2023.11.17
👃アトピーの悪化の原因はアレルギーや感染症もあります
1994年の日本皮膚学会誌104巻では「アトピー性皮膚炎における黄色ブドウ球菌ー皮疹部、無疹部における黄ブ菌検出率、ファージ型および薬剤感受性について…」という論文におきまして、アトピー性皮膚炎患者さん48例前例から黄色ブドウ球菌が検出された事がわかっています。
さらに、2015年5月には、慶應義塾大学医学部から「皮膚細菌巣バランスの破綻および黄色ブドウ球菌の定着がアトピー性皮膚炎の炎症が原因となる」という論文が発表され、黄色ブドウ球菌やコリネバクテリウムボービス菌など以上な細菌叢が皮膚に形成されていることがアトピー性皮膚炎や悪化の原因になることが明らかにされています。
ステロイド剤は「免疫抑制」の効果を持つ薬の一つです。
そのため、長期間使用をすることによる感染症の誘発は主な副作用として示されていますが、ステロイド剤の長期間の使用自体が、健全な皮膚の細菌叢を乱し、こうした黄色ブドウ球菌など異常な細菌叢の形成を促すことで、デルタ毒素などによるIgE増強からアトピー性皮膚炎を悪化させていることが、最近の研究でも指摘されています。
この様なステロイド剤の使用によりアレルギーを増強することを示す医学的な論文は、数多く報告されているのですが、ステロイド剤がアレルギーを悪化させる恐れがあることを「ステロイド剤を処方するドクター」は、あまり患者さんに説明などをせず処方しているみたいです。
もちろん、メリットゾーンにいる間は、皮膚の健全な細菌叢を乱す恐れは少ないのですが、アレルギーが増強されるリスクは小さいと言えます。
しかし、デメリットゾーンに入ると、皮膚のバリア機能そのものが低下した状態に陥ることで、そこにステロイド剤の免疫植生効果が健全な細菌叢の形成を妨げ、黄色ブドウ球菌の定着を招きやすい事は確かですので、注意が必要です。
この様にステロイド剤の使用による影響は、「メリットゾーン」の中にとどまっているのか、「デメリットゾーン」に足を踏み入れた状態にあるのかによって大きく変わってきます。
さらにデメリットゾーンの奥深くまで進行する事で、よりステロイド剤の使用による影響は受けやすくなります。
もちろん、ステロイド剤を使用している間は、デメリットゾーンにいても、受容体消失による影響がなどが大きくなければ、薬剤の効果により炎症は押さえられ痒みも落ち着かせることができます。
しかし、その一方で、身体の中ではIgEが増強され、炎症を作り出す力はより強くなります。
つまりのところ皮膚の表面上は、ステロイド剤という薬で「マスキング」されて問題がないように見えるのですが、マスキングされた下では、問題が積み重なっているという状況です。
ステロイド剤の抗炎症効果で炎症が抑えられている間は大人しくしていても、何らかの要因が加わることで、溜め込んだIgEが一氣に炎症を作り出すことで、悪循環の輪が形成されることで、皮膚のダメージとアトピー性皮膚炎そのものが悪化を繰り返す事になります。
いま現時点で、自分がどのゾーンにいるのか?どれくらいステロイド剤を使っているのかをしっかり把握する事はとても大切になります。