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第48話 皮膚バリアを制する者はアトピーを制する!〜Outside-inside-outside 理

第48話 皮膚バリアを制する者はアトピーを制する!〜Outside-inside-outside 理論〜

健康であれば皮膚表面は皮脂バリアでがっちりガードされているから外敵(花粉やダニのウンチなど)や刺激(紫外線など)から守られている。
つまり、皮膚は、弱酸性バリア(皮脂膜)で保護されていて、その下の角質細胞や細胞と細胞の間の角質細胞間脂質がラグビーのスクラムのように力を合わせてタッグを組み”皮膚バリア”としての機能を担っているが故に、異物の侵入を防ぐし、逆に水分が出てっちゃって皮膚が乾燥するのをバッチリ防いでいる。
でも、アトピー性皮膚炎の皮膚では、これらの皮膚バリア機能が低下しているため、外界からの異物(花粉やダニのウンチ)が余裕で皮膚の中までスカスカ侵入しやすいし、水分もバンバン出てっちゃいやすいからカピカピ状態になってることが全てのスタート。

皮膚pHのルール
・健康だと皮膚pH(正確には皮膚表面の皮脂膜のpH)は弱酸性に保たれている=皮膚バリア機能の維持に重要
(皮膚表面に存在する常在菌が皮脂腺から分泌された皮脂の脂肪酸を分解することで皮膚バリア機能を持った皮脂膜となり皮膚pHを弱酸性に維持している。)
・皮膚pHは、健康なヒトでpH4.1〜5.8(平均4.9)の弱酸性
・皮膚pHは酸性から中性に近づくにつれ、細菌が増えやすくなる
・皮膚pHが弱酸性だとブドウ球菌やマラセチアが増えにく

医学誌 Allergyに2020年に掲載された「Skin pH–dependent Staphylococcus aureus abundance as predictor for increasing atopic dermatitis severity」という論文でわかったことは、
・黄色ブドウ球菌は皮膚pHが5.7-6.2でめっちゃ増える
・黄色ブドウ球菌がいるとアトピーが重症化する
・皮膚pHが「黄色ブドウ球菌が増えるか?減るか?」を制御している。
・持続的に皮膚pHを弱酸性に維持することがめっちゃ大切

つまり、皮膚を持続的に弱酸性に保つことにより、角層のターンオーバーが正常化し、ブドウ球菌もコントロールできるってこと。

逆にどうなると皮膚pHが上がるのか?というと
・皮膚バリアがぶっ壊れた時
・赤ちゃんの皮膚 
・年をとったおじいちゃんやおばあちゃんの皮膚
・乾燥したヒトの皮膚
・アトピーや乾癬の患者さんなど
(Ehrhardt Proksch.pH in nature, humans and skin.J Dermatol.2018)

実際に皮膚pH が上がるとどうなるの?っていうと
・皮膚バリアがぶっ壊れやすくなる
・皮膚バリアがぶっ壊れるとアレルギー(Th2優位のアレルギー性炎症)が起こりやすくなる
・黄色ブドウ球菌が増えやすくなる
・水分が出て行っちゃいやすくて皮膚がカピカピに乾燥する

犬や猫の皮膚pHはどうなってるか?
・犬の皮膚pHは6.0〜7.0で、犬アトピー性犬の病変皮膚では約8.0〜9.0に上昇(Ehrhardt Proksch.pH in nature, humans and skin.J Dermatol.2018)
・猫の皮膚のpHは6.4〜6.9(Szczepanik MP et al. J Feline Med Surg 2011)
・犬のアトピーでは皮膚pHが上昇する (Popiel J et al.Acta Sci Pol Med Vet. 2004)
・犬のアトピーの皮膚では皮膚pHが高いから細菌が増えやすい(Shimada K et al,2009) (Reiter LV et al, 2009)

じゃあどうしたらいいか?
ズバリやることは2つ
1)皮膚バリアをなんとかしろ!(皮膚pHを弱酸性に保ちながら保湿しろ!)
2)Th2の暴走を食い止めろ!(薬ではなく乳酸菌とオリゴ糖で暴走を食い止めろ!)

水素イオン水(オクト社製の化粧水:美ローションなど)をシャンプーやトリミング前に塗布してからブラッシングするとキューティクルの収斂作用(=保護ツヤなど美しさを保つ効果)でコームが通りやすくなるが故にブラッシングによる毛根ダメージが減るかことでトリミング後に痒いという問題が減る(キューティクルはそもそも毛の表面をおおっている部分で毛の水分が失われないように働くと同時に毛につやを与えています。水素イオン水(美ローションなど)は酸性なのでキューティクルを引き締める効果あり)。さらに水素イオン水を使った保湿クリームは皮膚表面の保湿をするだけではなく皮膚pHを弱酸性に維持することによって角層のターンオーバーが正常化し、肌がなめらかにしてくれる、だから乾燥やアトピーでターンオーバーが乱れた皮膚を健常に導くのに有効な手段になるってカラクリ。

Outside-inside-outside 理論って何?
これまで耳にタコができるほど話したように、アトピー性皮膚炎の痒みは皮膚バリアの異常がめっちゃ強く関わっていることがわかっていて、炎症が外(outside) から体の中( inside)に連鎖していきます。さらに、この体の中(inside)の問題が外(outside)に影響して皮膚バリアがさらにぶっ壊れてまアトピーがガンガン悪化するという考え方を「Outside-inside-outside理論」と言います。郷ひろみさんの「Gold finger'99」って曲の歌詞に、”upside inside out(アップサイド インサイド アウト)”というフレーズがありますが、今回の理論には関係ありそうでありません。

本日のまとめ
皮膚のバリアがぶっ壊れたことが原因でアトピーがスタートして、ゲーム・プヨプヨの連鎖反応のように炎症反応がバババッて広がって行きます。炎症という問題の”蛇口”を閉める意味で皮膚バリアをがっちり保護することは非常に理に適った治療の1つです。
保湿剤は、ヒルドイドでも白色ワセリンでも何でも良いですが、個人的には水素イオンが配合された保湿クリームが保湿効果に加えて皮膚pHを弱酸性に維持してくれる観点から臨床的にも美容的にも補助的に意味があると強く実感しています。
https://microbiota.official.ec/

あとがき
このメルマガは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。
特に腸内細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、ペット合ったオーダーメイドの乳酸菌を飲むとによって腸内の細菌のバランスを元に戻してあげることによって痒いという症状が改善していくの目の前でみて、やはりカギとなるのは菌だと感じています。そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

文責
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川野 浩志(獣医師 獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
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