【RPGによせて】⑨具現:所田春恵

はじめましての方も、
いつもましての方も、
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
小林桃子です。

前回の更新が6/9ということで、こちらではもう2か月が経過していました💦
毎日の記事はアメブロの方で更新し続けていましたが…
待っていてくださった方にはお待たせしちゃってごめんなさい!

前回、「次は役のことについて書きますね」とお伝えしておりました。
今回の役は、『R.P.G.~ロール・プレーイング・ゲーム』の中で
リアル家族の母・所田春恵さんでした。

作品を観てくださった方、
原作を読んでくださった方ならどういう役どころかはお分かりかと思いますが、
簡単にお話しすると、
作品の中で殺される「所田良介」の妻で、
「所田一美」というの女子高生の母というのが春恵さんの役どころです。

この夫である「所田良介」はろくでもない男でね。
だからこそ殺されるわけですがwww
結婚してから20年、女性問題が起こらなかった年はないという女癖の悪い御仁。
そんな彼には、最近では若い大学生の「今井直子」という愛人がいたり、
ネットの中には「お母さん」「カズミ」「ミノル」という仮想家族までいるという始末。
そんな彼は家では、仮面家族というかなんでしょうね…まぁいわゆるモラハラみたいな感じ。
正直家族崩壊寸前というか、ほぼ壊れています。そんな状態が1場で早々に描かれます。

春恵さんは、そんな夫に文句も言わず必死で家庭を守ろうとする妻であり、母という役どころです。

うちの家庭事情が…ちょっと近いんですよ。
あ、事件は起きてませんよ。父はまだ元気に生きています。
父が昔から女性にモテ…てるのかな?まぁ、女癖はよくないでしょうね、たぶん。
その辺は正直結構自分の中でトラウマです。
父にはそんなこと言えないし、もう自分もいい歳だしあきらめているけれど。

だから…というわけでもないんですが、
春恵さんを理解できるんじゃないかと最初は思っていました。

ですが、全然!!!www
今の自分とは真逆で丸っきり理解できない!!!
共感もしたくもない!!!
なんだこいつ?とどんどん腹も立ってくるwww
なんで文句も言わずに、離婚もせずにいるの?って。
どうしたいの?
なにがしたいの?
全然わからない!!!
稽古中はここまで明確に言語化できなかったけど、
今思えばこういうことだったんだと思います。

古城さんのダメ出しも理解はできても具現化できない。
腹に落ちないから迷走しまくり。
春恵さんはよく泣くんですけど、
私自身も違う意味で毎日泣きっぱなしwww
そして今だから言えるけど、ストレスで右目のまつげが完全にはげましたwww(あ、今は生えてきました!)

もちろん稽古は大苦戦。
ご覧くださった方はお分かりかと思いますが、
春恵の供述のシーン(稽古場では「桃子劇場」と呼ばれていたシーン)は段取りの鬼で、
立ち位置もぐるぐる変わるし、
小道具もあるし、とんでもない感じだったんですよ。
ただでさえどんくさい私が、段取りを覚えるだけでも必死。
家でどれだけ練習して行っても、いつまでも段取りも怪しい。

芝居はもっと危ない。

しかも全然台詞がないのにずっと舞台上にいるという遺品整理というミッションまであるというね。

私は今までにいろんなことがあって、
めっちゃ強く明るくふるまうことを生きるための術として獲得してきたので、
春恵さんのように弱さを表に出すのが嫌で、
でも、本当はそういう弱さだらけの自分が確実にいて、
その弱さを素直に表に出すのにものすごく時間がかかりました。

