いざ能登へ 活動記録③


床下の作業は過酷です。

蒸し暑い暗闇の閉所、空気の悪い中で、不自由な態勢での作業は、30分が限界です。

唯一救いは、地面が湿って冷んやりしていたこと。

これが夏なら、とんでもない状態だったはずです。


52歳でも一番若い私は、切込隊長ごとく、道を切り拓きながら泥をかき出し、中継のA松さんに繋げていきました。

A松さんは、「大丈夫ですか」「無理しないでくださいね」と常に声をかけてくださいます。

「頑張るけれど、頑張り過ぎないでやり切る」

常にボランティアの基本を押さえてくださっています。


そんな午後の作業中、突然の恐怖に襲われました。呼吸が苦しくなり、まるで水の中で溺れているような感覚になりました。


「ごめんなさい!!やばいです、すぐ出ます!!」


そう言って、慌てて表に出ました。

思い切り呼吸をし、回復を待ちました。

しばらくして、落ち着いてきましたが、睡眠不足と疲れもあるので、今日はやめましょうということになりました。

「もっと」という思いがありつつ、正直、ホッとした思いがありました。あまりにも怖かったので、閉所恐怖症にでもなったのではと思っていたからです。

片付けをし、16時頃、現場を後にしました。


今夜の宿泊は、輪島市です。




この現場から輪島市までは、通常なら海岸線ですぐなのですが、その道が通行止めだそうで、一旦珠洲市中心部に戻り、山越えして輪島市内に入ることになります。

この地域が、陸の孤島状態になっているのかがわかります。




道中の約2時間も、地震・豪雨の爪痕がいくつも見られました。


(つづく)

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