えびなハチドリプロジェクト

2024年9月の市議会レポート​​​

9月の議会は前年度の決算がありました。
​前年度の予算策定時はまだ議員になる前だったため、予算策定には関わっていませんが、決算として生活者支援や教育・福祉の面にもっと積極的にお金を使って欲しい、ということを論点として、反対討論をしました。

補正予算では、文化ゾーン(文化会館・図書館・福祉会館がある
エリア)の整備計画がありました。
​​一見ワクワクするような話しですが、指針の中身をよく見ると「???」なこともあり​、最終的には反対しました。

​一般質問では、以下の2点について行いました。
​・マイナ保険証について
​・小中学校における教員の負担軽減について
1つ目は、​現行の保険証の発行廃止まで3ヶ月を切ったことに伴って、市民の方から
マイナンバーカードやマイナ保険証に対する不安や懸念の声を伺ったことから、取り上げました。
​2つ目は、以前から継続して取り上げている教育に関する課題ですが、今回はスクールサポートスタッフや
学習支援ボランティアのことを中心に質問しました。
​​フルインクルーシブ教育を進めるためにも、
不登校やいじめの問題を減らすためにも、土台となる教員の働く環境の改善は急務です!
​市で取り組めることとして、教員以外のスタッフの充実、活用によって、複数人で子どもたちを見る環境作りについて取り上げました。

​また、今回は多くの意見書が提出された議会でした。(5件提出、4件可決。)市民の方からの陳情書も多く、その内のいくつかは趣旨了承となり、これまでよりも市民の声が届き、更にそれを国に届けることができた議会として、印象に残りました。
​この流れが更に活性化されることで、海老名市は市民の声が市政に反映される街になります。そのような流れを作れるよう、ありいあいこもおはなし会などで、陳情書の書き方などを取り上げていきたいと思います。

それでは、​それぞれの議題について、詳しく振り返りたいと思います。​

​海老名市議会の議案や賛否の結果などは、ホームページで公開されています。
傍聴や中継に関する案内も載っていますので、​こちらもぜひご覧ください。
海老名市議会ホームページ https://ebina.gijiroku.com/index.asp​​​
​-----------------------------------------------------------------------------
​Index​

○予算・決算常任委員会(文教社会分科会)
​​
​​
​○一般質問
​・マイナ保険証について
・小中学校における教員の負担軽減について

​○議会最終日の反対討論
​・令和5年度海老名市一般会計歳入歳出決算認定 認定第1号
・令和5年度海老名市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定 認定第3号

​○意見書
​・現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書 意見書案第5号

​​-----------------------------------------------------------------------------
○予算・決算常任委員会(文教社会分科会)​​​
・各種開発事業について

東口の自由通路延伸や、中新田丸太地区の開発、市役所周辺地区の市街化区域編入などが着々と進められていますが、気候危機や災害の多発が喫緊の課題となっているこの社会情勢の中で、田んぼを無くして住宅や商業施設を作ることに多くの市民が疑問を持っています。
​頻発する大規模災害に備えることと合わせ、高齢者が安心して出歩けるためのベンチやトイレの設置、緑を多く残した公園、車がなくても歩いて用事が済むまちづくりなど、市民の多様な声を聞いたまちづくりができているか疑問です。
​もっと市民参加型の対話を行い、今の社会の中で市民が本当に求めているまちづくりの在り方について、税金の使い方も含めて見直すことを求めます。
​​
・保育園待機児童問題について​​

​増加する保育需要に対して市は5年間で9園保育園 を増やすなどの対応はしていますが、追いついておらず、多くの方が保活に疲弊したり、何らかの希望を諦めざるを得ないなどの状況に陥りました。
​令和6年には公設民営での保育園整備に踏み切る決断がありましたが、事態を重くみていればもっと早い対応が可能であり、公立の門沢橋保育園を廃園にする判断の見直しや、他市で行われている「送迎保育ステーション」なども含めた保育園事業の大胆な転換はできたはずです。
​​
・コロナ禍や物価高騰が続く中、市民の暮らしの大変さに寄り添った支援が十分でなかったことについて​​​​

