存在価値

存在価値


高齢の親を長いこと介護していると、家族の方もストレスが溜まり、「いっそのこと入所してくれないかな。」

というような気持ちになるようです。

寝たきりは寝たきりなりに手がかかり、元気であってもそれなりの大変さがある。


元気な高齢者は、いつまでも子供を子ども扱いするので、世話をしている方も相当精神修養が必要になってくる。

腹が立つことがあってもぐっとそれを呑み込んで、当たらず触らず適度な距離感で付き合える凄腕のお嫁さんもいたりして本当に頭が下がります。


いっそのこと入所してくれれば日々のストレスが軽減するのに・・・と考えるのも無理はありません。


だがしかし、意外とですね、手がかかってイラっとするお年寄りが家族のパワーバランスを取っていることも珍しくありません。

夫婦で親を敵に回しているうちは夫婦仲が良いのに、親がいなくなるとお互い向き合ってしまって夫婦げんかが絶えなくなったり。

あるいは夫婦どちらかに病気が見つかったり。またまたあるいは、家族に他の問題が見つかったり・・・


本当に不思議なんですよねー。グループダイナミクス。


「もう、入所させた方がいいですよね?」

と、相談された時、ひとつバランスが崩れて、新しい問題が生まれるかもしれないという事も踏まえて、

「慎重に、ご本人様の意思を確認してよく話し合ってください。」と玉虫色のお返事をしてしまいます。


介護はやり切った方が、残された家族が強く生きていかれるという実例をたくさん見てきたので・・・

この世とは単純で、複雑。でも、やっぱり単純にできているような気がします。

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