2026.08.29
スマホ依存の対処法 「ドパガキ」から考える、子どもの脳と日常生活
「ドパガキ」という言葉を聞いたことがありますか?
最近、SNSなどで見かけるようになった言葉で、ゲーム・スマホ・SNS・YouTubeなど、
すぐに強い刺激や楽しさが得られるものを次々に求めてしまう子どもを表す俗語として使われているようです。
もちろん「ドパガキ」は医学用語ではありません。
でも、これは子どもだけの問題ではないと思います。
私たち大人も、脳の「報酬」を求める仕組みを知らずにいると、スマホやゲームだけでなく、
買い物、ギャンブル、SNSなど、「もっと欲しい」「もっと見たい」「もっとやりたい」という状態から抜け出しにくくなることがあります。
その仕組みに深く関係しているのがドーパミンです。
ドーパミンは単なる「快楽ホルモン」ではなく、
「もっとやってみたい」
「次は何が起こるんだろう?」
「もう一回やってみよう」
という意欲や学習、報酬への期待に関係する神経伝達物質です。
昭和の子どもには「待つ時間」があった
私たち50代が子どもの頃、たとえば「ドラえもん」を見たかったら、その時間にテレビの前に座らなければ見ることができませんでした。
どこかに出かけていて間に合わなかったら、
「あ〜、今日は見られなかった!」
と諦める。
そんな昭和時代でしたよね。
ところが今は、スマホを開けば、いつでもどこでもアニメや面白い動画を見ることができます。
しかもYouTubeやショート動画では、一つ見終わればすぐ次の動画が出てきます。
「つまらない」と思ったら、指一本で次へ。
面白いものが出てくるまで、どんどんスワイプできます。
つまり今の子どもたちは、私たちの子ども時代とは比較にならないほど、「待たなくても刺激が手に入る環境」で生活しているのです。
生まれたときからスマホがある世代
日本でiPhoneが発売されたのは2008年。
私が初めてスマホにしたのは、教師を辞めて1年後の2012年でした。
その後、スマートフォンは急速に普及しました。
ということは、今の小学生から高校生の多くは、物心がついた頃にはすでに家庭にスマホがあり、YouTubeやゲーム、SNSなどが身近にある環境で育っています。
「最近の子どもは我慢ができない」
と大人の価値観だけで判断する前に、
そもそも育っている情報環境が私たちとはまったく違う
ということを知っておく必要があるのではないでしょうか。
こんなことで困っていませんか?
「やめなさい」と言ってもやめられない
「あと5分」が30分、1時間になる。
スマホやゲームを取り上げようとすると激しく怒り、親子喧嘩になる。
暇な時間に耐えにくい
車での移動、病院の待ち時間、食事が出てくるまでなど、何も刺激がない時間になると、
「暇!」
「スマホ貸して!」
となる。
勉強などに取りかかれない
宿題は面倒なのに、ゲームやYouTubeなら何時間でもできる。
単純に「集中力がない」というより、何をするかによって集中力の差が極端になることがあります。
短い刺激を次々に求める
YouTubeを見ながらゲームをしたり、ゲームをしながら別の動画を見たり……。
一つの活動だけでは物足りなくなってしまいます。
寝る時間が遅くなり、朝起きられない
「もう寝よう」と思っていても、
「あと一本だけ」
「あと一回だけ」
と動画やゲームを続けてしまい、寝る時間が遅くなる。
その結果、翌朝起きられない。
生活の優先順位が変わってくる
お風呂、食事、宿題、部活、家族との時間よりも、ゲームや動画が優先されるようになる。
スマホを取り上げると感情が爆発する
イライラ、大声、暴言、泣くなど、
「スマホを取り上げると別人みたい」
と保護者が困ってしまうケースもあります。
ただし、このような反応があるからといって、それだけで「依存症」と判断できるわけではありません。
リアルな活動への興味が下がる
外遊び、工作、読書、家族との外出など、以前は楽しんでいたことを、
「面倒くさい」
と言うようになる。
大切なのは、単純に「何時間スマホを使ったか」だけを見るのではなく、
スマホによって、睡眠・勉強・食事・家族との交流・学校生活など、日常生活の何ができなくなっているのか?
を見ることだと思います。
では、どうしたらいいのでしょう?
「スマホを取り上げればいい」
というだけでは、なかなか解決しません。
私がおすすめしたい、とても簡単な方法の一つが、
「外を歩くこと」
です。
あまりにも単純で、お金もかかりません。
でも今は、子どもたちも車で送迎してもらうことが当たり前になり、大人も車や電車で移動します。
さらに移動中までスマホを見ていたら、何もせず周囲を眺めたり、ぼんやりしたりする時間がほとんどありません。
だからこそ、意識してスマホから離れて、外に出る時間を作ってみる。
朝、外に出て光を浴びたり、身体を動かしたりすることは、体内時計を整え、睡眠や心身のリズムを整えることにもつながります。
大げさな運動をする必要はありません。
朝のゴミ出しをする。
玄関を掃除する。
犬の散歩をする。
近所を10分歩いてみる。
そんな日常生活の中にある小さな行動から始めればいいと思います。
人と関わることも大切
そしてもう一つ大切なのが、
人と会話すること、触れ合うこと、誰かと一緒に何かをすること。
安心できる人とのコミュニケーションや触れ合いには、オキシトシンなど、人とのつながりや安心感に関係する身体の仕組みも関わっています。
ゲームや動画から得られる楽しさだけではなく、
「人と話したら楽しかった」
「一緒にご飯を食べた」
「ありがとうと言ってもらえた」
「一緒に何かを作った」
「外で遊んだら気持ちよかった」
そんなリアルな世界から得られる心地よさや達成感も経験していく。
スマホを悪者にするのではなく、
スマホ以外にも楽しいことを増やしていく
ことが大切なのではないでしょうか。
子どもを家庭だけで育てなくてもいい
今、私は放課後等デイサービスという、小学生から高校生までの子どもたちがいる施設で仕事をしています。
子どもたちと外出したり、お昼ご飯を一緒に食べたり、身体を整える時間を作ったり、アロマハンドトリートメントをしたり。
私自身も、身体を動かし、人と話し、触れ合い、笑う時間が増えました。
保護者の方も出入りするので、保護者の方にアロマハンドトリートメントをしながら、おしゃべりすることもあります。
そんな時間を過ごしていると、
人間にはスマホの中だけでは得られない刺激や心地よさがたくさんあるんだな
と改めて感じます。
子育てを家庭だけでするには限界があります。
親だけが、
「スマホをやめなさい!」
「ゲームばかりしないの!」
と言い続けるのもしんどいですよね。
だからこそ、地域社会の中でいろいろな大人が子どもたちと関わっていく。
スマホの世界だけではなく、
外に出る。
身体を動かす。
誰かと話す。
一緒に食べる。
何かを作る。
誰かの役に立つ。
夢中になれるものを見つける。
そんな「リアルな世界も結構おもしろい!」と思える体験を、
子どもたちと一緒に増やしていけたらいいなと思います。
スマホを取り上げることだけが、スマホ依存への対処ではありません。
スマホを忘れてしまうくらい、現実の世界にも面白いことを増やしていく。
子どもたちを取り巻く大人や地域が、そんな環境を一緒につくっていけたら、未来はもっと明るくなるのではないでしょうか。
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