「香りを食べる通信 〜食べもののSpirit便り〜」 シナモン

 

ごきげんよう🎶

(一社)日本アロマ蒸留協会
代表理事 森あつ子です。

 

「香りを食べる通信
〜食べもののSpirit便り〜」

今回の主役は、

シナモン。

 

 

アップルパイ。
シナモンロール。
チャイ。
焼き菓子。

シナモンの香りを嗅ぐと、

なんだか「甘くて温かいもの」を思い浮かべませんか?

 

 

でも、考えてみると不思議です。

シナモンそのものは、お砂糖ではありません。

なのに、

香りを嗅いだだけで、

「甘そう」
「おいしそう」

と感じてしまう。

 

実はここに、

香りと味覚、そして脳の面白い関係

が隠れています。

 

今日は、シナモンの香りから、

私たちが普段感じている「おいしい」の正体を、

少し覗いてみたいと思います。


🤎 シナモンって、そもそも何?

シナモンは、

果実でも、
種でもありません。

私たちが使っているのは、

木の樹皮。

 

樹皮を乾燥させたものが、

くるくるっと巻かれ、

私たちがよく見るシナモンスティックになります。

 

あの硬く乾燥した木の皮の中に、

あれほど豊かな香りがある。

改めて考えると、

植物って本当に面白いですよね。

 

そして、

シナモンスティックを折ったり、

砕いたりすると、

一気に香りが広がります。

食材は、

見た目だけでは、

その中にどんな香りを秘めているのか分からない。

だからこそ、

「香ってみる」ということが、

食材を知る入り口になるのだと思います。

 


🤎 甘くないのに、なぜ「甘い」と感じるの?

ここが、

今回ぜひ知っていただきたいところ。

シナモンの特徴的な香りをつくっている代表的な芳香成分のひとつが、

「シンナムアルデヒド」

です。

 

シナモンの種類や部位などによって含まれる割合は異なりますが、

シナモン樹皮の香りを特徴づける主要な成分として知られています。

 

でも、

私たちがシナモンを「甘い香り」と感じるのは、

香りの分子だけの話ではありません。

もうひとつ、

とても大きく関係しているのが、

「脳の記憶」

です。


🧠 私たちは「記憶」まで一緒に食べている

私たちはこれまで、

アップルパイ。

シナモンロール。

クッキー。

ケーキ。

チャイ。

など、

シナモンを甘い食べものや飲みものと一緒に、

何度も経験してきています。

 

だから、

シナモンの香りが鼻に届くと、

脳の中で、

過去の

「甘くておいしかった記憶」

と結びつくことがあります。

 

つまり、

砂糖そのものを嗅いでいるわけではないのに、

「甘そう」

と感じる。

面白いですよね。

 

実際、

香りと味覚は、

私たちが思っている以上に深く関係しています。

特定の香りを食べものや飲みものと組み合わせることで、

甘味の感じ方が変化することも研究されています。

 

つまり私たちは、

舌だけで「甘い」「おいしい」を判断しているわけではないのです。

舌で感じる味。

鼻から入ってくる香り。

口の中から鼻へ抜ける香り。

そして、

これまでの食体験や記憶。

それらを脳がまとめて、

「おいしい」

という一つの感覚を作っています。

だから私は、

「香りを食べる」

ということを、

もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。

 


🤎 シナモンをキッチン蒸留すると……

そこで、

シナモンをATR POTへ。

シナモンのように、

香りの個性がはっきりしている食材は、

キッチン蒸留すると、

「香りが動く」

ということを感じやすい食材です。

 

蒸留が始まると、

シナモンの揮発性の香りの成分の一部が、

水蒸気とともに移動します。

そして、

冷やされ、

再び水になって現れる。

出来上がるのが、

ATRウォーター。

見た目は透明。

シナモンの茶色い色はありません。

でも、

鼻を近づけてみると……

そこには、

ちゃんとシナモンの存在を感じる。

 

色はない。

粉も入っていない。

それなのに、

香りがある。

 

この瞬間、

私はいつも、

「目に見えないものをいただいているんだな」

と思います。

 


🤎 砂糖を入れていないのに「甘そう」

ここでも、

ぜひ体験していただきたいことがあります。

シナモンを蒸留したATRウォーターには、

お砂糖を入れているわけではありません。

それでも、

香りを嗅いだ時、

「なんだか甘そう」

と感じることがあります。

ここが、

とても面白い。

私たちの「味」は、

成分表だけでは決まらないということです。

もちろん、

シナモンの香りを加えれば、

必ず砂糖と同じ甘さになるわけではありません。

でも、

香りによって、

甘さの感じ方や食べものの印象が変わることはあります。

 