​市はプレミアム付商品券発行事業を継続し、市民生活への支援と市内経済 の活性化を図ったとしていますが、十分だったと言えるかどうか疑問です。近隣では期限 付きで学校給食費を半額や無償にし、子育て世代の支援をしていました。プレミアム付き商品券の効 果も認めますが、それ以外の生活者への直接的な支援も必要です。

・わかば会館の重度しょうがい者ケアセンターの移転について​​​​

​令和5年度に補正予算で設計事業費が上がってきましたが、移転先の土地がハザードマップ上危険な地域であること や、利用者家族が十分な説明を受けていなかったなどの問題が顕在化しました。
​令和5年度中に利用者家族への説明会は何度も開かれていましたが、納得の行く説明や信頼関係ができていない中で設計のスケジュールが進められたことは大変遺憾です。
​今後の進め方については十分に誠意をもった対応をしていただき、利用者やそのご家族の要望に丁寧に耳を傾けることを求めます。

・令和5年度の実質収支について​​​​

もろもろ差し引くと約8億5千万円が剰余金となり今後の財源になっていくとのことでした。剰余金が出るということは、この剰余金分は何かの事業費として使うこともできたということです。​約8億5千万円という剰余金の額が決して大きい額ではないことは理解していますが、生活者への直接的な支援や、給食費の一部無償化などは実施できたと言えます。
​財政指標の一つである「実質収支比率」を見ても、令和5年度は7.5%です。この比率は通常3~ 5%が望ましいとされているため、海老名市がもう少し歳出を増やせることを示しています。
​今後のさらなる生活者への支援について、強く求めたいと思います。
画像引用:海老名市議会ホームページより
https://ebina.gijiroku.com/g07_Video_Search.asp?kaigi=96&Sflg=1​​​

○一般質問​​​​

一般質問では、以下の2点について行いました。

・マイナ保険証について
・小中学校における教員の負担軽減について

それぞれの質問と答弁の概要を以下に記載します。

1 マイナ保険証について​​​

​国が進めるマイナンバーカードと健康保険証の一本化について、令和5年12月の閣議決定により、令和6年12月2日で現行の保険証の発行が廃止されることが決まりました。これに対して私の周りでも多くの方が不安や憤りを持っている状況があります。
​健康保険証のような国民の福祉に大きく関わるものを、国民の理解が得られていないまま半強制的に変更させることは問題であり、市民だけではなく医療関係者や各種団体からも反対の声が上がっています。
​今後ますますマイナ保険証1本化に向けての施策が進んでいくと思いますが、市役所や医療機関、教育機関などのさまざまな場面で、マイナ保険証を強制的に持たせるような圧力がかからないようにすることが必要です。

○1点目 市民への正しい情報の周知について

マイナンバーカードを持っていない人や、持っているが保険証との紐づけをしていない人たちから、「急いで作らないと」と焦る声や、「不安があるから変えたくないけれど今の保険証が廃止になるなら仕方ないのか」などの困惑の声を聞いています。
​12月2日以降も現行の保険証は最長一年間は使えることや、資格確認書の交付についてなど、市民が正しい情報を得られるように、市として行っている対応について伺いました。

○2点目 各種窓口などでの対応について​​

​マイナンバーカードの申請に法的な義務がなく任意である以上、持たない選択をする市民が一定数いることは必然です。しかし政府がマイナ保険証への一本化を半強制的に押し進めているため、市民に選択肢があることが正しく伝わっていないことが懸念されます。
​市役所窓口や医療機関、教育機関などにおいて、マイナ保険証の取得が義務であるような対応をしないこと、持っていない市民が不利益を被ることがないようにすることなどを徹底する必要があると考えますが、市としてどのような対応をしていくか伺いました。

1点目について、市は、既に国民健康保険及び後期高齢者医療制度 については、今年度の被保険者証の一斉更新の際に、マイナ 保険証に関する案内文を送付しています。また市のホームページや、市役所1階のモニタにて、マイナンバーに関する動画を配信し周知を図っています。
その他、11月1日発行の広報えびなでにて、マイナ保険証に関する案内を掲載する予定とのことでした。

​2点目については、医師会や教育委員会を通じて周知を行っているとのことでしたが、実際に病院の会計窓口で今の保険証が使えなくなると思っている患者さんへ、訂正することなく市の窓口での手続きを案内していたり、学校では修学旅行の説明会で、保険証のコピーとしてマイナポータルに登録して得られる被保険者資格情報のPDFファイルをプリントアウトして提出するように、といったような案内が行われていたりします。

