「また怒鳴ってしまった」「もっと優しくできたはずなのに」——
子どもが寝た後、ひとりで罪悪感に押しつぶされていませんか?
あなたが悪いお母さんなのではありません。
それは、あなたの身体が限界を超えていたサインかもしれないのです。
怒りを感じたとき、身体の中で何が起きているの?
子どもがなかなか言うことを聞かない、何度も同じことを繰り返す——そんなとき、私たちの身体は瞬時に「戦闘モード」に入ります。
このとき中心的に分泌されるのがノルアドレナリンというホルモンです。「怒りのホルモン」とも呼ばれ、血圧を上げ、筋肉を緊張させ、攻撃性を高める作用があります。
ノルアドレナリン……怒り・攻撃性・闘争心の中心。血圧UP、筋肉緊張。
アドレナリン……興奮・心拍数UP。「逃げるか戦うか」を準備する。
コルチゾール……ストレスに対応するホルモン。血糖を上げてエネルギーを確保する。
これらは本来、危険から身を守るための大切な反応です。でも育児の疲れや睡眠不足が続くと、ちょっとしたことでもスイッチが入りやすくなってしまいます。
「また怒ってしまった私」を責めないでほしい理由
怒りが爆発した後、多くのお母さんは強い自己嫌悪に陥ります。でも、実はこの「怒りやすい状態」には、ホルモンの乱れが深く関わっています。
慢性ストレスが女性ホルモンを乱す
育児・家事・仕事を抱える30代は、コルチゾール(ストレスホルモン)が慢性的に高い状態になりやすい。実はコルチゾールと女性ホルモンは同じ材料(コレステロール)から作られるため、ストレスが続くと女性ホルモンの材料が「奪われて」しまいます。
女性ホルモンが乱れると、気分の波が大きくなり、些細なことで感情が揺れやすくなります。「最近イライラしやすい」と感じているなら、それはあなたの性格ではなく、ホルモンの変化かもしれません。
睡眠が不足すると、翌日のコルチゾールとノルアドレナリンの基礎値が上がります。つまり、よく眠れていない日は「もともと怒りやすい状態」でスタートしているのです。
「昨夜あまり眠れなかった日に限って怒ってしまう」——それはあなたの心が弱いのではなく、ホルモンの自然な反応です。
アロマセラピーでノルアドレナリンを落ち着かせる
香りは鼻から「扁桃体(感情の中枢)」に直接届き、興奮した神経系を落ち着かせるはたらきをします。精油に含まれる成分が、ノルアドレナリンの過剰分泌を抑えることが研究でも示されています。
- ラベンダーリナロール・酢酸リナリルが神経の興奮を鎮静。GABAレセプターに作用しノルアドレナリンの放出を抑制。最も研究が多く、即効性を感じやすい精油。
- ベルガモット酢酸リナリル+リモネンの組み合わせが不安・緊張を和らげる。扁桃体への刺激を穏やかにし、気持ちをリセットしやすくする。
- クラリセージリナロールとスクラレオール(エストロゲン様作用)を含み、ホルモン由来のイライラに特に効果的。PMS期の怒りっぽさに寄り添う精油。
- サンダルウッドサンタロールが交感神経活動を低下させるデータがある。深くゆっくりとした呼吸を促し、怒りの後の落ち込みを穏やかに包む。
- スイートオレンジリモネンが豊富で、緊張・不安・コルチゾールの上昇を抑える。子どもにも使いやすい親しみやすい香り。
今日から使えるアロマレシピ
- ベルガモット 2滴 + ラベンダー 1滴 をティッシュに垂らして深呼吸(3〜5回)
- 鼻からゆっくり吸って、口からゆっくり吐く。これだけでも交感神経が落ち着いてきます
- 子どもの前でできる、道具いらずのリセット法です
- ラベンダー 3滴 + クラリセージ 2滴 を天然塩(大さじ2)に混ぜてバスソルトに
- 38〜40℃のぬるめのお湯に15〜20分。副交感神経への切り替えを促します
- 「今日もよくがんばった」と自分に声をかけながら入るのがおすすめです
- サンダルウッド 2滴 + ラベンダー 2滴 をアロマストーンや枕元に
- 深い呼吸とともに「今日の私はよくがんばった」と繰り返す
- 反省は明日の自分に渡して、今夜は身体を休めることが最優先です
「怒らないお母さん」を目指さなくていい
怒りは「悪い感情」ではありません。身体が「もう限界だよ」「助けてほしいよ」と伝えているサインです。
大切なのは、怒らないことではなく、怒った後に自分を責めすぎないこと。そして、怒りやすい状態になる前に、ホルモンと身体をケアすること。
ノルアドレナリンが出やすくなっているとき、あなたの心は十分すぎるほど消耗しています。アロマの香りは、そんな身体と心を、静かに、やさしく、内側から整えてくれます。
まずはラベンダーを一本、枕元に置いてみてください。それだけでいいのです。
怒ってしまうあなたは、弱いお母さんではありません。
それだけ一生懸命、毎日を生きているということです。
香りとともに、今夜はゆっくり休んでください。