奉献菓舗 鳳月堂(ほうげつどう)

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大寒を前に、和菓子が教えてくれる「一年の始め方」

こんにちは。
鳳月堂の鳳月です。

寒さが一段と増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
明後日、1月20日は「大寒」。
一年のうちで、もっとも寒さが厳しいとされる頃を迎えます。

大寒は、ただ寒いだけの日ではありません。
この日を境に、寒さは極まり、
ここから少しずつ春へと向かっていく――
そんな「折り返し点」のような時期でもあります。

さて、
お正月や初釜に出る和菓子について、
皆さまはどれくらい意味をご存じでしょうか。

和菓子は、
「季節を表す甘いもの」
というイメージを持たれがちですが、
実はそれだけではありません。

和菓子は、
その年をどう始め、
どんな気持ちで過ごしていくのかを
そっと示してくれる存在でもあります。

たとえば、初釜にいただくお菓子。

🌸 常盤まんじゅう
🌸 花びら餅

この二つは、どちらも新年や初釜の場で登場する和菓子ですが、
実は「考え方」が少し違います。

常盤まんじゅうの「常盤(ときわ)」は、
ずっと変わらないこと、長く続くことを意味する言葉です。

ここで大切なのは、
「そうなったらいいな」というお願いではなく、
「もう、そうである」と言い切っているところ。

常盤まんじゅうは、
「今年も無事でありますように」と願うお菓子ではなく、
「今年は、もう大丈夫」
と、年のはじめに状態を決めるためのお菓子なのです。

一方、花びら餅。

花びら餅は、
新しい芽が出ること、
これから育っていくことを重ね合わせた和菓子です。

白い餅、ほんのり甘い白味噌餡、
そして牛蒡。

どれも、
「これから伸びる」
「命が続いていく」
そんな意味を含んでいます。

花びら餅は、
新しい年を、これから作っていく
という考え方のお菓子。

同じ初釜でいただくお菓子でも、
常盤まんじゅうは
「もう整っている一年」。

花びら餅は
「これから育てていく一年」。

どちらが正しい、ということではなく、
一年の始め方が違うのです。

和菓子は、
ただ甘いだけのものではありません。

言葉や意味を、
形にして、
口にして、
体に通す。

だから私はよく、
「和菓子は、意味を食べる日本文化」
だと思っています。

大寒を前にした今の時期は、
一年の始まりの気持ちを、
もう一度静かに見直すのに、とても良い頃。

「今年は、もう大丈夫」と
一度、深呼吸して言い切るのか。

それとも、
「これから少しずつ育てていこう」と
足元を確かめるのか。

どちらを選んでも、
和菓子は、そっと寄り添ってくれます。

寒さの底にいる今だからこそ、
和菓子の意味が、
心にじんわり染みてくるように感じます。

どうぞ、あたたかくして、
大寒をお迎えくださいね。

PS
金柑が美味しい季節ですね。
先日、近所のお庭になっている金柑をいただきました。
お店で売っているものより、ずっと大きくて、
思わず「立派ですね」と声が出てしまいました。

PS
私は昨日表千家のお稽古で
常盤まんじゅうをいただきました。
「今年は、もう大丈夫」
その言葉を、静かに体に通すような気持ちでした。

PS
ほったらかしにしている植木鉢を、
そろそろ整理しようかな…と思い、
ふとカレンダーを見たら土用入り。

「これはやめておこう!」と、
いったん手を止めたものの、
夜になって間日を調べてみたら、
なんと 17日も間日に含まれていた のですね。

あぁ……


鳳月堂 鳳月

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