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メールマガジン バックナンバー
【連載】vol.21 「感覚を育てる」
こんにちは。
北海道でも暖かい日が増え、
我が家の庭ではアスパラが収穫できました。
これからの季節、さまざまな植物が芽吹き、
収穫が進んでいくことが楽しみです。
このメルマガでは毎月1回、
私、ストレングスジャーナリストのこぼねあみが、
書道家関吉久美さんにインタビューを実施し、その内容を記事として配信しています。
これまで語られなかった、関吉久美さんの内側を
お伝えしていく場です。
メルマガ記事第三弾。
テーマは
「感覚を育てる」
では早速始めていきましょう。
はじめに
今回の記事は、前回からの続きで、
「すごさ」についてをテーマとしています。
まだご覧いただいていない方は、ぜひ前回の記事からお読みください。
(ホームページよりバックナンバーが読めます。)
多くの方が久美さんに対して、「すごい」と言います。
それは、全国に教室が展開されていること、
それに伴って、しょっちゅう飛行機に乗っていること、
オーストラリアに行ったことなど…。
ただそれは、
久美さんにとっての「すごい」とはイコールではないのです。
今回の記事では、久美さんが考える「すごい」について
フォーカスをしていきます。あえて直球でお伺いした問いから、スタートです。
「すごさ」の答え
Q:「すごいのはそこじゃない」とのことですが、
単刀直入に…久美さん自身の認識している「すごさ」は
どこにありますか?
A:うん、それはね…言葉にするのが少し難しいけど…
「感覚を育てる」というところだね。
わたしが教えている書道(近代書道)っていうのはさ、
最終的には、感覚のものなのさ。
いや〜でも表現が難しいね、
「わたしは、ひとり一人の感覚を育てています」というのが
最終的な答えかな。
で、感覚を育てるなんて、難しいぜ。
でもわたしは、それはできます!っていうところ。
ひとり一人の感覚を育てる、ハウツーっていうか、
才能が、わたしにはあります。
例えばさ、
わたしのコピーロボットを5人作るのって
実は簡単なんだよ。
わたしが作る作品を真似て、同じ様に作る人はいくらでも生み出せる。
でも、それじゃないのよ、わたしがやりたいのは。
5人いたとしたら、5人それぞれの感覚を
それぞれに育てるの。
それで、感覚を育てるので、
いつも同じとか、同じロジックにはできないの。
言葉で説明できないのよ。
だからね、教科書も作れないの。
教科書にできない理由
Q:教科書が作れないのは、一人一人違うからですか?
A:うん。違うし、
私自身も生きてるから、言ってることが変わるよね。
だから、教科書は作れない。
わー伝わるかな〜。
これはね、生徒さんだったら今の話にピンとくる人が
いっぱいいるの。
特に長く一緒にやってる人はね。
あとは、「アート書道教室」っていう名前から
「関吉ゼミナール」に名前を変えたじゃん。
これにも意図があって、
学術的に書道というものを学びましょうの空間にしたいんだよ。
だから根拠があること、学術論文みたいな意味でね。
これが根拠ですよって、だからこういう話をしています
ということを大事にしたいんだよね。
その根拠はさ、まずはわたしが学ばないと生まれないじゃない。
勉強しないと。
だからわたし悪いけど、そんじょそこらの書道教室の先生より、
勉強してますよっていう感じです。
だからワークショップで…(何かを言いかけて)
Q:あぁ〜…
A:え、伝わった?!よかった!
Q:いや、でも聞かせてください !
A:そう?じゃあ一応話す?笑
昔、認定講師養成の講座もやってたの。講師を育てる、ってやつ。
全10回のプログラムでね。
そこで必ず伝えてたことは、
「ワークショップはやらないでね」ってことだった。
準備屋さんで終わらない
ワークショップって何かというと、
場所を用意して、材料を用意して、道具用意してっていう、
準備屋さんなんだよね。
で、それにまあ簡単なハウツーをテキストで、
プラモデルの説明書みたいな感じで置いておく。
そこに書いてある順番通りにやったらできますという感じが
ワークショップね。
でも、わたしがやってほしいのは、
それではないよと伝えてたの。
それだと「やった気になって終わる」の。
なんとか講師ですみたいな。
それはそれで、いいんだけど、
もうちょっとちゃんとしたいんですよ、わたしは。
学術的に、根拠を勉強してね。
Q:やっぱり真面目ですよね。
A:真面目。真面目なんですよ。
真面目なんです。
でもね、なかなか伝わらない。
あれ、なんでこんな話になったんだっけ?