だから、

砂糖控えめの飲みものやデザートを楽しむ時に、

「香りを上手に使ってみる」

という発想も面白いと思います。

 

 

例えば、

お砂糖を入れていない紅茶に、

ほんのりシナモンの香り。

いつもの飲みものなのに、

香りが加わるだけで、

感じ方が変わるかもしれません。

香りって、

目には見えません。

でも、

食の満足感をつくっている、

とても大切な要素なんですね。

 


🤎 香りは「目に見えない調味料」

料理というと、

私たちはどうしても、

目に見える調味料を考えます。

塩。

砂糖。

醤油。

味噌。

お酢。

でも、

そこにもうひとつ、

「香り」

という、

目には見えない調味料があります。

ほんの少し香りが加わるだけで、

料理全体の印象が変わる。

「何を足したの?」

と思うくらい、

おいしさの感じ方が変わることもあります。

だから私は、

香りも、

立派な料理の一部だと思っています。


🤎 そして、キッチン蒸留は「香り」だけではありません

ここは、

何度でもお伝えしたいところです。

キッチン蒸留は、

芳香蒸留水だけを作るものではありません。

一つの食材から、

ATRウォーター

アフターATR

ATRストック

3つの恵みをいただきます。

香りだけを取り出して、

残りを捨てるのではありません。

蒸留した後の食材にも目を向ける。

下のお鍋に残ったものにも目を向ける。

一つの食材を、

違う角度から見て、

それぞれを活かしていく。

食材を丸ごと感じ、丸ごといただく。

 

これが、

私が十数年かけてお伝えしてきた、

キッチン蒸留という文化です。

 


🤎 シナモンのSpirit=「温もりを巡らせる」

今回のシナモンのSpiritは、

「温もりを巡らせる」

にしました。

シナモンの香りを嗅ぐと、

温かい飲みものを思い出したり、

焼き菓子を思い出したり、

クリスマスを思い出したり。

 

人によっては、

誰かと過ごした時間を思い出すかもしれません。

 

香りって、

一瞬で時間を超えることがあります。

昔食べたもの。

 

誰かが作ってくれたもの。

 

旅先で飲んだもの。

 

家族と囲んだ食卓。

 

香りを嗅いだだけなのに、

その時の景色や、

その時の気持ちまで蘇ってくる。

私たちは、

食べものそのものだけではなく、

そこにある時間まで食べている

のかもしれません。


🌿 今日の食香(しょっこう)

今日は、

シナモンがあったら、

ぜひ一本手に取ってみてください。

できれば、

パウダーではなく、

シナモンスティックを。

まず、

そのまま香ってみる。

 

そして、

少し折って、

もう一度香ってみる。

 

次に、

温かい紅茶やお湯のそばで、

もう一度香ってみる。

 

そして自分に聞いてみてください。

「この香りから、私は何を思い出す?」

アップルパイかもしれない。

チャイかもしれない。

クリスマスかもしれない。

誰かと過ごした時間かもしれない。

正解はありません。

 

あなたが感じたものが、

あなたにとっての

「香りの記憶」

です。

 

そしてもし、

シナモンのATRウォーターがあったら、

ぜひ、

お砂糖を加える前に、

まず香ってみてください。

 

そして、

味わってみてください。

「甘くないのに、甘そう」

「味は甘くないのに、なんだか満たされる」

そんな不思議な感覚に出会えるかもしれません。

 


食べものには、

栄養があります。

味があります。

そして、

香りがあります。

さらに、

そこには、

記憶があり、

季節があり、

人との時間があります。

だから私は、

「食べる」ということは、

栄養素を身体へ入れることだけではないと思っています。

 

香りを感じる。

味わう。

思い出す。

誰かと分かち合う。

それも全部、

「食べる」

ということ。

 

今日のシナモンのSpiritは、

「温もりを巡らせる」🤎

少しずつ秋が深まっていくこの季節。

今日はぜひ、

シナモンの香りを、

ゆっくり感じてみてください。

そして、

その温もりを、

大切な誰かにも少しだけ。

 

 

今日、あなたは何のSpiritをいただきますか。🤎

 

(一社)日本アロマ蒸留協会

 

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