【質問】HEJを使ってエアコン清掃をどうやってやるのか?

エアコン清掃のやり方について下記のような質問をいただきました。他にも知りたい方もいらっしゃるだろうと思い、ブログにまとめます。

 

質問

玉川様、
いつもお世話になっております。
またまた教えていただきたいことがあり、厚かましく連絡させていただいております🙏
エアコンのクリーニングにS液が使えるとのことでしたが、具体的にはどのように使用すればよろしいでしょうか?
先日、業者の方にクリーニングをお願いし、S液を使っていただいきました。
その時はまず1台お願いし、後日あと3台ということで、また来ていただくことになっているのですが、S液は汚れ落ちが弱いので、次回は業者さんの洗剤を使わせて欲しいと言われました。
前回のまず1台では、原液ではなく薄めて使われたので(原液を使う洗剤はない、と言われ)原液で使っていただくといいのかな?と思っていますが、素人がいろいろ考えるより、玉川さんのお知恵を拝借できれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします!

 

回答

HEJをエアコン清掃に使うメリット

まず、清掃業者さんにS液を使ってお掃除をお願いすることは、居住者にとっても、作業をする清掃会社さんにとっても良いことがあります。

 

居住者にとって

・化学物質過敏症になるリスクを抑えることができるので、安心してお掃除してもらえる。

・清掃後も、洗剤のにおいが残存することがないため、キレイな空気で気持ちよく過ごすことができる。

 

作業者にとって

・一般的に汚れ落としの力が強い洗剤は毒性も強く、作業者にとっても負担のある洗剤です。この毒性を低減、あるいは無くすことができるので、素手の作業ができ、作業性がよく効率が上がります。

・毒性の強い洗剤は放置ができませんが、HEJを使うことでこするという物理エネルギーを使わずに、HEJを噴霧して放置して落とすという化学エネルギーを有効に安全に使うことができる。そのため、作業が楽になり、強アルカリの液剤を中和するリンスのプロセスも不要なため、やはり効率が上がります。

 

市販されている業務用の洗剤で清掃するリスク

一般的に使用されている強アルカリ、またはアルカリ液剤でお掃除をする一番のリスクは、居住者の方が化学物質過敏症になってしまう「引き金」を清掃業者が使った液剤の化学毒性が引いてしまう可能性があることです。これは私が所属している日本グリーンハウスクリーニング協会に寄せられる声からも明らかになっています。

化学物質過敏症については、あまり認知されていない可能性がありますが、「香害」という言葉は耳にしたことはあるのではないでしょうか?この「香害」とは、衣服の洗濯を行う際に使用される洗剤や柔軟剤などの合成香料が原因で体調不良になる方が増えている現象です。

 

https://www.min-iren.gr.jp/wp-content/uploads/2021/12/genki362_07_01b.jpg

全日本民医連サイトより参照

 

この絵に示されるように、私たちの生活は日々いろんな形で化学物質が流れ込んでくる環境にあり、ある日突然この「風呂おけ」があふれる時が来るんです。その時に化学物質過敏症を発症します。ある日突然花粉症になる、あれと同じです。

僕がこの事実を知ったのは2014年。府中事件(下記レポート「日本グリーンハウスクリーニング協会から重大な発表」参照)と呼ばれるその事件は、普通に市販されている業務用洗剤を使い、一般家庭で作業をしてその家の方が化学物質過敏症を発症してしまったのです。このどこにでも起きそうな事実を知り、怖くなって、そこから僕はHEJを使ってお掃除の作業をするようになりました。

 

 

この府中事件はレアなケースではありません。2019年8月6日毎日新聞の朝刊には「体調不良 化学物質が原因?」というタイトルで記事が掲載されました。この記事では、東京都内在住の女性が、エアコン清掃時に洗浄剤が十分に洗い流されなかったために「化学物質過敏症」を発症したとして清掃業者側に損害賠償を求め民事裁判に勝訴したとされています。賠償金額は1300万円。いつ、誰が化学物質過敏症の引き金を引くかわからない社会で、化学毒性の強い液剤をそのまま使うことは、居住者にも、清掃業者にも、リスクがあるのです。

 

 

HEJを使ったエアコン清掃方法

一般的なエアコンの分解清掃の手順は清掃業者さんがご存知ですので、その手順と比較してHEJ特有の箇所を特に説明していこうと思います。

 

