2023.05.06
【RPGによせて】②初触:火車
はじめましての方も、
いつもましての方も、
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
小林桃子です。前回、ミステリ好きの私が最初に触れた宮部みゆきさんの作品が『火車』でしたというお話で、
今回につながっています。
よろしければ前回の記事からお読みいただければと思います。
さて、『火車』のお話に触れる前に、ミステリ小説の具現化について書いてみようと思います。
ミステリ小説を読む方も多いと思いますが、
それ以上にミステリの映像作品(ドラマや映画)に触れる方は多いと思います。
ミステリ原作の2時間ドラマとかね、きっと好き嫌いにかかわらず一度も観たことがない方っていらっしゃらないんじゃないかと思います。
だからある意味、ミステリって日本人の生活の身近なところにあると思うんです。
西村京太郎さんや山村美紗さんの作品に全く触れたことのない方ってある年齢以上ではいらっしゃらないんじゃないかと思うんです。
映画でもたくさんミステリ作品ってありますよね。
伊坂幸太郎さんや東野圭吾さんや湊かなえさん、吉田修一さん作品の映画化は私も拝見しています。
その話でもいろいろ書けちゃうくらい!(作家さんと監督さんの相性とかね、めっちゃ書きたい!!!いつか書きますね。)
でもね、舞台化されたミステリをご覧になった方って案外少ないと思うんです。
私も今まで2本しかミステリの舞台化を観たことがありません。
正直言って、1本目に観たミステリ作品の舞台が自分の中では楽しめなくて、そこから観るのが怖くなったというのがあります。
2本目はずいぶん経ってからアガサクリスティの名作『そして誰もいなくなった』のアガサクリスティ自身の脚色作品を拝見して、
それは面白く観劇しました。
もちろん、小説と映画やドラマ・舞台は別物ですよ。
でも、ハラハラドキドキする感覚がミステリの楽しみの中ではとても大事だと思うんですけど、
結末がわかっていてもハラハラしたい気持ちをどう形にするのか?具現化するのか?
それは原作をどう脚色するか?ということがすごく大事だと思うんです。
今回私が作品創りに参加している『R.P.G.~ロールプレイングゲーム~』は本当にすごいんです!
マジで、劇場で観てほしいですし、原作と合わせて台本も読んでほしい!
私初めて上演台本を読んだときに感動しましたもの!!!
素晴らしい脚色なんです!!!
劇団ワンツーワークスさんにご縁あって参加させていただくようになって、
今回6回目なんですけど、原作がある作品に関わるのは初めてで、
もともと好きなミステリでそれをどう脚色されるのかと思っていたら、
本当にすごい作品の世界が広がってぎゅっとして明確になったんです。
初めて読んだときの感動をうまく書けないのがもどかしいです…。
正直、ミステリの舞台化って難しいと思います。
でも、それを素晴らしい形で脚色してくださったので、それをどう立ち上げていくのか?
ミステリはどこまでも泥臭い人間ドラマですからね。
作品の中に生きる人間の一人として丁寧に物語を紡ぎたいと思います。
と、ずいぶん脱線してしまいましたが本題へ。
『火車』が私の初めて触れた宮部みゆきさん作品でした。
この作品も泥臭い人間ドラマです。
もちろんミステリでもあるんだけど、人間が地に足をつけて生きているんです。
あの…なんていうんでしょうか、こう喉の奥にものが詰まっているような苦い感覚とか、
そういうのが小説を読んでいて味わえるんですよね。
ずっしりと重い感覚を小説を読んでいると追体験できる不思議な力を持っていました。
読んだのはずいぶん昔(10代の頃)なので、今読むとまた感覚が変わるかもですが、
物語の中にずっぽり入る感覚は今も鮮明に覚えています。
苦しく、苦くて、重い感覚。
そして、映像が見える文章力に感動する作品でした。
宮部さんは女性なのに、おっさんのキャラクターがめっちゃ立ち上がっているのがすごいです!
これって宮部さんの文章力のなせる業だと強く思います。
(『火車』と読後感が近いのが、貫井徳郎さんの『慟哭』でしょうか…
人間の忘れようとしている感覚がどーんと重いのが残る感じなんですけど。
逃げも隠れもしないんですよ。ただ向き合わざるを得ないというか。そんな感じ。)
本番終わったらもう一度読んでみようかなぁ。
人間ドラマを描くという意味では小説も映像も舞台もきっと同じなんですよね。
表現方法が違うだけで。
小説好きは、頭の中で想像しまくるので、それが具現化されたときにイメージとずれているとどうしても違和感を感じる。
それが具現化の難しさなんだと思います。
そこに今回挑戦しています。
難しいのはイメージとの違和感があることを理解しているから。
叶うなら劇場で観てほしいなぁと思います。
宮部さんは本当にすごい作家さんで、ミステリだけじゃなく、時代小説もファンタジーもいろんな作品を書いていらっしゃいますが、
実は『火車』があまりに重くて、そのあとしばらく本格ミステリに突っ走ってしまい、しばらく宮部さん作品から離れました。
そんな私がまた読んでみようと思ったのは、それこそ映像化が決まったのでその前に原作を読みたいと手にした
『クロスファイア』でした。
次は『クロスファイア』のお話☆
ではまた。