加藤眞悟

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能「木賊」(No.4)

こんにちは
メルマガ担当、加藤美紀です。

今日は、能「木賊」(とくさ)について、お話しします。

まず、タイトルの「とくさ」は、緑の細長い竹状の植物で「砥草」とも書きます。茎が硬いことから昔から研磨材に使われたという信濃国の名産の一つです。鑑賞用に庭に植えることもあります。

では、植物の話かというと、そうではないんですね。能の中心は主人公であるシテの心情ですから、では、シテは誰かというと、幼い息子を連れ去られた「老翁」です。

能のタイトルと内容の関係には、作者の考えが反映されていて、「なぜ、このタイトルで、この人がシテ?」を考えるのは、鑑賞のひとつの楽しみです。

たとえば、能「葵上」のシテが「六条御息所」である、などです。源氏物語の「葵上」が原典ですが、葵上がシテではない。能を観ると、「うーん、そういうところを描くのか」と観る人をうならせる視点があります。

「木賊」は、「老翁の心情」が見どころになります。そして、その心情が「木賊」と関係がある・・・ということになります。

この演目には、典型的な能の型にあてはまらない点があります。まず、「中入り」がありません。「この世」と「あの世」の別はなく、全部「この世」のお話です。そして、能面をつけているのは、亡霊だからではなく、「おじいさん」に変身しています。

お父さんが高齢なら、息子は壮年か、と考えられそうですが、子方が演じます。能では、実年齢に近いから「子方」という考え方ではなく、この演目の中心が「老翁の心情」となると、それ以外にスポットライトが当たらないように、という工夫で子方が演じることがあります。

舞台上に、「父親」と「息子」が等身大に並んでしまっては、どうしても双方の心情に感情移入してしまうから、そういうときに子方が演じるそうです。そうまでして、どうしても伝えたい、そんなお父さんの心情がある・・・ということなんですね。

「息子を連れ去られた」は、誘拐されたということですが、物語ですから、ここは、「亡くした」の婉曲表現か、現代にあてはめれば、「息子から距離を置かれてしまった父親」とみてもいいかなと思います。

そんな父親の嘆き・・・それが、なぜ木賊?については、次回をお楽しみに!


★第23回 加藤眞悟『明之会』国立能楽堂
令和3年9月19日(日)14時〜17時20分頃

・S席 https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?t=3&Ino=000010964700&ecd=04201287545210
・A席 https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?t=3&Ino=000010964700&ecd=50027201152548
・B席 https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?t=3&Ino=000010964700&ecd=22778022055810
・C席 https://ticket.tsuku2.jp/eventsDetail.php?t=3&Ino=000010964700&ecd=10590102532260
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