パステルアート『絵がきや晴加-haruka』

  パステルアートと出逢うまで~  

パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター

家紋とパステルアートの独自の融合アートである「結紋-yuimon」誕生の原点には、私の人生にパステルアートとの出会いが訪れたことが、全ての始まりです。

​私がパステルアートと出会わなければ、結紋とは出会えていなかったと言い切っても良いほどです。

​簡単ではありますが、私がなぜパステルアートと出会ったのか、ということを最初に綴らせてください。


​私は、幼い頃から思っていることを言葉で伝えようと思っても、感じていることと言葉が上手く繋がらず、時に吃ってしまったり、伝えたい心を飲んでしまうことがよくありました。

​当時の私は、言葉を使うよりも自分の世界で心を感じて、言葉の代わりに浮かんだ景色や色をイメージしながら心を感じていました。

​そのような日々を過ごしていた私に、小学2先生の時妹が産まれ、言葉にまでなっていない音で会話が出来たことや、表情で繋がれたことがとても嬉しく、新たな感動に包まれました。
​言葉のない世界にココロを感じた瞬間でした。



​それからというもの私の夢は、保育士になる道しか見えず、大学4年間保育学科で学び、卒業と同時に念願の保育士となりました。

​夢が叶えられた達成感と喜び、子どもたちの純粋な感性に私が学ばせてもらうことが多くありました。

​感動もある中、保育の現場で勤めていく中で、心と身体のバランスが上手く取れず、体調を崩してしまい退職をしなければならない状況となりました。

​自分の心や身体なのに動かなくなってしまった。心がどこにあるのかさえ、分からなくなっていました。

​部屋の天井を見て横になる日々が続き、何ヶ月か経ったある日、ふと実家近くにある《富士山静岡空港》から沖縄行きの飛行機があることを思い出したのです。その時、
​「あ、沖縄へ行こう♪」
​と、頭の上に電球が光ったイメージが湧きました。

​とにかく知り合いが誰もいないところへ行き、ゼロの環境で自分を感じたいと思いました。冒険をしたいと思いました。

​それから突き動かされるように、沖縄へ行く準備を初め、期間は2週間とだけ決めリュックを背負いました。

​泊まる場所もプランも決めず、一人沖縄へ向かいました。そんなまさか?!の1人旅先で、で出会った方の仕事場にパステルの画材があったことが、私がパステルとの初めて出会った瞬間です。

 パステルを削り粉にして、指で描く ​​

沖縄から静岡へ戻ってきた後、別の場所でもパステルアートを見ることがありました。

​実家近所にあるお気に入りのクッキー屋さんに行った時に、絵から飛び込んできたように視界に入った絵画がパステルで描かれた作品でした。

​その時、人生で初めて「こんな絵を描いてみたい!」と衝撃が走り、クッキー屋さんの奥さんに作品を描かれた方をご紹介して頂き、すぐに教室に通いました。

​パステルアートでの表現が広がるたび、心の表現方法も広がり、心が動くたびパステルで感じた心を絵にしました。

​パステルアートと出会い、今感じている心を身体全部で感じて、浮かんだ風景を表現できるようになりました。

私の中に確実にあったけれど、今まで一度も見たことのなかった心の景色を、絵を通して人生で初めて見ることができた瞬間でした。

​ずっと言葉で想いを伝えるのが苦手だな、と感じていた分、言葉以外にも気持ちを表現する方法と出逢えたかもしれない!!と、何とも言えない嬉しさで包まれました。


​不思議なことに、描いた絵を人に見てもらうと込めた気持ちが、見た方にも同じように伝わっていました。それがたまらなく嬉しくて、何度も何度も絵を描きました。

絵を描き始めて何日かたった頃、今まで忘れていた幼い頃の記憶が時々ふわっと出るようになりました。

  お墓参りは、心が踊る場所  

パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイタ|グレーゾーン

パステルで絵を描きながら、ぼやーっと浮かんできた景色は、私が当時、4・5歳の頃の風景でした。

​シュチュエーションはなんと、家族でお墓参りをしているところからスタートしました。

​これが「結紋-yuimon」が誕生する大きなきっかけとなるとは、その時は全く予想もしていませんでした。

​その時の私は父さん、お母さんの真似をして、お墓の前で手を合わせてご先祖様に挨拶をしていました。

「今小学2年生です。◯◯ちゃんというお友達ができました♪」

当時、私は何を伝えたらいいのかよく分からなかったので、ご先祖様にはよく近況報告をしていました。

​挨拶が終わり、帰ろうと思った時、墓石に刻まれている家紋が小学生低学年の私の目に飛び込んできます。

「ん?なんだこれ??」「なにかのカードかな?」

​私は、家紋を見るのに夢中でした。

​ちょうど墓石に刻まれている家紋が目の前にくる背丈だっだので、気付いた時には、家紋しか目に入らなくなっている私がいました。

​お墓中を目を輝かせて歩いて見ていました。

​家紋を見つけては、他に似た家紋はないかを探すゲームを1人で、お墓参りをしながら楽しんでいました。

​私にとってお墓参りは、家紋合わせゲームをして遊ぶ場所でした。
​ここで幼い頃の記憶が、一旦終わり絵を描いている当時26歳の私に返ってきました。
   紋と命のつながり   ​​​
パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター|作品名福縁

