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忘れられない人々 vol5

忘れられない人々

 

~二人三脚プラスアルファ~

 

「岩永さ~ん、お父さんが確定申告に行ったまま帰ってこないんだけど。この頃だいぶんボケてきたから道に迷ってるんじゃないかと思って心配で…」とチイ子さんの携帯電話から。

 

平太さん93歳とチイ子さん85歳は本当に仲睦まじいご夫婦でした。

チイ子さんは60歳のときに病気で倒れ、後遺症で歩けなくなってから、平太さんはずっと家事と介護を続けてきました。

 

チイ子さんは半身に麻痺がありましたが、身の回りのことは何でも自分でできます。

そうして携帯電話はお得意ですから、私や息子さん、近所の商店などに自分で電話して要件をテキパキと済ませることができます。

 

一方平太さんは杖も突かずに歩けるどころか、車いすのチイ子さんを押して病院にもつれていってくれます。おまけにチイ子さんが倒れてから覚えた料理も上手。今でいう家事男!

 

ところが、平太さん近年は耳が遠くて動けないチイ子さんが大きな声で呼んでもなかなか聞こえない。そこで、先述の電話となるわけです。

「わかりましたチイ子さん。たまたま近くにいるのでちょっと様子見に行きますね。」

 

こんなとき、名探偵の私はすぐにピーンときます。平太さんは玄関わきのちゃぶ台で事務作業しているな。

果たして、平太さんはチイ子さんの心配など露知らず、真剣な顔で確定申告の書類に目を通しています。玄関わきのちゃぶ台に向かって…

で、一件落着。

同じ家の中でも歩けないチイ子さんが、聞こえにくい平太さんを見つけることが難しいことや二人で解決できないことがあるのです。

そんな時はチイ子さんの携帯電話が活躍して、私も含め子供さんや民生委員さん、ご近所さん、都合が付けられる人が駆け付けます。それがプラスアルファ。

 

それでいいのだあ。できないことがあっても、夫婦で補い合って、それでも足りなければ地域の力を拝借。力を借りる力があるというのは、立派な強みです。

老々介護とは年老いてなお、『お互いの力を究極にしぼりだす』 ある意味ではとても幸せなことでもあります。

それを十分承知で、『お父さんの役割を取ってしまわない』と、つかず離れず、いざというときは責任取りますといった子供さんの姿勢もまた素晴らしい。

 

平太さんには『年を取ったからこれはしなくていいということは』これっぽちもありません。

そもそも老々介護という概念がありません。当たり前に、くそ真面目に、今日を丁寧に、チイ子さんのために生きているだけ。男前だなあ。

人は、誰かのために何かしてあげたい、その与えあう気持ちの循環の中で生かされているんだなあと教えてくれたお茶目で素敵なご夫婦でした。

 

 

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