Q:本当の凄さに気づいていないという話ですね。
本当の凄さに気づかれてしまったら、どうなりますか?
A:あーそうだそうだ。
うんと、飛行機に乗ってさ、あちこち行ってるのがすごいとかね。
教室をいっぱい持っているとかさ、それは、”側”じゃん。
なんていうかな、外側なの。
それって、全然すごくなくて、誰でもやろうと思えばできるの。
あとね、
わたしは今、自分の生み出す作品について、
すごいと思ってないのよ。
さっきの話は、教室の講師としてすごいっていう話ね。
わたしって本当はすごいんだよ、感覚を育てられるから
という話。
それはそれでいいんだけど、
わたし自身が生み出している作品自体は、
すごくないのにすごいって言われることは違和感なの。
わたしは自分の作品が常に好きじゃない。
すごいねって言われても、
わたしの生み出している作品は好きじゃないの。
だからいつも、「すごいですね」に引っ掛かる。
おわりに
久美さんの「すごさ」、
今回は教室の講師としての視点でした。
アート書道教室改め、ゼミナールの講師として、
自らの才能を発揮し、活躍されています。
一方で、自分の作品は「すごくない」と
何度もおっしゃる久美さん。
わたしもいちファンとしては、
久美さんの作品には心が惹かれ、「すごい」と
口にしてしまいます。
そしてそれは、きっと多くの方も同じではないでしょうか。
もちろんそれも決して悪いことではなく。
受取手が、すごいと感じることは、それでよし。
とはいえ、作家としての久美さん自身は、
今もなお、自分の満足や高得点は目指すが、効率は目指さず、
「100枚書いて1枚いいのができる」そんなマインドで
今日も筆をとるのだと思います。
また、ゼミナールで現在取り組んでいるのは、
「前衛書」という現代書道の一分野。
今なお、学びの途中、進化の渦中なのですね。
ワークショップ形式を採用するのであれば、
何度でも、同じテキスト、同じ材料を用意して
同じ内容で開催できるのかもしれません。
ただ、久美さんが求めているのは、
それではない。
本物の書道を研究し、根拠を持って理解し、伝える。
莫大な根拠が染み込んだ久美さんだからこそ、
一人一人の生徒さんに対して、伝える言葉や根拠が異なり、
それによって、それぞれの感覚を育てることにつながる。
そんなイメージが浮かんだ今回のインタビューでした。
みなさまにはどの様な情景が浮かんだでしょうか。
今後も久美さんへのインタビューを通して、
久美さんの真実をお伝えしていきます。
どうぞお楽しみに!
読んでくださり、ありがとうございました。
【関吉久美のアンサー】
今年取り組んでいる「前衛書」。教室の生徒さんには
何度も何度も話してるけど、これはれっきとした「書道」なのよ。
テキトーとか感覚じゃない。情熱でも感性でもない。
知識と技術でしかない。
ただ、これまで多くの書道家(古典書道家)は、
近代書道について学ぶ機会がなかったし、それを教えてくれる師匠も
いなかった。
だから近代書道は、「書道じゃない、邪道だ」という印象を持たれてしまう。
書道についてちゃんと学んでほしい、知ってほしい、
文字ではない前衛書もちゃんと書道なのよ。
なぜ前衛書をやるのか。
前衛書を理解し、書けたら、もっと文字が愛おしくなるから。
私に対して、ものすごいエネルギーでぶつかってくる生徒さんたちが
何人もいます。
学びたくて、知りたくて、獲得したくて。
だから私は、そのエネルギーに応えます。よし!やってやる!
かかってこい!!