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ロストワックスキャスティングについて
難しい金属の話題が続きましたので、話題を切り替えます。
今回はワックスについて
前回ちらっと書いたロストワックスキャスティング=鋳造による制作方法。
「蝋で作った原型を石膏で固め、熱を加えて融かし出し、空洞になったところに溶かした金属を流し込む。」そういう製法です。専門の機械を使って、遠心力や真空を利用して「流し込み(押し込み)」ます。
まずはこの原型のロウを手作業で作るか、機械で作るか。方法はいくつかあります。
①手作業で、ワックスと呼んでいる蝋の塊を切る・削る・彫る・溶かす・盛る。そういう作業を繰り返し、理想の形まで仕上げます。それを原型とし、シルバー(1点しか作らない場合は金・プラチナにも)に鋳造します。
②手作業で、「みつろう」と呼ばれる松脂と蜜蝋を混ぜたもので形を作り、それを原型として①と同じように鋳造する(日本古来の鋳造方法です。扱いがちょっと難しい。)
③CADで、データー入力により形を作り、ワックス切削機を使って蝋の塊を削り出し原型とする。もしくは樹脂造形し、それを原型とする。
鋳造は①と同じ
①~③で鋳造した1個目のシルバーを親型とし、ゴムで型どりすると子型。そのワックスをたくさん用意して鋳造することで、同じものがたくさん出来る量産方法となります。
(教室にゴム型はありますので、見たい方はお尋ねください。)
親型をゴムで型取ると、子型は縮んでやや小さくなります。
鋳造する金属によっても、収縮が起きますので、完成を予想して原型は作られます。
一点限りの場合は収縮はさほど気にしませんが、量産する場合は最終的なボリューム、コストやデザインへの影響を考えて用意します。
①~③ ワックス原型→シルバー/親→ゴム型→ワックス→貴金属/子→ゴム型→貴金属/孫
右に行くにしたがって縮んで小さくなります。
また、ワックスではなく④シルバー制作の原型でゴム型を取ることも可能です。原型のスタートがワックスである必要はありません。
例えば、⑤落ち葉など燃えてなくなる物をダイレクトに鋳造するダイレクトキャスティングという方法もあります。(業者さんは嫌がりますので失敗しても自己責任で。)
鋳造した貴金属(シルバー・金・プラチナ)の鋳造物は、そのまま磨いて仕上げたり、半製品としてさらに加工を加えたり、用途は制作者次第です。利点は、量産が可能ということと、ろう付けが最小限で済むので地金の高品位を保つことが出来ます。
シルバー1点物制作のように、ろう付けでバラバラになる心配も減ります。
ゴム型の製作は、自分で行う方もいらっしゃいますが、概ねその道のプロに任せます。ワックスの流れ、空気の抜け道、素人には判断できません。ゴム切りと呼ばれるその作業は、鋳造技術者の技ですし、込み入ったデザインは特に大切な工程となります。
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教室でワックス制作を学びますが、前回も書きましたが彫刻のようなものです。
立体の形のとらえ方、つなげ方、仕上がりがそのまま表れますので、特に具象デザインは難しいです。基本を身につけるにはじっくり取り掛かること。
金属になってからの修正できる範囲は限られますので、形を捉える目を養います。
気泡や傷は出来るだけ取ってしまいます。基本は大変ですけど、頑張りましょう。(^^)/
とにかく作ったら実際に鋳造して、どんな状態になるのかを経験していただきたいなと思います。
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慣れてくると、ワックスはとても便利です。
そういう私も原型はワックス制作です。
それぞれのメリットをうまく生かして制作していきましょう。
文中のわかりにくい表現は、教室でどんどん質問してください。
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井手千亜紀