かばん・小物・オーダーメイドバッグの鹿の皮工房

鹿の皮工房について

工房の紹介

22歳の頃、通勤中に見たお店に魅了されてしまいました。お店に飾ってあるバッグ達、バッグ作りの教室だったのです。物作りが好きな私は早速習うことにしました。途中結婚等で暫く離れることになりましたが、長女が11歳に成ったころから、本格的に取り組むようになり、早30年が経ってしまいました。

『鹿の皮工房』は、1997 年に宮崎市内で河野袋物教室を立ち上げたことがきっかけで 始まりました。 素材に駆除された鹿の革・日本鹿の印伝革を使用していることから、2020 年から『鹿の皮工房』として、一つひとつ手づくりで丹精込めてバッグを作り続けています。

取扱商品は ボストンバック・ショルダーバッグ・お財布・スマホカバー等大小様々です。
また、お客様の好みに応じたフルオーダーのバックの製作も承っております。

各地で鹿による食害が問題となり、多くの鹿が駆除されています。
そうした鹿の肉は、最近、食用やペットフードとして活用されつつありますが、皮の多くは破棄されています。
しかし、ただ命を奪って捨てるのは、勿体無い、忍びないと強く思います。
折角頂いた命を余す事無く使いたい。
江戸時代までは革と言えば鹿革の事でした。そんな鹿革を多くの方に親しんで欲しい、鹿革の良さを知って欲しいと願いながら、作っています。


年間59万頭以上のシカが鳥獣被害として駆除されています。
有害鳥獣として駆除した後、充分に活用されていないことも大きな課題となっています。
食肉処理施設の設置なども進み、ジビエ料理として食用への活用がすすめられていますが、駆除されたシカはそのまま山に放置されることが多いからです。
辛うじて捨てられなかった鹿の皮を有効活用したい、折角頂いた命を無駄にせずに余すことなく使っていきたい。

社会人になって通勤中に偶然バック教室と書かれたお店を見つけました。
子供の頃からものつくりの好きだった私は、迷う事なく習い始めました。

一年過ぎた辺りから、教室で頼まれるお客様のバッグを縫わせて頂くようになりました。趣味から始めた習い事ではありましたが、ものを作る楽しみと同時に仕事として成り立つことに喜びを感じました。

次第に教室で頼まれるバッグ以外にも、自分でもバッグ等作って、お客様に販売するようになった頃から、自分で作るバッグに付加価値を付けたいと思い、悩むようになりました。むかし教室で印伝風の合皮を使っていたことを思い出して、どうせなら本物の印伝を使いたいと思い始めました。

印伝の由来は、南蛮貿易が盛んな17世紀、オランダの東インド会社より伝わったインド産の装飾革に「応帝亜(インデア)革」と呼ばれた革があり、印度伝来から印伝となったと伝えられています。後に和様化した装飾の鹿革を印伝と称するようになり広く知られるようになりました。

その頃印伝と言えば甲府が有名だったので、甲府の印伝屋さんに問い合わせをしたのですが、印伝革自体は出されておらず、購入先を探せずにいました。
そんな時に、以前お財布を頼まれたお客様から「鹿の革に興味はない?」って聞かれ、印伝を探していた私は直ぐにお会いして話を聞きました。
話を聞いていくうちに、駆除された鹿の革の事業に関わり始められた時期が、印伝の購入先を調べ始めた時期と重なっていることが分かり、出会い・ご縁を感じた瞬間でした。

鹿革との出会いから15年程経ちましたが、5年前からは念願だった日本鹿の印伝も扱えるようになりました。初めて鹿革でバッグを作った時、自分の思い通りのバッグが出来たとき、お客様から「これこれ、こんな軽いバッグが欲しかったのよ」と喜んで貰えた時は、本当に嬉しかったです。

牛革は丈夫で強さはありますが、硬くて重いのも特徴です。
対して鹿革は軽くて丈夫、保湿性・通気性に優れ、表面のしっとりした美しさとしなやかさが特徴と言えます。
お手入れに関しても牛革は、毎日のブラッシングと月に一度ほどのクリームや防水スプレーを勧められています。鹿革は他の革と違って細胞内に脂をたくさん含んでいて、水に濡れても脂が失われることがないため、年に一度ほどのクリームなのでお手入れ方法も簡単に済みます。

鹿革はその柔らかな感触が人肌に最も近いとされ、軽く丈夫なことから、古くより生活の道具や武具などに使用されてきました。革の加工技術が進んだ奈良時代には燻べ技法で文庫箱(東大寺蔵・国宝)が作られています。
武士が台頭する時代には燻べや染革の技法でさまざまな模様を描いた鎧や兜がつくられ、武将の勇姿を飾りました。甲斐を治めた武田家ゆかりの品として伝わる鎧兜がその好例。
小桜模様の装飾革で華やかに彩った様は、勇者の誉高い武田家の威光を物語るものとして伝わっています。

昔から親しまれてきた鹿の革、伝統工芸である印伝を、多くの方に身近に感じて欲しいと願っています。鹿革の魅力を広めていく事が私の使命、これが本当に自分がやりたかった事だと気付きました。


当店では、お好みに応じたフルオーダーのバック、使わなくなったバックのリメイクも手掛けています。お気軽にお問い合わせください。