​これらに対し、マイナ保険証を作らなくてはいけない、またはマイナ保険証がないと学校行事に参加できないといった誤解が生じないような、市民に対する正しい情報を周知を求めました。

また、市長に対しても​、12月2日以降、医療現場での混乱 など市民生活に影響が出るかもしれないということ、そのことをよく注視して、何かあった場合はぜひ市民の利益を優先して、国に対して改善を求めるなど、毅然とした態度をとっていただきたいということを求め、その見解を伺いました。

市長からは、これは難しい問題であり、国として決められたことはきちんとやらざるを得ないという​市町村の立場というものがあるけれども、市民の混乱はできるだけ避けていきたいと思っているという答弁をいただきました。 
​​
2 小中学校における児童生徒の教室以外の居場所について​​

平成30年に文部科学省が「学校における働き方改革推進プラン」を策定し、その後県や市においても様々な取り組みがなされてきていることは承知しています。​しかしながら、教員の働く環境については業務量の多さや煩雑さが以前として変わらず、全国的に教員のなり手不足は益々深刻化しています。​
​今年の6月に私が周囲に声をかけてフルインクルーシブ教育についての対話会をした際にも、なによりもまずは先生たちの待遇改善が一番であると多くの保護者の方が仰っていました。また、今年の8月に開催された県主催のインクルーシブ教育推進フォーラムに参加した際も、現職の教員の方から、「教員の待遇改善がなにより優先で、業務の精選ができていないことが問題。インクルーシブ教育を進めるための土台がガタガタで今のままでは無理。解決に向けて動いてほしい。」と切実な声が上がっていました。

教育に関わる方は十二分に理解されていることと思いますが、教員が心と時間に余裕をもって仕事に取り組むことは、授業準備や子どもたち一人ひとりと向きあう時間を十分に確保することに繋がり、教育全体の質の向上に大きく寄与するとともに、不登校を未然に防ぐことやいじめなどの早期発見にも効果が期待できると考えます。

海老名市がフルインクルーシブ教育を推進していくためにもまずは土台である教員の働く環境の改善が最優先課題であるとの考えから、今ある制度のなかでもまだ十分に活用できていない点や、更なる拡充を求めたい点について、以下3点について伺いました。

○1点目 スクールサポートスタッフについて​​

​事務作業などの教員以外ができる仕事をサポートする仕組みについて、県費で配置されている「スクールサポートスタッフ」が有効だと考えます。利用している先生や学校現場からは大変助かっているとの声がありますが、一部の先生しか使えていないなど利用範囲が限定的になっているとの声も聞いています。
​スクールサポートスタッフが扱える業務は事務作業全般で多岐に渡るため、教員がこれらの業務から開放されることは業務の軽減に大きく貢献すると考えますので、現在のスクールサポートスタッフをもっと活用できる体制を作っていくことが必要だと考えますがこのことについて市の見解を伺いました。
​また、人数拡充のため、市費で同等の業務ができる役職を作り、各学校に配置することは教員の負担軽減を大きく前に進められると考えます。
​教員の負担軽減のためのスタッフ拡充の予算化について、市費でスクールサポートスタッフと同等の役職を配置するためにかかる一人当たりの費用の概算とその算出方法について、さらに例として各小中学校に一人、市費で配置した場合の費用についても伺いました。

○2点目​ 複数人で子どもたちを見る環境作りについて​​

①学習支援ボランティアについて

現在市が実施している「学習支援ボランティア」はそのための一つの方策だと考えますが、1回1,100円の報酬しか支払われず、お願いしたい人がいても報酬が低いため声を掛けづらいとの声も聞いています。報酬の額を上げて、必要な時に必要な人員が確保できる体制を作る必要があると考えますが、そのことについての市の見解と、令和5年度の市内小中学校における「学習支援ボランティア」に掛かった費用の概算と算出方法および、報酬を2,300円※にした場合の費用の概算を合わせて伺いました。
※スペシャルサポートルーム支援員の時給1,150円✕最低勤務時間の2時間で計算

