたた。
この話は、出題される前から知っていましたが、まさか、入試問題に出題されるとは、夢にも思っていませんでした。
さだまさしさんが小さい頃、自分の誕生日の日に経験した話です。
いまだに苦い思い出として残っているのは、小学一年生のときの僕(さだまさし)の誕生会。
僕を一番可愛がっていた祖母から「マー坊の一番好きなものをプレゼントするよ」と言われていて、これはすごい物をもらえるぞと期待していました。
そしたら色とりどりのご馳走が並んでいるテーブルの上に、山盛りのおにぎりがありました。
でもそのおにぎりは、その場の雰囲気にまったくそぐわないものでした。
おばあさんのおにぎりは、さださんの大好物で、お腹がすくと 「おばあちゃん、おにぎり、おにぎり」とせがんでいました。
おばあさんはいつものおにぎりを作って、豪勢な料理の並ぶ中に置きました。
小学一年生の子供が、おばあさんの胸のうちを理解できるわけもなく、彼はおにぎりに手もつけず友達と遊びに出て行ってしまいました。
豪勢な料理の皿は平らげられ、手付かずのおにぎりの山だけが残りました。
なんとなく子供心にも気にかかりながら家に帰ると、祖母が薄暗い土間の食堂でそのおにぎりを崩しながらお茶漬けにして食べているんですよ。
それを見た途端、「今から食べるけん」とかなんとか言ったんだけど、「そんなに気をつかわんでもいいから」って、祖母は厭味一つ言いませんでした。
僕は子供心にも、自分がいかに祖母に酷なことをしたんだろうと思って、泣きながら二つばかりムシャムシャ食った記憶が今も鮮明に残ってるんです。
「精霊流し」(幻冬舎文庫)解説から
子ども心に思ったんでしょうね。
大好きなおばあちゃんが、自分の大好物のおにぎりを、大切な誕生日にプレゼントしてくれました。
おばあちゃんは、さださんの喜ぶ顔が見たかっただけだと思います。
しかし、そのおばあちゃんの期待を裏切ってしまったことを悪く思ったのでしょう。
だから、無理して食べようとするさださんに、優しく声をかけてくれたことが、余計に涙をさそったのでしょう。
たまらなく辛かったのでしょう。
いろんなことを考えました。
「おにぎり」へのおばあちゃんの想い、家族としての絆、おばあちゃんの人としてのおもいやり、人を傷つけないようにする考え方、子どもだけれど身に付けなければならないこと。
人は、一つのことがきっかけで大きく成長します。
それは、年齢に関係なく、突然やってきます。
そして、そのきっかけとなったことは、いつまでも自分の心の中に残り、人としての成長する支えとなるのだと思います。
つらいことも楽しいこともすべてです。
時に人は、自分が気が付かないうちに、相手を傷つけたりしているかも知れません。
でもそれは、仕方のないことだと思います。
しかし、中には、自分は気が付いていなくても、いつも人を幸せにしている人もいます。
大切なことは、いつも、人のことを考えて思いやりの心で行動する想いを持ち続けることだと思います。
そんな人に、私もなりたい・・・。!(^^)!