憧れの人

憧れの人


「尊敬する人、こんな人になりたいというような人いますか?」と聞かれて、

「うーん、スミマセン。思いつかないんですよ。素晴らしいなと思うかたは勿論たくさんおられますが、こんな人になりたいというのは・・・」とお答えすることが多かったのですが、先日フッと「ああ、この人だ!!」と降ってきた方がおられます。


直木賞作家の向田邦子氏。

1980年、思いでトランプに収録された「花の名前」ほかで直木賞受賞。

「父の詫び状」「男どき女どき」などなど著書多数。ドラマの脚本も手掛けておられて、人情あふれるどこか滑稽な人々を愛で描いておられました。

1981年飛行機事故で亡くなる。


文章はさばさばとしていたり、非常に繊細だったり。ファッションも含めて、多彩でかっこいい方だなあといつもあこがれていました。そして、亡くなって45年も経つのに未だ生き生きと思い出される、本当に素敵な方です。


『文章っていうのは、先にあるもんじゃなくて、たくさん思ったり、感じたりしなかったら、きっと一行も出てこないもんだっていう実感はありますね。ですから文章っていうのは最初からいい文章っていうのはあるわけじゃなくて。どれだけこう、思えるか感じられるか。自分でこう、気持ちが揺れ動くかっていう。その氷山の下が大きければ大きいほど自然に文章ってのは出てくるんじゃないかと思うんですよね。思わず本音が出た、騎虎の勢いと言いますか・・・』

インタビューに答える形で自らの書き方についてお話しされています。


かっこつけて書いたものには人は響いてくれなかった。気持ちが動くこと、思わず出る本音。それしか伝わらなかった。


うーん、わかります!!などと言ってしまえば不遜でしょうか(笑)

でもわかります。


人のこころは変えられないし、動かせもしない。

自分の心が大きく動いたことを勢いそのままに伝えること。

自分の心を大きく動かせる。それこそが向田さんの才能だったのでしょうか。


その文章は大胆にして繊細。普通のようで特別。


やっぱり、かっこいいです向田さん🥰



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