②担任のサポートをする役職を増やすことについて

特に丁寧な対応が必要である幼稚園・保育園からの架け橋期にあたる小学校1年生と、小学校からの移行期である中学校1年生のクラスに、担任プラス最低1人は人員をつけることが望ましいと考えますが、それに係る費用について、小学1年生・中学1年生のクラスに各1名、会計年度任用職員として「スペシャルサポートルーム支援員」と同等の人材を配置した場合に係る費用の概算と算出方法について伺いました。

○3点目​ 複数人で子どもたちを見る環境作りについて​​​​

​令和6年8月に中央教育審議会が出した『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について』の答申の中で、学校における働き方改革の更なる加速化のために必要なこととして、「定量的な目標設定」「教育委員会内の働き方改革担当の明確化」「学校運営協議会や総合教育会議での積極的な議題化」などが挙げられています。本市においても改革のさらなる加速化のためにこれらの取り組みが必要だと考えますが、現在の本市の取り組み状況と今後の予定について伺いました。
​​
1点目については、​教員自身がこれまで担っていた、指導以外の業務をスクールサポートスタッフが担うことで、教務職員の負担は軽減しており、活用している学校からはさらに活用したいとの声が上がっている、とのことでしたので、一部の先生しか使えていないという声は届いていないようでした。
しかし、​学校現場の方からは、 「学校に一人しかいないので全員が利用できるわけではないので自分は特に利用していない」「スクールサポートスタッフの方と接する機会がない」「移動してきたばかりなので頼みづらい」「何をどこまでお願いしていいのか良くわからない」などの声が届いており、十分に活用できていないということがわかります。

​この点について、市との見解の相違はありましたが、更に活用を促進するための提案として、横浜市では、スクールサポートスタッフと同等の職種を「職員室業務アシスタント」という名称にして、学校の中でその役割がきちんと認識されて、積極的に活用されていることを例に上げ、文部科学省が令和5年の12月に作成した「教員業務支援員との協同の手引き」を紹介しました。
また、費用について、県費で配置した場合は、時間単価1,113円に上限時間数の1,144 時間を掛けて、1校あたり約128万円。市内小中学校19校に1人ずつ配置した場合は、2,420万円になります。​​仮に市費で増員するとして、同様に配置した場合は、80万円増の2,500万円になるとのことで、予算規模も明らかになりました。
ちなみに現在、利用率は令和5年度の実績で67.2%、令和6年度はもう少し増える見込みとのことです。
​​​
2点目について、学習支援ボランティアは、小学校で85名、中学校で10名とのことでした。令和5年度の実績は、詳細は割愛しますが、小学校は約286万円、中学校は6万2千円で、合計約292万円でした。もし報酬を1,100円から2,300円へ増額した場合は、約610万円ということになります。
​​さらに、担任のサポートして、小学1年 中学1年のクラスに 各1名、会計年度任用職員として、スペシャルサポートルーム支援員と同等の人材を配置した場合にかかる費用の概算は、年間で約9,800万円になります。

ボランティアの人数については、ある小学校だと1年生の1学期中は1クラスに2、3人 配置し、生活のサポートをしているというところもあれば、1人も配置できていないという学校もあるという状況で、学校によって差があります。報酬の増額や、地域の方々へのRPを通して、足りないところを補っていただけるよう、要望しました。

​​3点目について、「チーム 担任制」について紹介し、導入についての見解を伺いましたが、こちらは既にフルインクルーシブ教育の計画の中で検討に入っているという答弁でした。

​教員の働き方改革やスクールサポートスタッフ、学習支援ボランティアの拡充について、今回明らかにしていただいた予算規模を参考に、段階的にでも良いので進めていっていただきたいことを要望しました。
​​
​-----------------------------------------------------------------------------

○議会最終日の反対討論​​​

・令和5年度海老名市一般会計歳入歳出決算認定 認定第1号
・令和5年度海老名市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定 認定第3号

​議会最終日の議決の場で、令和5年度海老名市一般会計歳入歳出決算認定(第1号)、および令和5年度海老名市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定(第3号)について反対討論を行いました。

以下、討論の原稿全文を掲載します。

(反対討論)
​涼風の会のありいあいこです。

認定第1号、令和5年度海老名市一般会計歳入歳出決算認定および、
認定第3号、令和5年度海老名市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定について、
反対の立場で討論を致します。