座組の皆さんにはほんとうにご迷惑をおかけしちゃった。
それが本当に申し訳なくて…

かなり問題児の私が春恵さんを具現化につなげられたのは座組の皆さんのおかげです。

最初の頃から何度も話を聞いてくださった、石津役の美香さん。
集中稽古では寄り添って何度も話を聞いて一緒に涙を流してアドバイスくださった、武上役の奥村さん。
夫として、私の芝居を引き出すようにどんどんボルテージを上げてくれた、良介役のおっさー。
一緒に帰る時に真に迫る質問を投げかけてくれて考えさせてくれた、一美役のひかるちゃん。
ずっと支えてくれて、何度もへこたれそうになる私を「桃子ならできる」と
励まし続けてくれた劇団員のかおりさんとあいちゃんと演出助手のなおさん。
へこんでいた私を帰りに車に乗せて「力を抜いて相手と芝居したらいい」と、
伝えてくださったみょんふぁさん。
他のみんなも本当に本当にたくさん力をくれました。
何より、古城さんがあきらめずにずっとダメ出し続けてくださったことが大きかったです。

芝居は一人で作るんじゃないんですよね!!!

稽古はしんどかったし、マジで気が狂うんじゃないかと思ったりもしました。
春恵さんがわからなさ過ぎて。

でもね、みんなに支えてもらって
「この家族を、この家を守りたい」と強く思うということを芯にしたら少し道が開けました。
どんなに裏切る人だとしても良介さんのことがやっぱり大好きで、
一美のことはただただ大事で守るべき存在。
だから私(所田春恵)は、この家をどうしても守るんだって。
私はこの家をなくしたら生きていけない。
だから家・家族を守るために自分がどれだけしんどくても頑張れるって。
そこにすがる以外に生きる方法が見つけられないということ。

それが正解かどうかは正直本番明けるまで全然わからなかったです。

だけど、ふたを開けたら驚くほど好評。
春恵さんは私の新しいドアを開けてくれました。
新しいステージにもちあげてくれたというか。。。

実際今まで共演した人たちが、
口をそろえて「いつものももちゃんと全然違った」と、
「どうしたんですか?」と聞かれるくらいwww
「どうしたんですかって、春恵だったんだよ」ってね。

印象的だったのは、たまたま帰りにおっさーのお知り合いで観劇くださったお客様に出逢って、
ご挨拶したら私が春恵さんだとわかってもらえてなかったということがあったんです。

こんなに違う人になれたのは久しぶりで、
「死に顔ピース」の時におばあちゃんになったときも結構好評いただいたんですよ。
あの時も全然違う人になれていたから。

そうか、自分の得意分野(元気・生命力)だけじゃなくて、私はまだまだ可能性があるぞ。
自分の幅を広げていけるぞというそんな自信になりました。

そして驚いたのが、段取りで毎日毎回練習し続けた供述のシーン(桃子劇場)より、
台詞が一切ない「遺品整理」のシーンを目にとめてくださる方が多かったことでした。
そうなの?そこなの?!ってなりながら、あそこも何気にセリフきっかけとどの小道具を持つのかとか段取りがありながら、
気持ちを切らさないでやり切ることで次のシーンにつながるので、
注目していただけたのはひそかにありがたかったです。

現実にはならなかった7場のパッチワークシーンが自分の目指すところであるとすることで、
自分の中で流れも理解して腹に落ちました。

やはり台本の読解力が大事だなぁと改めて思います。
もっと本を読んで学ばねばと思います。

今回、大きくアウトプットをすることが出来たので、これからしばらくはインプット頑張ります!
その中でも、もっと自分の限界を決めずにどんな役でも楽しく演じられる、
ちゃんと役を生きられるようにもっとスキルを磨いていきたいと思います。

春恵さんをやり切ったので、腹のすわりだけはだいぶどっしりした気がします。

こんなお話で伝わりますかね?
こういうの、恥ずかしいから今まであんまり書いてこなかったんです。
少しでも面白がって読んでもらえたら嬉しいです。

このあと、作品の総括を書こうかと思ってましたが、
この具現のお話で総括に変えさせていただきます。

またいつか私が舞台に立つ機会があれば、劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

ではまた。

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