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第42話 皮膚常在菌の攻防戦〜皮膚pHと皮膚バリア〜

第42話 皮膚常在菌の攻防戦~皮膚pHと皮膚バリア~

ヒトの皮膚の一番外側には「角層(かくそう)」があり、その厚さはサランラップ1枚と同じ約0.02mm。この角層の表面は「皮脂膜(ひしまく)」で覆われています。この皮脂膜がむちゃめちゃ大切なんです。
さらに、皮膚の表面には皮膚常在菌と言われる微生物(細菌、カビ、ウイルスなど)がめっちゃすんでて、その種類や量は人によって違いますが1000 種の菌種が棲んでいるとか(Grice EA et al. 2009) 。
皮膚常在菌をアンパンマンのキャラクターで例えると、アンパンマンに相当する善玉菌の主役は表皮ブドウ球菌。またドキンちゃんやロールパンナちゃんに相当するどっちでもない菌がアクネ菌(ニキビ菌のことね、ビキニじゃないよ)、さらにバイキンマンやホラーマンに相当する悪玉菌が黄色ブドウ球菌です。

健康なヒトの皮膚表面はpH (水素イオン指数)は、個人差はありますが、一般的に汗(乳酸)や皮膚表面の脂肪酸によってpH4.5~6.0の弱酸性に保たれています。アンパンマン(表皮ブドウ球菌)にとって都合が良いのはpH5~6の弱酸性です。一方でバイキンマン(黄色ブドウ球菌)にとって都合が良いのは中性です。

従って、皮膚表面が弱酸性に保たれることによってバイキンマン(黄色ブドウ球菌)や真菌(マラセチア)、アクネ菌が増えにくくなり健康な肌状態を保つことができます。しかし逆に皮膚表面のpHがアルカリ側にシフトするとアンパンマン(表皮ブドウ球菌)が容易に繁殖して化膿しやすくなります。
つまり、皮膚の菌バランスを考えたら美肌菌と呼ばれるアンパンマン(表皮ブドウ球菌)をいかに育てるか?という “育菌”がとても大切なんです。

一般的に健常なヒトの皮膚でも皮膚表面のpHが弱酸性から中性よりに変化すると肌荒れします。アトピー性皮膚炎の患者では、皮膚表面のpHが弱酸性ではなく中性に偏っでいつて常に上昇してるんだとか(Hatano, Y et al 2009)。
pHの上昇により角質が剥がれてバリア機能が低下して、バイキンマン(黄色ブドウ球菌)やカビにとっては好都合の環境になります。
最近の研究によると皮膚表面のpHが上がると皮膚の水分がなくなってまうよ!ってこともわかりました(岡田 忍ら 2008. )。感想しちゃうじゃん。

皮膚バリアは3つの防御
1)皮脂膜
2)天然保湿因子(NMF):角質細胞内のアミに酸を中心とした保湿成分
3)セラミド(細胞間脂質)
 角質細胞と角質細胞をつなぐ脂質で、皮膚の乾燥を防ぎ、アレルギーの原因となる外敵の侵入を防いでいます。

皮膚のバリア機能の役割は2つ
1)なんらかの刺激から身体を守る
2)体の中の水分が外に逃げちゃわないようにする

皮膚のバリア機能が低下すると
① 雑菌から皮膚を守るガードが弱るから、ガードしないボクサーみたいにパンチくらうよ。
② 水分がにげちゃうからが皮膚がカピカピにるよ。
③ 未熟な角質層ができてまうから毛孔がつまっちゃうよ。
④ 水分が逃げるのを防がなきゃって皮脂がふえちゃうよ。
⑤ 皮膚が敏感になってかゆくなるよ(敏感肌)
⑥ 「にきび」ができやすくなるよ
⑦ 「こじわ」ができやすくなるよ
⑧アレルゲンが皮膚から入ってアトピー性皮膚炎が悪化するじゃん。

小学生でも理解できるようにまとめると
1)皮膚のpHバランスが崩れると駄目だよ。

2)アルカリ側になるとバイキンマンが有利になるよ。

3)弱酸性だとアンパンマンのパワーが炸裂するよ。
4)皮脂膜ってすげ〜大切だよ。
5)やっぱ保湿だね。

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あとがき
このメルマガは、「診察室では話しきれない情報を伝える」で、「ヒトとペットの健康に関わるイケてる研究論文を独断と偏見でピックアップしておじいちゃんでも理解できる言葉で噛み砕いてわかりやすく表現すること」にコミットします。
特に腸内細菌にググッとフォーカスし、鋭くザクッとメスを入れます。動物病院でアレルギーのペットを毎日診断・治療して、ペット合ったオーダーメイドの乳酸菌を飲むとによって腸内の細菌のバランスを元に戻してあげることによって痒いという症状が改善していくの目の前でみて、やはりカギとなるのは菌だと感じています。そんな想いを高速道路サービスエリアに設置されて、「コーヒールンバ」の曲にのせてプチ贅沢なコーヒーが出来上がるまでの時間でも読めるくらいにギュッとコンパクトにまとめて発信します。この記事が誰かの目に留まり、アレルギーで痒がる世界中のワンちゃんと猫ちゃんへの恩送りとなりますように…

文責
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川野 浩志(獣医師 獣医学博士)
日本獣医皮膚科学会 認定医
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