令和5年度は、コロナが5類に引き下げられ市民活動が活気を取り戻した一年であったと思います。また、各地で真夏日や猛暑日が連日観測され、海老名市でも5月から32.1度を観測するなど多くの市民が近年の気候危機を肌で感じました。このままでは子どもたちが大人になる頃にはどうなってしまうのか、農作物への影響や災害の発生も心配であるなど、地球温暖化の影響に危機感を募らせる方は増えています。海外ではロシアとウクライナの戦争が長期化し、さらにイスラエルによるパレスチナへの攻撃も始まり、世界情勢も緊迫化。資源・エネルギー価格の高騰という形で世界経済に深刻な影響を与えており、特に、資源を輸入に頼る日本では、電気・ガス料金やガソリン代が上昇し、食料品など生活必需品も高騰し、暮らしを直撃しました。

子どもたちを取り巻く環境を見ると、不登校児童生徒の数は10年連続増加しており令和4年度には全国で29万9048名に達しました。海老名市においても令和4年度は341人おり、令和5年度も増加傾向です。また、子育て世代の人口流入が多い本市においては、保育園の待機児童問題が深刻化しました。メディアで取り上げられたり、SNSで話題になるなど、保育園の需要に追いついていない市の対応に不満が高まりました。

さて、そのように変化の著しい社会情勢の中、本市における令和5年度予算のキャッチフレーズは「コロナに打ち克つ、輝く未来へ、飛躍するえびな」でした。戦略的かつ積極的なまちづくりを全面に打ち出し、新型コロナ対策と社会経済活動の両立を掲げていました。市民生活の底上げや子育てしやすい環境整備に対してさらなる支援を求める立場から、以下、反対の理由を述べていきます。

先に、認定第3号、令和5年度海老名市介護保険事業特別会計歳入歳出決算認定についての反対理由を述べます。令和5年度は、第8期えびな高齢者プラン21の3年目、最後の年となりました。進む高齢化と様々なニーズに対応できる介護需要に対応するため、介護保険料は上がり続け、海老名市でも第8期では基準となる第5段階の月額保険料を5120円から5180円に引き上げています。介護保険法の中で、国、県、市の費用負担が決められているため、介護保険のニーズが高まれば高まるほど、保険料が高くならざるを得ない仕組みであり、介護保険制度自体の問題があることをまずは指摘しなければなりません。

しかし、海老名市が第8期で介護保険料を引き上げたことについては、やはり問題があったと言わざるを得ません。第7期のプランの時に、基準月額を16.6%増加の730円引き上げ、第7期末には、介護保険給付費等準備基金(以下準備基金と言います)が大きく積みあがりました。本来、準備基金は65歳以上の第一号被保険者の保険料負担軽減のために使われるものです。しかも8期のプラン策定時は、コロナ禍で生活状況が厳しい方が多い中でもありました。準備基金をもっと取り崩せば、介護保険料の据え置きや引き下げも可能であったことは、議会答弁からもわかっています。

そして、8期プランを終えてみると、過去最大の準備基金が積みあがりました。介護保険料を引き上げなくてもよかったと総括すべきです。第一号被保険者の保険料負担を抑えるという本来の趣旨に沿った準備基金の使い方をし、無用な負担増を強いることのないよう、強く求めます。

次に、認定第1号、令和5年度海老名市一般会計歳入歳出決算認定についての反対理由を述べます。

まず1点目、各種開発事業について、東口の自由通路延伸や、中新田丸太地区の開発、市役所周辺地区の市街化区域編入などが着々と進められていますが、先に述べたように気候危機や災害の多発が喫緊の課題となっているこの社会情勢の中で、田んぼを無くして住宅や商業施設を作ることに多くの市民が疑問を持っています。頻発する大規模災害に備えることと合わせ、高齢者が安心して出歩けるためのベンチやトイレの設置、緑を多く残した公園、車がなくても歩いて用事が済むまちづくりなど、市民の多様な声を聞いたまちづくりができているでしょうか?もっと市民参加型の対話を行い、今の社会の中で市民が本当に求めているまちづくりの在り方について、税金の使い方も含めて見直しをしていただきたいことを求めます。

