2024.09.27
寄り添うお酒
・蒜山耕藝さんのどぶろく
「代満(しろみて)」
・蒜山醸造所つちとみずさんのビール
「サワーエール」
「ヴィンテージエール」
この商品は、蒜山中和(ちゅうか)地域で作られたお酒です。
蒜山耕藝さんとつちとみずさんはどちらも、この中和の地に魅せられ移住し、農を中心とした暮らしをされている方々です。
そんな彼らが、その土地の水と恵みを使い、自分たちが育てた作物を使ってお酒づくりをされています。
妻が仲良くさせてもらってるのをいいことに、初めて私も醸造所にお邪魔させていただきました。
まず、蒜山耕藝さんでは、収穫前の自然栽培のお米「亀治」を見せていただきました。
無肥料、除草剤なしの環境で、頭を下げる稲穂には、なんだか力強さを感じました。
それから、このお米と清らかな水が、菌の力でどぶろくになっていく過程のお話を聴きました。
「なるべくこの地のものでお酒を作りたい」
という思いから挑戦したどぶろく作りは、大変なこともたくさんあるように思えました。
でも、それも楽しんでいるかのように感じます。
考えてみると、農のある暮らしの中では、そうしてお酒を作っていたんだろうなぁと想像できます。
「わしの家のは、うめぇぞ」
「いや、うちの方がうめいわい」
そんなどぶろく名人が、昔は地域にいたのかもしれません。
https://hiruzenkougei.com/6770
つちとみずさんでは、「日本一小さなブリュワリー」という、小さなコンテナハウスの中を見せてもらいました。
このビールの特徴は、なんと、中和の空気中に漂っている「野生酵母」を採取し使っていることだそうです。不勉強な私でも、目に見えない野生の酵母を捕まえるのは、運頼みのような気がします。そして、仕込んだビールは、数ヶ月も長期熟成。一杯のビールに、驚くほどの手間と時間がかかっているのです。
非効率に見えるこの醸造は、乱立するクラフトビール市場の中で、生き残る為の戦略でもあるともおっしゃられていました。でも、どんな味になるのかという、ワクワクも強いのかなぁと思いました。
https://www.deandeluca.co.jp/enjoy-good-food/travelogue/detail/20
このお酒たちに共通するのは、同じ天然水を使っていること。そして、素材や菌の力を信じて「寄り添う」酒づくりをされていることだと思いました。
その為に何をすべきかを考え、作物を育て、環境を整える。
季節の流れの中で、
「原料の力を信じ、コントロールしない」
「米、菌、水が発酵したいように任す」
という考えで育ったお酒は、この地でしか醸せないお酒になるのだと思います。
お話を伺うだけでも、徹底した管理の中で、均一した味を大量生産するメーカーものとは、全く別物のように思えてきました。
訪問前にも飲んでいたので、実際、味には癖や酸味がありますし、価格もかなり違います。
正直、初めて口にした時、大手メーカーの味に慣れた自分には、その癖に違和感を感じました。
でも、お話を聴いたあとに飲むと、その癖が深みに変わり、そのストーリーを思いながら、丁寧に飲む自分がいます。
(味覚なんて、ほんといい加減なもんです)
地域で醸された一期一会のお酒があること。
そのお酒を感謝して味わえる自分がいること。
それは豊かなことだと思うのです。
お話を伺って、外に出ると夕暮れに染まる里山の風景は美し過ぎました。
彼らがこの地に惹かれた理由が、少しわかった気がしました。
そして、田畑のみならず川原までも丁寧に人の手が入った景色に、この集落の力も感じることができました。
蒜山に住みながら、知らなかった景色。
実際に訪れて良かったです。
そんなお酒をご用意しております。
新たなきっかけになると嬉しいです。
稔りの秋の夜長、ゆっくり楽しむのはいかがでしょうか。