「やる気がないなら辞めろ」で退塾者5名。どうしよう・・・。

「やる気がないならお前ら辞めろ」

「はい。わかりました。辞めます」


「えっ」

「じゃ、僕も辞めます」


「えっ」

「私も辞めます」


「お、おい」

「俺も・・」


「ちょっと、待って」

「じゃ、私も辞めます」


「まあ、落ち着いて」

「はーい。私も辞めます」


イッキに5名の退塾を出した教室長

冒頭の話はある大手塾の教室の実話です。もちろん、私のところではありません。

そのクラスは確か20名くらいの生徒が教室にいました。

そして、担当の先生が生徒に向かって冒頭の言葉を投げかけたのです。

「やる気がないならお前ら辞めろ」

と。すると、そこにいた生徒達が次々に辞めていったのです。合計5人。

その先生は慌てて止めに入ったのですが、すでに遅し。結局生徒は辞めることになったのです。

正直に言うと

「あ、あの先生なら辞めるだろうな」

と思っていました。なぜならその先生とは一緒に仕事をしたことがあるからです。では

「辞めろ」

と言ったのが失敗だったのでしょうか?実はそうでもなかったのです。

生徒が辞めた理由

実は仕事をしていたときその先生は

「業務の話、しかしない」

「自分のやりたいことだけ伝える」

タイプの人だったからです。正直

「嫌だなあ・・」

と思っていました。そして、

「これで大丈夫なのかな・・」

と思っていました。というのは、私は大人だから一応表面上は取り繕います。が、子どもに同じ接し方だと

「子どもの心をつかめない」

と思ったからです。

その塾を辞めた自分の塾をスタートさせてから、1年後その塾を辞めた生徒が同じようなことを言っていました

「あの先生嫌いだった」

と。ではどうすればよかったのか?

暖かくて厳しい上司

実はこの

「暖かくて厳しい上司」

というのはある会社の専務から聞いた言葉です。専務から

「堀君、どんな上司が理想だと思う?」

「コミュニケーションの取れる上司ですかね?」

「それもある。僕はね。『暖かくて厳しい上司』だと思っている」

「『暖かくて厳しい上司』ですか?」

「そうや。上司は『この人のためなら』と思われないとだめ。だから部下のことを気にかけないだめ。

 でも、だからと言って組織やから、 優しいだけでもダメや」

「はい」

「仕事では厳しい。でも、仕事が終わったら和気あいあいとやったり、いろいろ部下のことを気にかけたりするのが理想」

「そうですか・・」

当時は「ポカーン」

として聞いていましたが、何年も指導を続けていくうちにだんだんわかってくるようになりました。

というのは

「正しいことを言っても

 同じことを言っても

 相手の心に届くときと

 届かないとき」

があるからです。もちろん、相手の心に

「届く」「届かない」

は相手のタイミングもありますが、それと同じで

「誰に言われるのか?」

にもよるのです。

「この人の言うことは素直に聞こう」

「何を言っているんだ」

と内容が同じでも言う人によって相手の

「心に届く」「届かない」

の違いの違いが出てしまうのです。

それはなぜでしょうか?その一番の原因は

「自分のことを理解してもらえているか?」

です。仕事にしろ、勉強にしろ

「やらないといけないこと」

は存在します。そして、

「厳しく叱る必要はある」

のです。ですが、その前に

「自分の欲求が満たされている」

ということが必要なのです。例えば

「自分のことを理解してくれている」

「自分の話をよく聞いてくれている」

「自分のことをわかってくれている」

でも・・・。「厳しい」のです。専務が

「暖かくて厳しい」

と言った最初に「暖かく」と言ったのはそういう意味があったのです。

「最初に暖かく接して、中には厳しい」

のです。辞めた塾の先生には

「暖かくて」

がなかったのです。どんなことか言うと私が休んだときこんなことがありました。

相手を気遣わない

家内が急病で休まなくなって、できるだけ早く連絡したところ

「(露骨に嫌な声)えっ」

「すみません」

「あっ、そう」

「はい」

「ガチャン・。ツーツー」

「・・・」

こんな感じです(笑)もし、これがこんなふうだったらどうでしょう。

「奥さん大丈夫?」

「はい」

「そう。それは大変。奥さんの側についてあげてね。仕事は心配しないでこちらで何とかするから」

「はい。ありがとうございます」

「何かあったら言ってね。力になるから。手伝うことはない?」

「ありがとうございます。大丈夫です」

「私の家内はよく病気したからわかるよ。堀さんも大変ね」

「はい」

「では。お大事に・・」

と。これだけでも違いますよね。こんな人なら

「堀さん、急に先生が休みで代講を頼める?」

と言われたら無理してでも行こうとします。

大切なのは

「自分のことを理解してもらえているか」

なのです。

指導者はどうすればいいのか?

同じ話を聞いたことがあります。

ある高校の部活で、全国トップクラスの部活で当然

「練習も厳しい」

のです。部員も

「今日の練習メニューはきつい」

とか言っています。それで、部員に

「どうして辞めないの?」

と聞いたことがあります。そうすると意外な答えが・・

「確かに厳しいけれど、先生も同じスポーツをやっていた。

 そして、僕らのつらさもわかってくれている。その上厳しいからがんばれる」

と一方、同じ高校でも別の部活では

「退部者が続出している」

ところもあります。それは

「監督が嫌だから」

だそうです。決して

「練習の厳しさ」

だけではないのです。その違いは

「自分を理解してもらっているのか」

です。まずは、

「子どもの言葉を聞き」

「子どもを理解しよう努力する」

ことがスタートです。もちろん

「聞くことと、それを全部言う通りにする」

とは別の話です。

「話は聞く。言いたいことはよくわかった。でも・・・」

という形です。ぜひとも

「相手を理解してから、自分のことを伝える」

ようにしてくださいね。

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