寄り添うお酒

9月29日(日)の「夜・悠悠」より、蒜山のお酒を扱わせていただくことになりました。


・蒜山耕藝さんのどぶろく

 「代満(しろみて)」


・蒜山醸造所つちとみずさんのビール

 「サワーエール」

 「ヴィンテージエール」




この商品は、蒜山中和(ちゅうか)地域で作られたお酒です。


蒜山耕藝さんとつちとみずさんはどちらも、この中和の地に魅せられ移住し、農を中心とした暮らしをされている方々です。

そんな彼らが、その土地の水と恵みを使い、自分たちが育てた作物を使ってお酒づくりをされています。


妻が仲良くさせてもらってるのをいいことに、初めて私も醸造所にお邪魔させていただきました。


まず、蒜山耕藝さんでは、収穫前の自然栽培のお米「亀治」を見せていただきました。

無肥料、除草剤なしの環境で、頭を下げる稲穂には、なんだか力強さを感じました。

それから、このお米と清らかな水が、菌の力でどぶろくになっていく過程のお話を聴きました。

「なるべくこの地のものでお酒を作りたい」

という思いから挑戦したどぶろく作りは、大変なこともたくさんあるように思えました。

でも、それも楽しんでいるかのように感じます。


考えてみると、農のある暮らしの中では、そうしてお酒を作っていたんだろうなぁと想像できます。

「わしの家のは、うめぇぞ」

「いや、うちの方がうめいわい」

そんなどぶろく名人が、昔は地域にいたのかもしれません。


https://hiruzenkougei.com/6770






つちとみずさんでは、「日本一小さなブリュワリー」という、小さなコンテナハウスの中を見せてもらいました。

このビールの特徴は、なんと、中和の空気中に漂っている「野生酵母」を採取し使っていることだそうです。不勉強な私でも、目に見えない野生の酵母を捕まえるのは、運頼みのような気がします。そして、仕込んだビールは、数ヶ月も長期熟成。一杯のビールに、驚くほどの手間と時間がかかっているのです。

非効率に見えるこの醸造は、乱立するクラフトビール市場の中で、生き残る為の戦略でもあるともおっしゃられていました。でも、どんな味になるのかという、ワクワクも強いのかなぁと思いました。


https://www.deandeluca.co.jp/enjoy-good-food/travelogue/detail/20




このお酒たちに共通するのは、同じ天然水を使っていること。そして、素材や菌の力を信じて「寄り添う」酒づくりをされていることだと思いました。


その為に何をすべきかを考え、作物を育て、環境を整える。

季節の流れの中で、

「原料の力を信じ、コントロールしない」

「米、菌、水が発酵したいように任す」

という考えで育ったお酒は、この地でしか醸せないお酒になるのだと思います。




お話を伺うだけでも、徹底した管理の中で、均一した味を大量生産するメーカーものとは、全く別物のように思えてきました。


訪問前にも飲んでいたので、実際、味には癖や酸味がありますし、価格もかなり違います。

正直、初めて口にした時、大手メーカーの味に慣れた自分には、その癖に違和感を感じました。


でも、お話を聴いたあとに飲むと、その癖が深みに変わり、そのストーリーを思いながら、丁寧に飲む自分がいます。

(味覚なんて、ほんといい加減なもんです)


地域で醸された一期一会のお酒があること。

そのお酒を感謝して味わえる自分がいること。

それは豊かなことだと思うのです。





お話を伺って、外に出ると夕暮れに染まる里山の風景は美し過ぎました。









彼らがこの地に惹かれた理由が、少しわかった気がしました。


そして、田畑のみならず川原までも丁寧に人の手が入った景色に、この集落の力も感じることができました。


蒜山に住みながら、知らなかった景色。

実際に訪れて良かったです。


そんなお酒をご用意しております。
新たなきっかけになると嬉しいです。


稔りの秋の夜長、ゆっくり楽しむのはいかがでしょうか。



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