まぶしい思い出

まぶしい思い出


認知症のAさんの介護をしているご主人はモニタリングに伺うと、まぶしい思い出をたくさん語ってくださいます。

排泄の失敗があったとか、一日中探し物をしていたという話題の時は聞かれたことに答えるだけですが

思い出語りになるともう饒舌に語ってくださいます。


どちらかと言うとご主人の武勇伝のようなお話が多いですね。

今日は、子供さんの招待でハワイ旅行に出かけたときの話題です。


(以下思い出話です)

もともと漁師のご主人はハワイの海を見て泳がずにはいられなかったそうです。

ねじり鉢巻きをして勢いよく飛び込んだはいいものの、いきなり足がつってきました。

日頃はそんなことはなかったそうですが、旅の疲れか・・・

どんどんどんどん沈んでいって、もう絶体絶命。助けを呼ぼうにも言葉が通じない😢

意識は遠くなり『まさか人生の最後がハワイとは思わなかった。迷惑をかけるなあ。』

等と思っていたら、突然すーっと足の力が抜けて今度はどんどん海面に上がっていって、なんとか自力で岸まで泳ぎ着いたという事です。

そして、その日の夜。完全に復活したご主人とAさんはホールでの夕食。

すると、ルンバのリズムが流れてきた。

お酒の勢いもあって、踊りに覚えがあるご主人もう体はムズムズ。踊らずにはいられない。

いきなり立ち上がって踊りだすと、周りもやんややんやの大喝采!!

一躍人気者となったのでした・・・


と、お話しくださるご主人のお顔は生き生きと、当時に戻っています。

そして、そばでその話を静かに聞いているAさんも本当に良い笑顔♡

ご主人があんまりにも楽しそうにお話しされるので、私もウキウキです!!

そして、認知症の方と家族を支える力の一つに”まぶしい思い出”があるかもしれないと思いました。


現実を見れば老々介護。お互いにすこしづつ年を取ってできないことも増えてくる。

そんな中で二人を勇気づけるものは共有してきた時間の長さ、深さであるのかもしれません。


『3か月後にあそこまで歩けるようになりましょう。』

という目標に沿ったモニタリングももちろん大事です。

それと一緒くらい思い出語りをしていただく時間を取るようにしています。

『回想法』

人生を肯定的に再評価していただき、生きる希望にしていただければと思います。


Aさんは今でも美人ですが若い時は近所でも評判の美人さんで、映画会社からスカウトが来るくらいだったのだとか。

走るのも早くて運動会の花形。

そんなAさんをお嫁さんにできたときは本当にうれしかったとご主人は振り返ります。


アツアツです。ごちそうさま🥰




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