プラタナス学習塾・家庭教師

mail magazine backnumber

メールマガジン バックナンバー

注意散漫??ADHDの子は興味関心の幅が広い?

こんにちは。

ADHDの子はときどきあちこちに関心を示すため、
「いろんなことに興味を持つ」と言われています。ただ、これは少し違います。
その理由について実例を交えながらご紹介していきます。

・いろんなことに関心があるというのは本当?

ADHDの子はしばしばいろんなことに興味を持つ、と言われています。
それはおそらく目で見えたものや景色に反応し、場合によってはそちらに移動したり飛びついたり
じっと見入ったり聞き入ったりするからでしょう。

ただ、こうした反応は必ずしも興味関心があるからとは限りません。

・直感的に反応してしまう「衝動性」
ADHDの子にの行動特性としてあげられるのはその衝動性です。
衝動性とは「本人の意思とは関係なく、聞こえたり見えたりした物事・言葉に反応すること」です。

それは必ずしも面白かったり魅力的であったりすることばかりではありません。

そのため「冷蔵庫の音がうるさい」「人ごみの騒音がうるさい」といったネガティブな反応も含まれます。

・興味関心の幅は広がるのだろうか?
こうしてあらゆることに反応を示すADHDの衝動性ですが、それが必ずしもすべて興味関心の広がりにつながるかというとそうではありません。

むしろその興味関心は限定的であることさえあります。

例えばある生徒はADHDのような衝動性を示すことがありますが、会話のメインテーマは決まって鉄道です。
他のどんな話題を提供しても、結果的に鉄道に帰着するので会話が成立せず困ることもありますが、
裏を返すとそれ以外のことに興味を持たない、ということです。

他にも似たようにひとつのことにのみ興味関心を示した生徒がいました。

このことから必ずしもADHDだから興味関心の幅が広いとは言えないことが分かります。

・ADHDの「好き」は人一倍「純粋に好き」
もちろん、反対に興味関心の幅が広い子もいます。

例えば僕の生徒に衝動性の高い生徒がいますが、その子はコーラが好きでいつもコーラばかり飲んでいました。
他の飲み物を飲んでも最終的にはコーラを選択する。
多い時には1日2.5ℓもコーラを飲んでいたというから驚きです。

ただ、
そのほかにもうどんが好きだったので3食うどんで満足していた時期もありましたし、それはハマりだした5年たった今でもうどん好きは変わらないそうです。
また、最近ではオーダーメイドの靴にはまって靴はすべてオーダーメイドにしたというエピソードも。

このことから、この子の場合は確かに興味関心の幅が広かったということが見て取れます。


興味関心の幅はつまり人それぞれであって、それは必ずしもADHDだから、ということとは異なるようです。
ただ、直観的に反応しやすい分いろんなことに対して目がいくのも事実。

それらの過程を通して取捨選択し、最終的に興味をもったときに残ったものが本当に興味ある物事に出会った

ということができます。

ただ、いずれも面白いことに「純粋に好き」という意思はよく伝わります。
ADHDの子たちは好きだなと思えたことに対してまっすぐなので、それはある種の魅力です。

・ゲームは興味関心に入るか?
ここで多くの子たち、とくに男の子が答えるであろう「興味あることはゲームです」という回答。
興味関心のあることならば伸ばしてあげたいところですが、ゲームは果たしてどうなのでしょうか?

僕はこういうとき「ほかには?」と聞くようにしています。
ゲーム否定派なのではありません。
ただ、ゲームは身近に楽しめて操作性も目で見て分かる分、自分の欲求を満たすにはもっとも手近なツールだと考えています。

つまり、興味関心があるからやっているという側面と同時に、欲求を満たすためにやっているという両側面があると考えています。
だから必ずしも興味があるからやっているとは限らない、と、判断にワンクッションはさむようにしています。

・まとめ
ADHDだから興味関心の幅は広い、というのはやや難しいかもしれません。
その中には直感的に飛びついただけの場合もあります。その興味関心の幅はやはり個人差があるととらえるのが良いでしょう。
また、ゲームは手近な欲求充足のツールでもあるため必ずしも興味関心にもとづく「好き」とは限りません。
いずれにせよ本当に好きなものならば時間がたっても好きであり続けられる、そしてまっすぐに好きな物事に向き合える。
それが魅力かもしれません。

メールマガジン バックナンバー

過去にお送りしたメールマガジンをバックナンバーとして公開しています。

メルマガを購読する