【まるオホ】日本最北のハス池〜1人の情熱が咲かせた奇跡

オホーツクの夏。
5月の芝桜やチューリップ、7月のラベンダーといった鮮やかな花々のピークが過ぎ、少し落ち着きを見せる時期。
この季節に、北見市で今まさに大輪の花を咲かせ、訪れる人を魅了する場所があるのをご存知でしょうか。
「日本最北のハス池・鏡池」
今年で90歳になる市田信一さんが、膨大な年月と惜しみない情熱を注ぎ込み、たった一人で作り上げた私設公園。
朝の澄んだ空気のなか、極楽浄土を思わせる一面の花畑と、市田さんの温かい笑顔に惹かれて、今年も多くの人が足を運んでいます。

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1.「孫と釣りがしたい」夢から始まった、もう一つのハス物語

市田さんとハスとの出会いは、今から30年ほど前に遡ります。
農家を営んでいた市田さん。
息子さんへ主導権を譲り、「孫たちと一緒に魚釣りができる池を作りたい」という夢を胸に土地を購入。
自らの手で池を掘り始めました。
そこからなぜハス池にたどり着いたのか?
そこには昔、兄弟みんなで福井県のハス池を見に行ったときの、感動した兄弟たちの姿がありました。
「あのときの感動をもう一度」——それが、池でハスを育てようと思ったきっかけでした。
そこから試行錯誤を重ね、ハス栽培のノウハウをマスターしていった市田さん。そして約20年前。
さらなる挑戦として現在の場所に約1ヘクタールの土地を購入。
元々は林だった場所を切り開き、最初は30本の桜の木を植えましたが、土地の性質上うまく育ちませんでした。
「それなら、ここにもハス池を作ろう」
湿地帯のため業者でも重機を入れることができず、市田さんは一人立ち上がることを決意します。
木を伐採し、土地を平らにならし、ユンボを自ら操って池を掘る——。
3年がかりの大工事でした。
「夢中だったから苦労なんて全く感じなかった」と笑う市田さん。
数十株からスタートしたハスは年々株を増やし、今では池一面を埋め尽くすほどの圧巻の景色となりました。
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2.チャレンジと行動。そこから全国に広がった「人のご縁」

市田さんの行動力を象徴するエピソードがあります。
ハス栽培を始めた当初、栽培がなかなか上手くいかなかった市田さんは、全国有数の産地である茨城県のレンコン農家をご夫婦で訪問。
「北海道の気候では育てるのは難しい」と断られたものの諦めきれず、その夜、居酒屋で一緒に食事をした際にも懇願。
その熱意に打たれ、ついにノウハウを伝授してもらうことになったのです。
その農家さんとは今でもお付き合いが続いています。
また、園内で見事な大輪を咲かせるピンクの「大賀ハス」は、千葉県で約2000年前(縄文時代)の地層から発見された古代ハス。
このハス池の素晴らしさに感動した千葉県からの観光客の方が、地元市役所に自ら交渉した結果、
市から種を譲っていただいたことがきっかけで仲間入りしました。
その方とも15年来の家族ぐるみのお付き合いが続いています。

「若い頃、日本一周を2回したんだ。その時に人のありがたみやご縁の大切さを身に沁みて感じてね。
自分もここに来てくれた人が、最高の思い出として心に残る場所を作りたかった」
人を信頼し、縁を大切にしてきた市田さんだからこそ、全国から奇跡のような出会いが集まってくるのだと
話をしていてヒシヒシと伝わってきました。


3.リピーターを惹きつけるおもてなしと、受け継がれる想い

とくに広告宣伝をしているわけではないのに、夏になると毎年多くの人々が吸い寄せられるようにやってきます。
「毎年来ていて今年で3回目。本当に感動するし、癒やされます。」
「毎年楽しみにしています。まるで別世界にいるよう!」
など、地元市民から観光客まで、みなさん多くがリピーターでした。
「こんにちは!どこから来たの?」市田さんの気さくな明るい声が響きます。
取材中も訪れる一人ひとりに温かく声をかける姿が印象的でした。

90歳になった今も現役で重機を操り、手入れを欠かさない市田さん。
その姿勢に共鳴したボランティアスタッフも7~8名いて、毎日草取りなど、ハス池を守る手伝いをしています。
さらに、神戸にいたお孫さんご夫婦が「後を継ぐ」と決意し、北見に移住して一緒に園を支えてくれているそうで、
市田さんの想いはしっかりと次の世代へと受け継がれています。


4.儚くも美しい「4日間の命」を愛でる

ハスの花は7月下旬から9月上旬まで楽しめますが、見頃のピークは8月上旬からお盆頃。
朝方に花開き、昼頃には閉じてしまうため、訪れるなら午前中の清々しい時間が一番のおすすめです。
ひとつの花が開くのは、たったの4日間。
毎日開閉を繰り返し、最後は開いたまま花びらを落とします。
「落ちるときのボサッ!という音がまたいいんだよ」と市田さんは愛おしそうに語ります。
人への深い感謝と、喜んでもらいたいという純粋なサービス精神。
そして、幾つになっても学び続ける圧倒的な行動力。
「日本最北のハス池」に咲き誇る美しい花々は、市田さんのお人柄そのものが形となった奇跡の景色です。
入園は無料ですが、園内には池の維持管理や運営資金を支えるための維持費募金箱が2カ所設置されています。
この夏、市田さんの笑顔と、優しく揺れるハスの花に会いに行ってみませんか。



~PROFILE~

日本最北のハス池・鏡池

北海道北見市896
入園無料
開園期間: 7月下旬〜9月中旬(見頃のピーク:8月上旬〜お盆頃)
おすすめの時間帯: 午前中(ハスの花が咲く朝方がベスト)
主な品種: マイヒレン、大賀ハス
https://www.instagram.com/nihonsaihokunohasuike/


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