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191【すーさんの学校】クッキーどろぼう
女がひとり、夜の空港で待っていた。
飛行機が出るまであと数時間。
女は空港の売店で本をあさり、クッキーを一袋買って、腰をおろした。
夢中になって本を読んでいるうち、ふと気づけば横にいる男が、こともあろうに、二人の間に置いた袋から、クッキーをつまんでいる。
女は騒ぎを起こすのがいやだったから、知らん振りを決め込んだ。
女は本を読み、クッキーをかじり、時計を見ていたが、あきれたクッキーどろぼうは、クッキーをどんどん食い荒らしてくれる。
刻々と時間がたつにつれ、女のいらいらはつのるばかり、"あたしがこんないい人でなきゃ、ぶんなぐってやるわ!"
女がクッキーを一つ取れば、男もまた一つ取る。
最後の一つが残ったけど、この男はいったいどうする気だろ?
男は頬をゆるめ、わざとらしく笑うと、最後のクッキーを、手に取り、二つに割った。
その一つを女に差し出し、残りを男は食べた。
女は男からクッキーのかけらをひったくると、内心思った、"ああ、なんてやつ。
この厚かましさ、この恥知らず、一言の礼も言わないなんて!"
こんなに腹が立ったのは生まれて初めてだわ。
出発便が呼ばれたときには、ほっと安堵のため息が出る始末。
荷物をまとめて、ゲートに向かい、"恩知らずのどろぼう"には目もくれずに立ち去った。
女は飛行機に乗り、座席に身を沈め、やおら本を捜した、あともう少しで読み終わるわ。
荷物の中をまさぐった女は、驚いて息をのんだ。
なんと自分が買ったクッキーがある!
「私のクッキーがここにあるなら」うちのめされて彼女はうめいた、「あれはあのひとのだった、それを私に分けてくれた!」あやまろうにも手遅れだと、女は悲しみに身もだえた。
自分こそ恥知らずの、恩知らずの、どろぼうだった!
『心のチキンスープ3より』 ヴァレリー・コックス
相手を許すというのは、何の条件もなしに、何があっても許すということです。
人がもっている素敵な生き方の一つであると思います。
「絶対許さない」と思っていても、相手の誠意が見られれば、「もういいよ」と言いたくなるものであります。
許すというのは、感情の上でも心からその恨みを無くすことになります。
もしも、相手に誠意が見られないときは、その人は「その位の人なんだ」と思うしかありません。
無理に、気付かせてやろうとする必要もないと思います。
相手が許してくれたことを、しっかりと受け止めることが出来れば、きっと、その人は、人を許すこと、人を大切にすることを学び、幸せな人生をおくることもできると思います。
その人に素直さがあればの話しですが・・・。
ことの大きさに関係なく、「許す」という行為は、自分も幸せにすることになるのだと思います。
いつまでも、「嫌なこと」を自分の中で引きずっていても仕方のないことだからです。
福の神は、そんな嫌な事は好みません。
これからの人生、嫌な事もあるでしょう。
人に嫌な思いをさせることもあるでしょう。
そんな時は、大切にしなければならないことは何かを考えれば、答えは自ずと出てくるはずです。!(^^)!