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【おせっかいFP通信】#21【日本人の豊かな心が反映している民法とは?】

【おせっかいFP通信】#21【日本人の豊かな心が反映している民法とは?】
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FPライフ・4Cの入原です。

いつもメールマガジンをお読みくださり、誠にありがとうございます。
突然ですが、皆さんは遺産分割の基準となる民法は何だと思いますか?





答えは
民法第900条(法定相続分)「民法に従って平等に分ける」
となります。

【1.民法第900条(法定相続分)とは?】
第900条をざっくり簡単に説明すると、
① 相続人が配偶者と子どもの場合
配偶者1/2、子ども1/2
② 相続人に子どもがなく配偶者と親の場合
配偶者2/3、親1/3
③ 相続人に子どもも親もいない場合
配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

これが、「民法に従って平等に分ける」ことになりますが…。


日本は徳川幕府の江戸時代からずうっと「家督相続制度」でした。お家を守るために長男が全てを相続し、親兄弟の面倒を見ていく方法が取られていました。

その制度が変わったのは、第二次世界大戦の敗戦後GHQの占領政策のもとに変更されました。理由は、「家督相続制度」で長男が全てを相続し、「生まれた順番」によって個人の権利が犠牲にされるような制度は、基本的人権に反するとされ廃止されたのです。

しかしながら、日本はいまだに長男を大事にする文化が残っていて、法定相続分で分けなさいと言われても、なかなか分割が難しい財産もあるため杓子定規にはいきませんでした。

そこで少しずつ条例が追加されていきました。順を追ってお伝えします。

【日本の事情に合せて追加された民法】
2.遺言による相続分の指定(第902条)
被相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。

※遺言によって自分の思うように決められる。


3.遺産分割(第906条)
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

※いくら遺言で自由に決められるといっても、上記の内容を考慮して決めるようにとしました。この法律がとても重要になります。遺産分割に対する日本人の考え方が反映しています。


4.遺言による分割の指定(第908条)
被相続人は、遺言で、分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

 ※相続が始まって直ぐに分割するのではなく、○年(5年を超えない範囲)の間は分割を禁ずることができます。


5.遺留分(第1042条)
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として区分に応じてそれぞれに定める割合を乗じた額となる。

※「遺留分」とは、被相続人が遺言をもってしても奪うことのできない相続人の相続財産全体に対する一定の割合をいいます。遺留分権利者は、直系卑属、直系尊属、配偶者であり、兄弟姉妹に遺留分はありません。

この割合は強行規定であり、被相続人の意思でも変更できません。つまり、どんな遺言を残そうが直系の家族の相続分は守られるということです。



【役割相続とは】
相続の世界は、「平等に分ける法定相続が正しい」という固定概念が広まっています。
家業を継いだり、親の介護をしても、全く考慮しないで法定相続分どおり分ける事が正しいと思い込んでいる人がたくさんいます。

1億円稼ぐ営業マンと500万円しか稼げない営業マンの給料が同じだったら、1億円稼ぐあなたはその会社に勤め続けますか?

社長の給料と新入社員の給料に差があるのは、役職に応じた貢献と責任が違うからです。
給料に差があっても、公平感と納得感があれば、不平には繋がりません。

相続の世界も同じです。
役割や貢献や責任に応じた遺産分割こそ公平感と納得感があり、争族に繋がらないのです。
相続の世界も平等感ではなく、公平感と納得感が大切です。

相続とは、考え方・生き方・在り方を、命の証である財産と共に受け渡すことなのです。

・残された家族が、故人に感謝をしている

・遺産分割の争いがなく、残された家族でこれからも仲良く助け合って生きていける

・相続税も心配なく払える

これが本来の相続のあり方なのです。

私たちは「日本人の豊かな心が反映している民法」を本当に理解できているでしょうか?


【まとめ】
今回は相続に関る民法のお話をしました。
第900条(法定相続分:相続人が数人あるときは、その相続分は、法定の定めるところによる。)が相続分割のすべてだと思っている方に、相続の法律はそれだけではないことを知って頂きたいと思い取り上げました。


私事ですが、先月「相続診断士」の資格を取得し、相続コンサルタントとして個別相談を引き受けています。一番喜んで頂いているのは「家族支援会議」です。こちらに関してはまた別の機会に詳しくお伝えしていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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