次に2点目、保育園待機児童問題について、増加する保育需要に対して市は5年間で9園保育園を増やすなどの対応はしてきていましたが追いついておらず、多くの方が保活に疲弊したり、何らかの希望を諦めざるを得ないなどの状況に陥りました。そのような市民の声を受けて12月議会で数名の議員が一般質問で取り上げた際の質疑の中で、市は、「将来的な人口減少を見込んでいるため積極的に増やせないのは仕方がない」という消極的な答弁が繰り返されました。またマンション建設時に事業者に対して保育園整備を求める条例の整備についても、「開発抑制に繋がることがあるため慎重な姿勢である」と、困っている市民より事業者側に寄り添うような答弁でした。令和6年には公設民営での保育園整備に踏み切る決断がありましたが、事態をもっと重くみていればもっと早い対応が可能であり、公立の門沢橋保育園を廃園にする判断の見直しや、他市で行われている「送迎保育ステーション」なども含めた保育園事業の大胆な転換はできたはずだと考えます。

3点目、コロナ禍や 物価高騰等が続く中、市民の暮らしの大変さに寄り添った支援が十分ではなかったことについて。市はプレミアム付商品券発行事業を継続し、市民生活への支援と市内経済の活性化を図ったとしていますが、十分だったと言えるかどうか疑問です。例えば近隣では期限付きで学校給食費を半額や無償にし、子育て世代の支援をしています。プレミアム付き商品券の効果も認めますが、それ以外の生活者への直接的な支援が必要であったと考えます。

4点目として、わかば会館の重度しょうがい者ケアセンターの移転について、令和5年度に補正予算で設計事業費が上がってきましたが、移転先の土地がハザードマップ上危険な地域であることや、それに対して利用者家族の方々が十分な説明を受けていなかったなどの問題が顕在化しました。令和5年度中に利用者家族への説明会はなんども開かれていましたが、納得の行く説明や信頼関係ができていない中で、設計のスケジュールが進められたことは大変遺憾です。今後の進め方については十分に誠意をもった対応をしていただくことと、利用者やそのご家族の要望に丁寧に耳を傾けることをここで改めて求めたいと思います。

最後に、令和5年度の実質収支についてですが、約22億5000万円のうち国庫支出金の返還金などを差し引くと約8億5000万円が剰余金となり今後の財源になっていくとのことでした。剰余金が出るということはこの剰余金分は何かの事業費として使うこともできたということです。赤字を出してはいけない中で約8億5000万円という剰余金の額が決して大きい額ではないことは理解していますが、先に述べたような生活者への直接的な支援や、給食費の一部無償化などは実施できたことを指摘せざるを得ません。

財政指標の一つである「実質収支比率」を見ても、令和5年度は7.5%です。この比率は通常3〜5%が望ましいとされているため、海老名市がもう少し歳出を増やせることを示しています。今後のさらなる生活者への支援について、強く求めたいと思います。

市長は、代表者質疑の場において将来負担比率が30.2%に増えていることについての答弁として「数値に一喜一憂することなく必要な事業については積極的に進めていく」という大変頼もしい発言をされています。

是非、その「必要な事業」について市民との対話を深めていただくことと、それに基づいた柔軟な対応をしていただき、まちづくりを進めることと同時にその後の「住みやすさ」についてもっと市民に寄り添った対応をしていただくことを求めて、反対の討論といたします。​
​​-----------------------------------------------------------------------------

○意見書​​​

・現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書 意見書案第5号​​​

​現行の保険証の廃止が12月に迫っています。法的にもシステム上にも問題があるとされ、高齢者や障がい者が取り残されるなどの懸念もある中、こんな強行なやり方は許されないとの思いから、私が提出者となり意見書を提出しました。
​全員賛成にはなりませんでしたが、賛成多数で可決。海老名市議会の意見として国に届けられます。

​意見書については、市のホームページで見ることができますので、リンクを張っておきます。ぜひご覧いただけると幸いです。
https://ebina.gijiroku.com/g07_Iken.asp?KWORD1=&EXP=AND&KWORD2=&KAIGI=2024/08/27,2024/09/30,97&NENFROM=&NENTO=&KEKKA=&SMODE=2&KENSU=100&Sflg=2​