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199【すーさんの学校】失敗記念日
失敗とは遅れであり、敗北ではない。
それは一時的な回り道であり、行き止まりではない。 ウィリアム・アーサー・ウォード
『失敗記念日』
子育てをしていて困ったことがあると、私は母や祖母のことを思い出します。
この二人の女性は、秘密の花園のごとく真冬のさなかにも花が咲くようにと、私の心に知恵の種を蒔いてくれました。
ある特別寒い日、家に帰ると横柄な文面のガス代の督促状が私を待っていました。
その上、三人の子供達までがえらくふさぎ込んでるではないですか。
十一歳のトニーは、床屋さんで短く刈られてしまった髪を気にしていました。
「先生ったら『男の子は部屋の中で帽子をかぶるものじゃありません』って、野球帽を取り上げちゃうんだもの。
一日中『丸坊主』とか『スキンヘッド』とか言われるはめになったよ」と、両手で頭を隠しながら言いつけました。
二年生のリサは、綴り字大会の決勝戦で、びくびくしてしまったばかりに‘afraied(恐れて)の綴りを間違え、優勝を逃がしたとしょげていました。
人生には、こんな皮肉もある。一年生のジョニーは、音読の時間に緊張しすぎて笑ってしまい先生から叱られ、文章を読んでいる途中でつっかえて友だちからも笑われたと言っています。
そこで私は提案しました。
「ねえ、あなたたち、今日を失敗記念日ってことにしない?みんなでお祝いしましょうよ!」
子どもたちは、びっくりした顔で私を見つめました。
「おばあちゃんはいつも、『成功するより、失敗したほうがためになる』って言ってたわよね。
あちこちの岩にぶつかってつるつるになった石ほど、水面をよく飛ぶのよ。
さあ、マクドナルドへ行って、第一回目の失敗記念日パーテイーをやりましょう!」
それ以来、私たちは何回も失敗記念日パーテイーをやりました。
そして、失敗したことをくよくよする代わりに、その中から何かしら祝うべきものを探し出すことを学んだのです。
私は、母や祖母から受け継いだ知恵の種を子供たちの心に蒔いてやりたいと願っています。
いつの日か、その種が芽を出して彼ら自身の庭で花開くことができるようにと。
ジュディス・トウズ=ロバーツ
どんなに頑張っても、失敗することもあります。
通り過ぎていった失敗という事実は、 戻ってきません。
まして、好き好んで失敗する人はいないと思います。
しかし、そのことを失敗にしてしまわないようにすることはできるはずです。
人生の中での失敗は繰り返されて、本物に近づいていくと信じています。
だから、失敗したことを、落ち込んでいて、前に進まなくなったときが、失敗になるのだと思うのです。
自分の中で、失敗したときは、『失敗記念日』にしてみましょう。
一人だけのパーティでもいいのではないかと思います。
きっと、その日は、いつか、本当の記念日になるはずだから・・・。!(^^)!