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腸脳相関が出来た理由
こんにちは。
東京都中野区にある哲学堂鍼灸院 院長の井上です。
前回は、
摂り入れた食べ物 ( 他の生命体 )を消化吸収し、自らの身体に必要な形に再構成 ( 代謝 )するためには、特別な専門器官が必要となり、消化器官が誕生したこと。
消化器官は食物を消化吸収する仕事以外にも、外界から入って来てしまう危険な物 (細菌など) から身体を守るために、免疫機能を備えるようになったというお話をしました。
ここからも分かるように、生命体の中で一番最初に形成された内臓は『腸』だという事。
そして、
生命体にとって一番大事なことは、自らを生み出した母なる地球との繋がりを維持するために、地球の一部を体内に摂り込み、地球の一部を使って自分の身体を再構築することで、地球との一体化を保持するということであり、この一連の行動が『食』なのです。
ちなみに、
単細胞生物の次の進化の段階として登場した、腔腸動物 (イソギンチャクなど ) の段階で出来上がった『腸』の背部には、脊髄の原型となる器官も誕生しました。
この脊髄の原型は『ホルモン』の放出をコントロールして、体内の各器官を統括していたと考えられます。
そして食べ物として取り入れる生命体が、より複雑に進化するにつれて、『腸』の一部も、消化して食べ物を溶かす能力に特化した『胃』が発達したように、腸の背部にある脊髄の原型も、瞬時に運動器官や内臓器官に命令を下せるように、脳と脊髄神経という形態に発達していくことになりました。
脳や脊髄神経、肝臓や腎臓など、現在の生物の内臓諸機関が揃ったのは『魚類』に進化した時だと考えられています。
海流に逆らって泳ぎながら餌を捕獲するなど、激しい運動による疲労物質の蓄積や、食べた餌を消化しながら泳いで元の生活圏に帰るなど、
激変する体内環境に対応するために、肝臓や腎臓などの代謝器官、骨や筋肉、靭帯などの運動器官、全身に栄養を送るための循環器官、代謝器官と運動器官、循環器官を瞬時に統括するために必要な脳と脊髄神経といったように、あくまでも、『腸』の仕事を補佐、補助するためにその他の器官が進化したのでした。
そういった進化の歴史があるからこそ、生命活動の中でも最も重要な働きを担う『腸』と『脳』との間に、腸脳相関と呼ばれるほどの密接な関係が出来上がったのも不思議ではありません。
ちなみに腸脳相関とは、
腸内細菌 ( 腸内フローラ ) が脳の機能や精神状態に深く関与していたり、逆に脳の疲労や緊張が、自律神経やホルモンを媒介にして腸の機能を低下させたり、下痢や免疫力の低下を引き起こすなどお互いに影響を及ぼすような関係にある事を指します。
人間以外の生物は、
脳にインプットされている本能によって、食生活をはじめ、日常の行動の全てをコントロールされているので、怪我や病気、感染症などにならない限りは、その種族本来の寿命を全う出来るのですが、
人間は動物として本来的に持っていた本能を制限し、自らの意思 ( 精神 ) の力で、本能に逆らって自らの行動と生活を変革したことにより、他の生命体には存在しない、『社会』や『文化』を生み出すことで生命体の頂点に君臨出来ましたが、
その反面、
本能を制限して、自分の意思で行動をコントロールした結果、そうとは気付かずに、生命を脅かしたり、寿命をも縮めてしまうような行動を、自らの意思で行ってしまうようになりました。
では一体、本能から離れて、自らの意思で行動をコントロールしたことにより、生命体にとっての『食』がどんな影響を受けてしまったのでしょうか？
次回に続く…
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