時が過ぎ27歳。

​私は、結婚をすることが決まり、「結婚ってなんだろう?」と考える時間が増えました。

​結婚は、男女2人だけのことではなくて物凄く大きくて壮大な意味が隠れている気がする、と感じるようになりました。結婚をきっかけに、2つの家族が1つの家族になること。

​家と家が晴れて結ばれること。命と命が結ばれ、新しい命が誕生すること。

​結婚の中に込められているこんなに深くて素晴らしい意味を、何かをきっかけに、もう一度再認識できるようになったらいいな、と思ったときに、ピン!と閃きました。

​「あ!家紋!!いいかも♪」と。

今まで繋がってきた命(見えない物)が、家紋(見える)ものによって表現されている家紋と、結婚が私の中で繋がり、この気持ちを表現したいと思ったのです。

​そんな中、家紋の話を同世代の友達に話してみると、

​「そもそも家の家紋知らないな。」「え?家紋って家にもあるのかな?」

​このような声が多くあり、

「!!!え!?!?!?家の家紋が何かということは、当たり前に知っているものじゃないんだ!」

と、目が点になるとはこのことか!というような、漫画載っているような表情をその時はしていたに違いありません。笑


​友達から素直な意見を聞き私の中で
​「家紋について知らない人が多いなら、もっと知りたい♪」

​と、なぜか突然スイッチが入り、私と私による家紋についてのミーティングがスタートしました。

  先生は、3歳の頃のわたし  ​​

パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター|作品名兆し

結婚を機に見つめ直す時間が増えた家紋を、「(結婚という晴れの日でも皆さんに認識してもらえるためには、どうしたら良いだろう?)」と、私の考える日々はまだまだ続きます。

​考えに考えを重ねて、頭の中が混乱しそうになった瞬間、再び4歳の私が墓石の家紋を楽しそうに見ている映像が、浮かんできました。

​最初は幼い私を映像として見ていたのですが、どんどん幼い私に近付いていき、スッと子どもの頃の私の中に、27歳の私が入っていました。

​一瞬「あれ?」と驚き、辺りを見回します。

「なるほど♪この時の私の心になったら、これから家紋をどうやって表現していくか分かるかも知れない♪」何となくそんな気がしました。

気持ちの中に入り込み、大好きだった家紋の絵合わせゲームを楽しみます。

「あっ!この家紋はお花だ~」

​「これは何の形だろう?」

「これとこれは、似てるけど、真ん中がちょっと違う。」

その時、

「!!!!!!!!!」

(私、色の付いていない家紋なのに、頭の中で色をつけて、塗り絵をして絵合わせゲームしてる!!)

これに気付いた途端、一気に現実に戻ってきました。

「なるほど!!!家紋に色を付けて家紋の絵合わせゲームをやっていだんだ!!!!早速やってみよう~~~~~~~♪」

これがきっかけとなり、私の中にあった家紋に色をつけてみる、という方法に繋がったのです。

   家紋で塗り絵あそび   

幼い時の私は、色鉛筆で塗り絵をしてよく遊んでいたので、ワクワクした気持ちそのままに、まずは実家の家紋に色鉛筆で色を付けてみました。
パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター
完成したものの、​まるでしっくりこない。イメージとは果てしなく遠い!涙

​鶴が全く飛んでいなく、絵の中で止まってしまっている。これでは絵の中の鶴だ・・・・。

​こういうのを描きたいのではなくて、もっと生命力があるもの。

​感動があるもの。

​心を感じるものを描きたい。

​描き手の私の心がこうならば、受け取り手にも同じように伝わってしまう。

1からもう一度考え直そう!


