ツリーベル教育研究所  【すーさんの学校】

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182【すーさんの学校】お母さんの「おにぎり」🍙

 「どうしてお母さんのおにぎりがあんなにおいしかったのか、やっとわかった気がしました。」
2006年の新聞に掲載された広告です。
この広告の本文によると、社員研修で「おにぎり」づくりを行うのだそうです。
自ら、おにぎりをつくることで、相手の立場に立って心をこめることを体得するという話でした。
   

子どもの頃,遠足や運動会の日に
お母さんが朝早く起きてつくってくれた,おにぎり。
何気なく食べていたあのおにぎりのおいしさは,
実はお母さんの愛情のおいしさだったんだと,今になって気がつきました。
きっとお母さんは私がうれしそうに食べる姿を想い浮かべながら,
愛情いっぱいに握ってくれていたんだと思います。
会社に入って,研修でおにぎりをつくると言われた時,
最初は理由がわかりませんでした。
みんなで炊いたご飯を自分の手で握りました。
でも,そうしてつくったおにぎりを互いに食べくらべるうちに,気がついたことがありました。
つくる人の顔が一人ひとり違うように,出来上がったおにぎりも,
一つとして同じものはありませんでした。
形も,握る強さも,塩かげんも違う。
ご飯を自分の手で握る。だだそれだけのことだからこそ,
おにぎりは握った人の気持ちや想いがそのままあらわれるのでしょう。
すべての手順を,一つひとつ心をこめてていねいにやらないと,
おいしいおにぎりはつくれないのです。
食べる人のことを想って,自分の心を握るつもりでつくってこそ,
はじめておいしいと思ってもらえることに気がつきました。
                          『再春館製薬所』の新聞広告より


  「お母さんのおにぎり」という言葉を聞いただけで、やさしいとか温かいとか、なつかしい記憶も思い出します。
ごはんを茶碗で食べるのと、「おにぎりにしてあげようか」と言われ、おにぎりで食べるのはまったく違います。
おにぎりには、自分にしかわからない味と思い出があるものです。
 この広告を見るまでは、「おにぎり」について、こんなに深く考えたことも、感じたこともありませんでした。
特に、何かが入っているわけでもない、ごま塩だけのおにぎりであっても、それで十分に美味しかったからです。
その理由を理解することができました。
いろいろ考えながら、おにぎりをつくってくれたのだということでした。
 学校では、食育についていろんな研究や研修が行われています。
子どもに指導するまえに、まずは、自分たちがおにぎりをつくってみてはどうでしょうか。
そして、子どもたちにもつくらせてみましょう。
親と一緒につくらせてみましょう。
それだけで、十分に伝わることがあるはずです。
 「お母さんがつくってくれるもので一番美味しいのは何?」ときかれて、「おにぎり」と答える子どもがいたら、きっと、お母さんは幸せを感じることだと思います。
 世の中には、残したくても残せないものがあります。
母親のつくってくれた「おにぎり」は残すことが出来ません。
しかし、自分の心の中にある思い出と自分にしか分からない美味しさだけは、いつまでも残すことができるだろうと思います。

 今、母親から、何が食べたいと言われたら、迷わず答えます。
「ごま塩のおにぎり」🍙

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