mail magazine backnumber
メールマガジン バックナンバー
【in-transition】久しぶりのスナックかとちゃん
カラン、コロン、カラン。
あら、かとちゃん久しぶりじゃない。
元気にしてた?
そんなとこ立ってないで、
そこ座りなさいよ。
いつものハイボールでいい?
なーに、どうしてたの?
顔出さないからどうしたのかって
みんな気にしてたわよ。
忙しかった?
実はさ、もう1社、会社作ったんだよね。
地元の高校の起業家教育を
支援する事業でさ、
いまは週に2回、
高校生たちが自分のやりたい事業に
挑戦するのを手伝っているんだよ。
え!あんたまた会社作ったの!
去年の今頃、起業したんだよって
言ってたばかりじゃない?
でも、前に来てくれたのは夏よね?
今までだったら、どんなに忙しくても、
月に何度か顔出してくれたじゃない。
もう、わたしみたいな
ババァのとこじゃなくて、
かわいいお姉ちゃんのいる店に
浮気したかと思っちゃったわよ。
ごめんごめん。
ここ以外じゃ、おれ飲まないよ。
なんかさ、自分なんかって思っちゃってさ。
なにかを察したママは、
黙ってセブンスターに火をつけた。
この前来たときは、体調を悪くして、
軽いタバコに変えていたのに、
また戻ったみたいだ。
自分なんかって、どうしたのよ?
なんていうかさ、
世の中、本気でなにかをやっている、
本気ですごい人たちがいるのを見てさ、
その人たちの話を聞いてさ、
自分の言葉なんてって思ったんだよ。
自分ごときが語ることなんて
意味ないんじゃないかって。
そしたらさ、
スナックで知らない人たちの前で
調子に乗って歌うのも
気が引けちゃったんだよね。
もう一服たばこを吹かしたママが、
焼酎の水割りを一口、飲んだ。
そうねぇ。
私も若いころ、プロの歌手を目指してて、
上には上がいるってあきらめたもんね。
えっ!ママ、プロ目指してたの?!
初耳だよ。
お店始めた頃からの常連さんは
知ってるんだけどさ。
まぁ歌しかやってこなかったから、
スナックでもやろうかなって思ったのよ。
でもね、酔っぱらって、
気持ちよくなって唄うお客さんの歌を
毎日聞いてて思ったわ。
こんな歌もいいなぁって。
そりゃぁプロからしたら、
たしかに下手よ。
他のお客さんも
別に聞いているわけでもないしね。
でもね、ところどころに
その人の人生が見えてくるのよ。
ホロリとしちゃうのよね。
歌い終わって拍手されて、
照れながら、お酒を一口飲む姿とか
いい商売したなぁって思うのよ。
楽しく飲んで、唄ってもらって、
その中にいいなと思える瞬間があるのよ。
気持ち良さそうに唄う
常連のシゲさんの演歌を聞きながら、
ぼくも2本目のタバコに火をつけた。
かとちゃんさ、
こんな都会でも夜には星が見えるじゃない?
そうだねぇ。
おれの田舎に比べれば少ないけど。
そういえば星なんて、
最近見てないなぁ。
かとちゃん、
星ってなんで光ってるって知ってる?
そりゃあれでしょ、
星の中心で水素が核融合反応を起こして、
エネルギーを放出しているからでしょ。
これだからインテリはつまらないのよ。
仕組みの話をしているんじゃないの。
星が光る理由のことよ。
光る理由?
そう、光る理由。
なんのために星が光るのかってこと。
えっ、なんだろう。
セブンスターの煙を吐きながら、
ママがキラキラした目で教えてくれた。
勝手に燃えているのよ。
えっ、どういうこと?
星が光る理由なんてないの。
勝手に光っているだけなの。
たしかにあんたの言った通り、
星は核融合反応?とかで
光っているのかもしれなけど、
そこに理由なんてないのよ。
ただ勝手に燃えているだけ。
でもね、わたしたちが生きているのは、
太陽が勝手に燃えているからなのよね。
太陽の光が、地球に届いて、
その光で植物が光合成をして、
わたしたちはそれを食べて
生きているじゃない。
でも、太陽は
わたしたちを食べさせるために
燃えているんじゃないのよ。
分かる?
ママこそインテリじゃん!
伊達にババァになるまで生きていないわよ。
ここのカラオケも同じよ。
勝手に唄って、気持ちよくなって、
それがときどき周りのお客さんの
心に沁みるってこともあるけど、
誰かのために歌うわけじゃないでしょ。
たまに若いお客さんで、
自分の会社の好きな女の子を連れてきて、
ラブソングを歌っている人がいるけど、
まぁ、大抵は聞いてる女の子は
スルーしてるわよね。
下心が丸見えってわけね。
ほら、分かったんなら、
久しぶりに一曲唄いなさいよ。
歌う前に、ひとつ聞いていい?
なによ。いい話は追加料金もらうわよ。
いやさ、星は勝手に燃えているってことは、
自分のために光ってくれる星は
ないってことだよね。
そうね。
かとちゃんは、
息子さんいるでしょ。
かとちゃんは、
息子さんのことかわいいでしょ。
うん。
毎日、ありがとうって思ってる。
息子さん、
かとちゃんを喜ばせようとして
かわいらしくしている?
いや、それはないんじゃない。
あいつが勝手に
キャッキャッしているのを見て、
ぼくが勝手にデレデレしている。
そういうことよ。
そういうことかぁ。
みんなお星さまなのよ。
このお店はね、
そんな流れ星の集まるところなの。
あら!わたしいいこと言ったんじゃない?!
お店の名前、変えちゃおうかしら。
「スナック 流れ星」!
素敵じゃない?!
今日もここまでお読み頂き、
ありがとうございました!
メールマガジンへのご意見、ご感想は、
下記の「ご意見箱」より
お気軽にお寄せください。
LITRAメールマガジン【in-transition】は
移ろいゆく毎日の中で
自分を「整える」考え方やものの見方を
発信しています。
次回もお楽しみに!!
LITRAメールマガジン【in-transition】の
お友達やお知り合いへの拡散、
ありがとうございます。
拡散には、
こちらのURLをSNSなどに
張り付けてご利用頂けます。
https://home.tsuku2.jp/merumaga_register.php?mlscd=0000213226
または、
下のQRコードを読み取ることでも
メールマガジンを登録することができます。
スマートフォンのQRコードアプリではなく、
カメラからの読み取りをお願いします。
-----------------------------------------
"Life Transitionをあなたと"
合同会社LITRA(リトラ)
E-mail: contact@litra-com.jp
Web: https://tsuku2.jp/litra-com
-----------------------------------------