1. フロントカバー、フィルター、風向ルーバー、本体カバー、ドレンパン(外れる場合)などは外して水洗い

これらの部品はそこまで汚れが強烈に付着することはないですが、ドレンパンは汚れが強い可能性があります。強めの汚れ(主にカビや油汚れ)がある場合は、S液を原液、もしくはスプレー容器に入れるなら2倍希釈くらいにして、洗浄部品にS液を塗布して軽くこすり、しばらく放置して汚れにS液を浸透させる。放置時間が長くても部品が壊れることはありません。長くおけば置くほど汚れは落ちやすくなります。洗い終わったら、ドレンパンなどはS液をスプレーしておくことで、汚れづらくなります。
 

2. 取り外せる部品を分解後、養生して高圧洗浄する

プロの清掃会社にお願いしないと洗浄できない箇所は、熱交換器(アルミフィン)、送風ファン、ドレンパンのような内部構造の部分だと思います。ここに付着している汚れは主にカビとキッチンが近ければ油汚れ。外気が入ってくる場所であれば、外からの排気ガスなどもあるかもしれません。


①手順としては、まず水だけの高圧洗浄で大きな汚れをあらかた落としてしまいます。
 

②その後、S液の原液(スプレーが出づらい場合は水で2倍程度に希釈)をスプレーでアルミフィン、送風ファン、ドレンパンなどに噴霧して、ブラシでこすり汚れにS液を浸透させ放置します。
 

③この放置している間に取り外した部品を洗うなどすれば20分程度はS液を浸透させておく時間が取れると思います。
 

④その後、高圧洗浄機でアルミフィン、送風ファン、ドレンパンを洗浄します。汚れが強く、落ちていない場合は②の作業を繰り返します。
 

3. 仕上げにカビ防止としてS液をアルミフィン、送風ファン、ドレンパンにスプレーで噴霧する

HEJを一般的な業務用洗剤として捉えていると、これを噴霧して仕上げるというのはあり得ませんが、HEJは防カビ、消臭効果があるので、これはメンテナンスを考えた時に有効な手段です。そして、アルミフィンをはじめ、噴霧した素材を傷めることもありません。

 

HEJを使ったハウスクリーニング(グリーンハウスクリーニングといいます)の特徴とコツ

1. できるだけ経済的に

HEJの使用時の濃度ですが、必ずしも原液にこだわる必要はありません。考え方としては、できるだけ経済的に(希釈して)汚れが落ちる濃度を探すという感じです。エアコンも内部を開けてみると、カビがひどくついているケース、かなりキレイなケースといろいろあります。カビがひどいケースでも、S液を噴霧する前に水で高圧洗浄することであらかたの汚れは落ちます。そこからS液を噴霧し、浸透させることで、効率を上げることができるはずです。
 

2. 安全なのでできること

当然ですが、HEJのみを使用する場合は、手袋はしないでも手は荒れません。部品などによるケガ防止を考える場合は適宜対処はしてください。これは僕の経験ですが、素手でハウスクリーニングの作業をすることは普通はあり得ません。手が荒れるからです。強い液剤を使っていれば、皮膚が溶けます。HEJがいいのは、素手で作業することで、汚れの有無、汚れ落ちの感覚を素手で体感することができます。ですので、汚れの落とし残しによる再作業などの手間を防ぐことができます。
 

また、一般的な業務用液剤を素材に噴霧して放置したりしたら、その素材は変質、変色などして、素材によっては錆びたり壊れることもあります。HEJはそのリスクがありません。そのため、HEJを塗布、噴霧して、化学エネルギーを使い、こすり作業から解放されます。汚れに噴霧し、放置し、その間に他の作業に取り掛かるという段取りが組めるため、作業効率が上がるはずです。(簡単に汚れを落とす秘密の公式についてはこちらから)

 

3. 化学毒性を無毒化できる(グリーンナイズ機能)

もし、HEJのみで作業することにためらいのある業者さんは、HEJをお使いのアルカリ液剤に混ぜてご使用することもできます。苛性ソーダ(強アルカリ液剤)にHEJを混ぜることで、手で触っても化学熱傷しない液剤に変わります。分量は、化学毒性を消したい対象に対して1:1で混ぜるのが基本です。混ぜて手が荒れる場合は、S液の量を増やして調整してください。この化学物質の毒性をコントロールできる機能を「グリーンナイズ機能」と言います。一般常識では考えられませんが、実際に現象として起こっており、日本グリーンハウスクリーニング協会に属している仲間は、この機能を使って現場で作業しています。詳しいことを知りたい事業者の方は、当協会までお尋ねください。

たまちゃん通信 1号(2024年8月24日発行) 一覧 高エネルギー重曹(HEJ)洗剤用の希釈割合について教えて!