芳しきバラの香気分 99.9%含むのは、実は芳香蒸留水だった?

(一社)日本アロマ蒸留協会 代表 河内です。



前回は水蒸気蒸留の仕組みにていて

ブログにて紹介させていただきましたが、

今回のブログでは、


水蒸気蒸留法という技術が、

一体いつ頃から行われていたのか

ご紹介させていただきます。



実はは、蒸留という技術は、

紀元前5000年頃から 

行われていたといわれています。


紀元前2600年に、古代エジプト人は、

植物材料を、刈り込んだ羊毛シートやあつい布で覆った大きな窯で煮立て、芳香蒸気を、羊毛シートで凝集し


その後、

羊毛シートを絞って

芳香物質を取り出し、素焼きの壺で

凝集させていました・


羊毛を使っていたとは、驚きですね。





羊さんは、新約聖書にも登場しますし


石鹸が生まれた際も、


灰と羊の油の反応で生まれた副産物だった訳ですから、、羊さんは

すごいなと感じます。






サンダルウッド・サイプレス・ミルラなどの木部から得た蒸留水は、

エジプトにおいて儀式的な場面においても活用され、たとえばミイラ化の技術においても

その過程で芳香蒸留水が使われていてこのプロセスを描いた絵画も現存しています。





蒸留という技術が、きちんと確立されたのは10世紀。



錬金術師であるアラブ人

アビケンナー(イブン・スィーナー)により、蒸留技術は確立されたと

言われています。




アビケンナーは、800種を超す植物とその使用法を記述し、

現在のアロマテラピーの基礎を確立したことでも有名ですね。


21歳ながら、神童とよばれ、

・論理学

・イスラム法

・天文学

・医学など


公式のあらゆる部門に精通し、科学者であり、詩人でもあり、医師でもあり 錬金術師・学者と

オールラウンドな才能を持った人であったといわれています。



彼は、植物をフラスコに入れ熱し、芳香成分を含んだ蒸気を集めて冷却することで バラからローズウォーターがとれることを発明し確立しました。


芳香蒸留水と言っても、何それ?という方も多いですが、

ローズウォーターというと、あ〜聞いたことがあります!という方もいらっしゃるほど、

芳香蒸留水の中ではナンバーワンの認知度と言えるのが、ローズウォーターです。





当時アラビアはバラの主産地でした。




芳香蒸留水として一番初めに世に出回ったのが、

このバラを水蒸気蒸留することによって得られたローズの芳香蒸留水です。


芳香蒸留水というとやはり王道は ローズウォータといえるでしょう。


バラの栽培は、13世紀頃から盛んに行われ、

この頃から冷却する方法も広まりアラブ人から世界各国へ水蒸気蒸留法は広まっていったといわれています。




バラを蒸留し

精油として抽出できるのは、

現在の蒸留の技術においても

ほんの0.001%。


99・9%の成分が、芳香蒸留水にみられます。


当時の蒸留技術において、

ローズ精油は、

ほとんど採油されることはなかったと考えられます。


つまり この時代は


ローズの芳香蒸留水を得るために

蒸留を行っていたということ。




水蒸気蒸留法によって

得られたローズ蒸留水は、当時 どんな風に活用されていたでしょうか?




次回のブログでは、10世紀から芳香蒸留水が

どのように活用されていたかをご紹介します。


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