🩹ステロイド剤が皮膚に蓄積すると…

アトピー性皮膚炎で悩んで皮膚科に行きますと、ほぼ100%の確率でステロイド剤を処方されると思います。

これは以前にもお話しをしていましたが、皮膚科の基本治療になっていますので、致し方ないといえば致し方ないという事です。

ですが、ステロイド剤を長期間使用するとメリットもありますが、デメリットもあります。


ステロイド剤は、塗った後、一定期間、皮膚に残ることが確認されています。


1972年に発表されました論文*¹では、ステロイドホルモン軟膏を健常なお肌の皮膚に塗った後、16時間密封したところ、塗った皮膚には2週間後でもステロイド剤の血管収縮作用が認められました


一部のドクターの中では、ステロイド剤の外用剤を塗り、残留することはないから、一定期間使用後に、期間をおいてリバウンド症状が出ても、それはアトピー性皮膚炎の悪化であって、ステロイド剤の影響ではない、と言っていました。


しかし、ステロイド剤はコレステロールの骨格を持つので、全身の脂肪層に蓄積することは、他の研究者も指摘をしており、実際、*1の様に残留したことを示す論文もあります。


今回の実験においては、わずか1日塗っただけでも(16時間密封)、最低でも2週間はその影響が確認された、ということです。

つまりメリットゾーンにいあると思われている場合でも、残留したステロイド剤の影響を受けている可能性があることを示しており、デメリットゾーンにいるような長期間使い続けた方は、使用中止後でもかなりの期間リバウンドなどの影響が心配されてます


実際、ステロイド剤を15年間振り続けた後に、10年間全く塗るのをやめた患者様が、その後、リバウンドを発症した例も報告されています。

残留したステロイド剤の作用機序は明らかにされていませんが、ステロイド剤は、同じ骨格を持つコレステロールと結合、脂肪層などに蓄積し、酸化コレステロールに変性することで、起炎因子となり、全身的に炎症を生じてリバウンド症状につながっている事を指摘する研究者もいます。


ステロイド剤の長期間の使用による影響は、短期間で解消しない可能性があることに注意をしてくださいね。


*1:Stratum Comeum Reservoir For Drugs.Vickers CF.Adv Biol skin 1972;12:177-189より


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