「家紋に色付けをするこの発想は、間違っていない。」

​「絶対いける!!」

​と、心が高まっていた気持ちと、完成した作品との落差があり、心の底まで撃沈しました。

「やっぱり歴史ある家紋を、私が描こうとするのに無理があるのかな・・・・。」

「家紋のことを知らないから、深みや奥行きを表現出来なかったのかもしれない!」

「よし!家紋について学ぼう♪」

(「やっぱ家紋について何も知らなったから、絵の中の鶴になったにかもしれない!♪」)

なんて思いながら、早速軽い足取りで本屋さんへ向かいました。

​いつもとは、2トーン以上明るい声で店員に話しかけます。

「すみません♪ 家紋について書かれている本はありますか?」

すると1冊単行本を渡してもらいました。

​目次を見ると、家紋のはじまり、家紋の誕生背景など、まさに私が全く知らないことばかり書かれています。

​ワクワクが高まる中、早速本を読み始めます。
「へ~家紋は平安時代から続いているものなんだ~。なるほど~~。」

「・・・・・・zZZ」

3ページ目で、気付いたら寝ていました。

歴史を知ることももちろん大切だけど、今はではない。ということだけははっきり分かりました。笑

  家紋 × 紅型 × パステル  

家紋を色鉛筆で塗ったり、パステルで塗ってもどこかしっくりこなく、早3年という月日が経とうとしていました。
​なかなか腑に落ちる表現方法と出会えなかったのですが、幼少期の記憶を思い出してから家紋のことが頭から離れたことは、1日もありません。
​そのくらい私にとってパステルと家紋が一体化している感覚がありました。
そこで、ある日
​「気晴らしに、出掛けよう!」

と、沖縄に走っているゆいれーるに乗るために安里駅へ向かいました。
​切符を買い、改札を抜け、階段まで向かう途中に、ある1枚のポスターに目が止まります。


「紅型展か~。 ほんと沖縄ならではの色使いだな~。
​ひとつひとつの色ってこんなにはっきりしているんだ~。
​へぇ~紅型は、色を抜いて表現されている部分があるんだな。
​色を抜くんだ。白抜き。。白く抜いて描く方法は、パステルアートでも私が、一番好きな描き方だな~そういえば。
​・・・・・・!!!!!!」
​色抜き。面白い!!家紋の表現でも使えるかもしれない!

​白抜きということは、背景が大事だな。!どうせならパステルだからこそ出来るグラデーションがいいっ♪」

グラデーションと白抜きの技法は、私が特に好きな技法ということもあり、再び家紋制作への熱が復活したのです。
​その熱量のまま描いた作品がこちらです。

 
 
パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター
こうして、家紋×パステルの新しい表現方法へと辿り着きました。

   結紋~yuimon誕生~   

パステルアート『絵がきや晴加-haruka』 結紋-yuimon/ライフクリエイター

新しい家紋の表現方法まで約5年の月日をかけ、辿りつきました。

私の想いとして、家紋を結婚の式などの華やかで、おめでたい席でもお披露目できる状態のものにしたい!という想いから、自己対話を繰り返していきました。

​家と家が結ばれ一つになることを表現したい。

​それを新しい家紋のアートを使って。(重なる。2つが1つに。今までのそれぞれの歴史はそのままに。)

いくつかのワードやイメージが沸き、最終的に1枚の紙に両家の家紋を描き、それを紐で結うようなデザインが浮かびました。

「これだ!!」

と、心の中で拍手喝采でした。

​完成した作品を見た途端、本当に嬉しくて惚れ惚れ見ていました。

完成した絵を見たときに、新しいものが生まれてきてくれたように感じたので、純粋に名前を付けたいと思ったのです。

名前か・・・家紋。

​かもん。

​KAMON。

​家紋って言葉も残したいな。何かないかな・・・・。

また、頭の中を言葉や風景がグルグルと、めぐる数ヵ月が始まりました。

 

その頃沖縄に住み始めて1年半が過ぎようとしていました。

​沖縄の文化、沖縄の方とも話をする機会が増えた頃。

​特に印象に残っているお話は、近所の方が私にして下さった言葉です。

「沖縄にはね、”ゆいま~る”という考え方があって、それは日常をみんなで協力して考えて、助け合うっていう意味だよ。

​だから新しいところへ来て、大変なことがあるかもしれないけれど、みんな沖縄の人は助けてくれるからね。」

と私に話して下さいました。

私は、心がとっても温かくなって、沖縄は本当に素晴らしいところだと思ったと同時に、素敵なところへ導いて頂いたな、とも思いました。

「“ゆいまーる”か。助け合う。みんなが輪になっている感じがするな~、人と人が結ばれている。

​!!!!!!あ!!!!ゆいもん!!!!

”ゆいもん”いいかも!!!!!!!!!

​ゆいは、結ぶの漢字を使おう♪結紋!!!!!!!!!!

​これでいこう♪(^^)」

こうして、家紋とパステルアートの「結紋ーyuimon」が晴れて誕生することとなりました。

▶︎NEXT ストーリー【結紋が完成して】​
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