2026.09.24
香りを食べる通信 〜食べもののSpirit便り〜 すだち編
ごきげんよう🎶
(一社)日本アロマ蒸留協会
代表理事 森あつ子です。
「香りを食べる通信
〜食べもののSpirit便り〜」
今回の主役は、
すだち。
秋になると、
焼き魚の横にちょこんと添えられていたり、
お蕎麦やお刺身に添えられていたり。
主役になることは少ないのに、
あるのと、ないのとでは、
料理の印象がずいぶん違う。
今日はそんな「すだち」から、
香りの役割について考えてみたいと思います。
私は、父が徳島出身で、季節になると
すだちは、いつも食卓に登場していましたね。
🍃 すだちって、「酸っぱい」だけ?
すだちを見たら、
まず思い浮かぶのは、
「酸っぱい!」
かもしれません。
でも、
ちょっと面白いことをしてみてください。
すだちを切る前に、
皮を少し指でこすって香ってみる。
次に半分に切って、
果汁を絞る前に香ってみる。
どうでしょう?
私たちが
「すだちらしい!」
と感じているものの中には、
酸味だけではなく、
果皮などから感じる爽やかな香りがあります。
味覚で感じる「酸っぱい」と、
鼻で感じる「香り」。
私たちは普段、
その両方を一緒にして、
「すだちの味」と感じています。
でも、
キッチン蒸留という視点から見ると、
ここがとても面白いのです。
香りはどこにある?
レモンやグレープフルーツの回でもお伝えしましたが、
柑橘類の香りを楽しむ時、
ぜひ注目してほしいのが、
皮です。
すだちの皮を傷つけた瞬間、
ふわっと香りが立ち上がります。
目には見えません。
でも、
確かにそこにある。
そして一瞬で、
私たちの鼻へ届く。
これが、
揮発性の香りの面白さです。
だから、
果汁を絞って終わり、
皮はポイッ。
では、
ちょっともったいない。
キッチン蒸留をするようになると、
今までなら捨てていた部分にも、
自然と目が向くようになります。
「この中には、まだ何があるんだろう?」
そんなふうに、
食材を見るようになるんですね。
🍃 すだちをATR POTで蒸留すると
ATR POTでキッチン蒸留すると、
一つの食材を、
いろいろな角度から見ることができます。
私がキッチン蒸留で大切にしているのは、
芳香蒸留水だけではありません。
ATRウォーター
アフターATR
ATRストック
この3つ。
香りだけを取り出して、
残りを捨てるのではなく、
一つの食材を丸ごといただく。
これが、
キッチン蒸留の大切な考え方です。
すだちのような柑橘は、
まさにそれを体感しやすい食材のひとつ。
果汁。
果肉。
皮。
そして香り。
普段は全部まとめて
「すだち」
と呼んでいるけれど、
一つ一つを見ていくと、
それぞれに違う役割があります。
なぜ、すだちを添えると料理がおいしく感じるの?
ここで考えてみたいのが、
なぜ私たちは、
焼き魚にすだちを添えるのか?
ということ。
もちろん酸味もあります。
でも、
それだけではないんですよね。
きゅっと搾った瞬間、
すだちの香りが立ち上がる。
その爽やかな香りが、
焼いた魚の香ばしい香りと重なります。
つまり、
すだちは単独で主役になるというより、
そこにある料理の魅力を引き立ててくれる存在。
私は、
これがすごく素敵だなと思うのです。
香りって、
強ければいいわけではありません。
ほんの少し加わることで、
全体の印象が変わる。
料理には、
そんな「香りの使い方」があります。
🍃 Spirit=「余白をつくる」
そこで今回、
すだちのSpiritを
「余白をつくる」
にしました。
私たちは、
ついつい「足す」ことを考えます。
もっと美容にいいものを。
もっと身体にいいものを。
もっと知識を。
もっと仕事を。
もっと頑張らなくちゃ。
でも、
もしかしたら、
今必要なのは、
何かを増やすことではなく、
少し余白をつくること
なのかもしれません。
すだちも、
たくさん必要なわけではありません。
ほんの少し。
きゅっ。
それだけで、
もともとそこにあった料理の味が、
ふっと引き立つ。
これって、
私たちの暮らしにも似ている気がします。
「何を足す?」ではなく、「何を感じる?」
私は、
香りの世界に長く関わってきましたが、
香りの魅力って、
何かを大量に加えることではないと思っています。
ふっと香った瞬間、
立ち止まる。
深呼吸する。
「あ、いい香り。」
そう感じる。
ほんの数秒でも、
自分の感覚に戻ることができます。
それだけで、
頭の中に少し余白ができる。
食事も同じです。
テレビやスマホを見ながら、
急いで食べるのではなく、
まず香ってみる。
一口食べて、
鼻から抜ける香りを感じる。
「おいしい」
と思う。
そんな時間も、
立派な余白なのではないでしょうか。
🌿 今日の食香(しょっこう)
今日は、
すだちを一つ用意してみてください。
まず、
切る前に香ってみる。
次に、
皮を少し指でこすって香ってみる。
そして、
半分に切った瞬間の香り。
最後に、
料理にきゅっと搾って、
もう一度香ってみてください。
同じすだちでも、
香りの感じ方が少しずつ違うと思います。
そして、
できれば、
搾ったあとの皮を
すぐに捨てないでください。
もう一度、
香ってみてください。
「まだ、こんなに香るんだ。」
と感じるかもしれません。
食材って、
私たちが思っている以上に、
いろいろなものを持っています。
忙しい毎日。
やることは、
なかなか減りませんよね(笑)
だからこそ、
何かをさらに足す前に、
ほんの少し、
余白をつくってみる。
すだちを、
きゅっと搾るくらいの小さな余白でいい。
その余白があるからこそ、
今まで気づかなかったものに、
気づけることがあります。
香りも、
季節も、
食べもののおいしさも、
そして、
自分自身の感覚も。
今日のすだちのSpiritは、
「余白をつくる」🍃
今日のお料理にすだちを添えたら、
ぜひ、
搾る前と、
搾った瞬間と、
食べた時。
それぞれの香りを
感じてみてくださいね。
食卓の中にある、
小さな「余白」を楽しんでいただけたら嬉しいです。
今日、あなたは何のSpiritをいただきますか。🍃
(一社)日本アロマ蒸留協会
代表理事 森あつ子

